子供がいると、人生の生きがいやライフスタイルが変わり、楽しみも増えてきます。
もちろん、苦労や心配も多いですが・・・。
妊娠中は、お腹の赤ちゃんの健康が心配ですが、普段の食生活で栄養が足りるのか、不安をかかえる女性が多いようです。
なかでも、葉酸は、普段の食生活では十分摂取できない栄養素として、厚生労働省はサプリメントなどで補うことを推奨しています。
しかし、いつどのように飲めばいいのか、よくわからないという方が多いようです。
また、サプリメントには、葉酸以外の成分を併せて配合しているものも多く、普段からサプリメントを飲む習慣がある人は、特定の成分を過剰に摂取してしまうことも考えられます。
そもそも、葉酸が不足すると、赤ちゃんにどんな影響があるのか、その点についてもしっかり理解しておく必要があります。
国立研究開発法人「医療基盤・健康・栄養研究所」からも、新たな通知(2019.11.26)が出されていますので、その内容をふまえながら確認していきます。
葉酸サプリを飲むのはいつから? 欠乏すると・・・妊活の効果は?
妊娠中に葉酸をおぎなうことが推奨されていますが、必要な栄養素は、食事でおぎなうのが理想的です。
しかし、どうしても食べられない場合や欠乏症が疑われる場合に、医師などの医療従事者と相談して医薬品を処方してもらうか、単一成分のみを含んだサプリメントを摂取するようすすめています。
しかし、市販のサプリメントには、単一成分のものはほぼ無く、妊娠そのものに効果がないとする声もあります。
しかし、「AERA」の記事によれば、海外では、葉酸で妊娠率が上がったとの研究発表も。
葉酸サプリはいつから飲み始めればいい?
葉酸サプリは、妊活サプリともいわれるように、妊娠する前から飲み始める必要があります。
これは、葉酸の摂取によって、赤ちゃんの神経管閉鎖障害のリスクを減らすことができるからです。
葉酸を摂る時期について、国立研究所では、つぎのように説明しています。
妊娠の1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までの期間に一定量の葉酸を摂取する必要があります。
お腹の赤ちゃんの神経管がつくられるのは、妊娠のとても早い段階なので、妊娠に気づく前に障害のリスクが高くなるためです。
さらに、次のように説明しています。
神経管閉鎖障害のリスクを減らすために普段の食事に加えて、葉酸400μg(マイクログラム)/日の摂取が推奨されるのは妊娠3ヶ月までですが、3ヶ月以降の妊娠期間は480μg/日を、授乳期間は340μg/日を目指して葉酸の多い食品を摂取するように心がけましょう。
一般的には、葉酸1日400㎍が食事以外に必要と言われますが、その後の妊娠期間から授乳期間まで、摂取を継続することを推奨しています。
葉酸が不足したら赤ちゃんはどうなる?神経管閉鎖障害とは
胎児の神経管閉鎖障害は、胎児の神経管がうまくつながらないために起こる先天性異常のことで、二分脊椎・髄膜瘤・無脳症などがあります。
症状によっては、死産や重大な障害が残る可能性があります。
胎児の神経管ができるのが、妊娠初期の段階ですから、赤ちゃんが欲しいと決めたら、葉酸サプリを早目に飲み始めたほうがいいと言えるでしょう。
葉酸サプリを摂れば妊娠しやすくなる?
葉酸サプリは、妊活サプリと言われるように、妊娠率を上げる目的で飲まれる方もいます。
もちろん、葉酸によって不妊症が治るというわけではありません。
AERAによれば、ハンガリーの研究発表で、妊娠を希望する女性を2つのグループに分け、一方のグループに、葉酸800㎍を含むマルチビタミンサプリメントを飲んでもらいました。
そして、もう一方のグループには、銅・マグネシウム・亜鉛・ビタミンCを含んだサプリメントを飲んでもらい、14カ月間追跡調査したそうです。
その結果、葉酸を含むマルチビタミンを飲んだ女性の妊娠確率が71.3%だったのに対して、もう一方サプリメントのグループでは67.9%。
わずかな差、と思うかもしれませんが、妊娠において、この3.4%の差はかなり大きな違いです。
妊娠できなかった約3割の女性は、不妊症ということになりますが、そのうち約1割が妊娠できたと考えることができます。
葉酸は男性にも効果がある?
妊娠できない原因の半分は男性にある、と言われます。
実際に、男性の精子の数が減ってきているだけでなく、元気もなくなっていると言われます。
いまでは、不妊治療を始める前に、男性も一緒に検査を受けることが推奨され、専門のクリニックもあります。
じつは、葉酸は、男性にも効果があると言われています。
その根拠となるのが、2002年の南アフリカの研究で、103人の不妊症の男性に、葉酸と亜鉛のサプリメントを26週間飲んでもらったところ、精子の濃度が有意に増加したという結果になったそうです。
なぜ食事では葉酸を十分に摂れないのか?
葉酸は、水溶性ビタミンとして、多くの食品に含まれています。
緑黄色野菜や大豆、レバーなどに含まれていますが、食品として摂取したときに、体内への吸収率は50%程度と言われています。
これが、食品だけでは葉酸が十分摂取できない理由です。
サプリメントに配合される葉酸は、食品に含まれるものとは型が違うので、体内への吸収率は85%ぐらいになるそうです。
つまり、葉酸サプリのほうが、目的の摂取量を補充するには効果的ということになります。
これが、サプリメントで摂取することが推奨されている理由です。
葉酸は過剰摂取に注意!
妊産婦さんには必要な葉酸ですが、過剰摂取によって、赤ちゃんが喘息になるリスク、また呼吸器系のアレルギーのリスクが高まる可能性があると言われます。
AERAによれば、オーストラリアの調査では、妊娠後期に葉酸サプリメントを1000マイクログラム摂るごとに、3歳半のときに喘息になっているリスクが1.23倍になったとの結果もあるようです。
一方で、関連を否定する論文も複数あるようですが、いずれにしても過剰摂取は要注意!
葉酸サプリの摂取量は、厚生労働省の推奨どおり、1日400㎍程度を守ったほうがいいでしょう。
また、これから妊活という方は、女性だけでなく、男性も一緒に摂ることをおすすめします。
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