事業承継を考える前に会社の魅力はどこにある?

グラフ・業績 事業承継

個人に終活があっても、法人には終活はありません。

しかし、経営者にとっては、次の世代へ引き継ぐことが”終活”です。つまり、事業承継。

”自分の代でおしまい” と考えている経営者もいます。家族経営の会社であれば、それでいいかもしれませんが、多くの従業員をかかえているとそう簡単にはいきません。

どの経営者も、高齢になれば事業承継を口にするものの、なかなか行動に移すのは難しいようです。

事業承継ができずに廃業する企業が続出!と言われても・・・

中小企業庁によれば、今後10年間で中小企業経営者の約半数、なんと127万社で後継者が未定になるとの試算があります。

さらに問題となるのは、廃業となることによって労働の場が無くなることです。その数は、2025年までに650万人!

政府としては、そのための政策として、税制改正やマッチングをおこなう「事業支援センター」の設置などをおこなってきました。

しかし、「事業支援センター」についても、平成23年以降の相談件数3万件にたいして、事業承継できたのは、2000件。

平成30年度の事業承継の件数については、平成29年度と比べて減少しているのが現状です。

法人の事業承継はなぜ進まない?

事業承継のための優遇税制があり、行政主導でのマッチング、民間のM&Aやファンドなどの受け皿があるにもかかわらず、事業承継がいっこうに進まない原因は、もっと別のところにあるのでは?

今、東証1部上場企業の数は、約2000社。このうち、経営をやってみたいと思える魅力的な企業がどのくらいあるでしょう。

”役員になってくれ”と言われても、なりたくない企業もあるんじゃないでしょうか。理由は、経営責任があるから。場合によっては、株主代表訴訟の被告席に立たされる可能性だってあります。

中小企業であれば、債務保証などのリスクがありますから、”君にぜひ社長になってほしい”と言われても、喜んで引き受けることができないのが実情。

統計数字からは、このあたりの事情は見えてきません。しかし、3万件の相談数に対して2000件しか解決できていない背景には、中小企業ならではの様々な事情があるはずです。

意欲ある若者が経営してみたいほどの魅力があるか?

中小企業の基準は、業種によっても違いますが、資本金についていえば、製造業その他なら3億円以下、サービス業では5000万円以下などと定義されています。

全会社数261万社のうち、資本金5000万円未満の企業数は、252万社。つまりほとんどが中小企業ということになります。

このうち黒字企業がどのくらいあるでしょう。

手元の帝国データ「財務諸表分析統計」平成28年版を見てみると、資本金1億円以下の企業では約30%が赤字。

資本金が小さくなるほど、赤字企業が増える傾向にありますから、資本金5000万円以下、さらには1000万円以下の企業の経営が楽でないことがわかります。

なかには、仕事のほとんどが”金繰り”という経営者も多いはず。

そんな経営者の苦労を目の当たりにして、経営を引継ぎたいと名乗り出る若者が果たしてどれくらいいるでしょうか。

自分の子どもですら、”親のあとを継ぎたくない”と明言する姿を何度も目にしてきました。

ある企業では、長年大手自動車メーカーの高級車専用のプラスチック部品を、射出成型により製造していましたが、後継者がいませんでした。

債務超過ではありませんでしたが、身内からは事業を引き継ぎたいと名乗り出る方は現れず、娘さんがしばらくサポートしておりましたが、最終的に廃業しました。

まとめ

私も、事業承継についての相談を何度か受けていますが、なかには息子には継がせたくない、と答える経営者もいます。

大手企業の下請けや孫請けで、安定受注と言いたいところですが、親会社の方針転換に一喜一憂。購買担当者へのご機嫌伺いなどの苦労を、息子にさせたくないとのこと。

また、最終的に身内ではなく、従業員へ株式を譲渡することを決めた会社もありました。最終決断まで、3年ほどかかったでしょうか。技術系の会社でしたから、経営者の気持ちも理解できました。

しかし、優良企業のため株式評価額が高かったので、従業員へ譲渡方法については課題を残したままになっています。

いずれにしても、あまり従業員を抱えずできるだけスリムにしておくこと。そして、将来の展望が見えるような魅力ある会社にしておくことが、事業承継対策の第一歩と考えます。

一発大逆転という企業も、無いとは言いませんが・・・。

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