本人が死亡後、遺族がやることはとても多いです。
葬儀までに、死亡診断書や死亡届、火葬許可証・埋葬許可証などの書類が必要ですが、ここまでの手続きは葬儀社が代行してくれます。
しかし、その後の遺産相続については、法定相続人を特定しなければなりません。その最初の手続きが、本人の戸籍謄本や除籍謄本などの取り寄せです。
結構面倒な手続きですが、遺産分割だけでなく、さまざまなところで使うことになりますので、早目に作業を開始したいところです。
戸籍謄本などの取り付けを急ぐ理由
遺産相続の手続きを始めるのは、49日の法要が済んでから始める方が多いようですが、最終的に遺産分割協議書を作成するまでにはとても時間がかかります。
相続税は、相続開始後10ヶ月以内に納めなければいけませんが、相続人の間で遺産分割についての話がまとまらなければ期限内の納付が難しくなってきます。
また、遺産分割以外にも、銀行やカード会社などへの手続きでも必要になりますから、準備は早ければ早いほど後の手続きが楽になります。
法定相続人をできるだけ早く確定する
相続税の納付期限は10ヶ月ですが、あっと言う間に月日が経ってしまい、気が付いたらもう期限?なんてことに。できるだけ早く確定したいのが、法定相続人の確定です。
”自分の家族のことはよく知っているし、女房と子供だけだから簡単だよ”
と思っても、法的にはきちんとした手続きが必要です。その法定相続人を特定するための書類が、戸籍謄本や除籍謄本になります。
法定相続人を特定するその書類は、預金通帳の名義変更など、さまざまな手続きにも必要になりますから、できるだけ早く取り付けておきたいところです。
本人死亡時のJCBの手続き
カード会社の手続きの一例として、JCBカードの注意事項を引用しましたので参考にしてください。
カードのご利用 | 遺族でもカードは使えません。 |
携帯電話料金や公共料金など | ※法定相続人や受遺者、法定代理人など、または相続手続きの受任弁護士や司法書士からの連絡が必要です。 |
利用残高の支払い | 上記項目と同じ |
公的書面 | 公的書面の写しを提出いただく場合があります。 ※公的書面例:戸籍謄本・住民票(除票)・死亡診断書等 |
公的書面の項目で、”公的書面の写しを提出いただく場合があります”と記載されていますが、必須と考えたほうがいいでしょう。
手続きできるのは、法定相続人や弁護士などの受任者で、法的に認められた人に限られます。
万一、権利が無い人の請求に応じれば、大きなトラブルに発展しますから、金融機関に確認してから手続きされたほうがいいでしょう。
戸籍謄本の取り付けが面倒なケース
生まれてから死ぬまで、1か所の土地でずっと暮らしてきた方なら戸籍も住民票の住所も同じかもしれませんが、このようなケースは希です。
なかには、転勤のつど戸籍を方もいますが、そうなると出生時点まで辿らなければなりません。ゴールは想定できてもその途中の状況がわからない点に、戸籍をたどるのが面倒な理由があります。
女性の場合、婚姻によって姓も住所も変わりますから、1か所の役所ですべてが揃うケースはほとんどないでしょう。離婚経験があれば、なおさらです。
男性も同様です。隠し子や養子縁組などのケースが考えられますから、出生まで遡らなければなりません。本人が亡くなって、初めて知ったなんてことにも。
結婚するときに、戸籍謄本を確認するなんてことしませんから・・・。
代襲相続の場合はさらに面倒!
法定相続人の範囲が配偶者や子に限られる場合は、それほど面倒ではないかもしれません。しかし、相続人である子が死亡していた場合、その死亡した子の子(つまり被相続人からみれば孫)、さらにその孫が死亡していれば曾孫、というように戸籍をたどる必要があります。
被相続人が高齢であればあるほど、その可能性は高くなっていきますから、戸籍謄本や除籍謄本は早目に取り付けて準備をしておいたほうがいいでしょう。
<ワンポイント>
一般的には、戸籍謄本や除籍謄本を取り付ける、と言いますが、実際に取り付けるのは、戸籍謄本や除籍謄本の写しです。
法定相続情報一覧図を作成する
死んでから遺族に手間をかけるより、終活の一環として自分の戸籍情報をしっかり確認しておきたいところです。
2017年5月29日から、「法定相続情報証明制度」が始まり、相続手続きを簡単にすますことができるようになっています。
法定相続情報証明制度は,登記所(法務局)に戸除籍謄本等の束を提出します。同時に相続関係を一覧に表した図(法定相続情報一覧図)を提出すれば、登記官がその一覧図に認証文を付した写しを無料で交付してくれる制度です。
さまざまな相続手続で、法定相続情報一覧図の写しを利用できますから、とても便利です。
いつでも申請できるように、謄本(正式には写し)を取り寄せて関係図を作成しておくといいでしょう。ただし、正式な申請は死亡してからですが・・・。
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