マイホームの買換え特例で400万円の税金還付!

お金のこと

消費税が10%になる前にマイホームを買い替えようという方もいらっしゃると思います。

いま住んでいるマイホームを売却して損失が出た場合、2つの税制特例に該当する可能性がありますが、専門家の思い違いから、払わなくていい税金を払いそうになったケースがありましたので、実例を紹介します。

マイホーム買換えの譲渡損失で税金を取り戻す方法とは

マイホームを売却したときに譲渡損失が出た場合の税制特例には、2種類あります。

①買換えのための売却で譲渡損失が出たとき
住宅ローンが残っている状態で譲渡損失が出たとき

②住宅ローンが残っている状態で譲渡損失が出たときに該当するケースは、少ないと思われます。なぜなら、マイホームを譲渡したときの金額が、住宅ローンの残高を下回っていること、などが条件になっているからです。バブルがはじけた後は、これに該当するケースがかなりありました。

今回は、買換えるための売却で譲渡損失が出たときに該当した実例です。

不動産業者・司法書士など専門家が特例を適用できないと思いこんだケース

マイホームを買換えた時に譲渡損失が発生したときの特例については、専門家や関係者が熟知しているものと思いこんでいるようです。

しかし、不動産取引にかかわった関係者全員が、この特例を適用できないと勘違いしたために、危うく不要な税金を払うことになりかけたケースが発生しました。

結果的には、不動産売買の取引日を延期して未然に損失を回避しました。

マイホームを買い替えることになった経緯

バブル崩壊後、不動産価格の下落もようやく止まり始めたと思われたころに、5000万円で購入した新築マイホーム。

しかし、その後も経済環境は悪化、平成12,3年ごろになると企業の業績悪化から、金融機関を含む大手企業でも早期退職者を募集。年齢45歳で線引き、退職金を上乗せして実質的な肩たたき。

住宅ローンの返済を考えると、将来に不安が。当時の不動産相場(3000万円)なら住売却価格で宅ローンの残債を完済できると判断し、住み慣れてきたマイホームの売却を決断しました。

ずるずる引き延ばすのは、禁物!

新しいマイホームをどうする?

現在住んでいるマイホームを売却したとして、新居が決まらなければ困ります。かといって、また新たに新築戸建てを購入するのでは、これまでと同じこと。

築30年以上の実家を、増改築して住むことに決定。

”譲渡損失の特例は使えない”と不動産業・司法書士・税理士・銀行から言われた

実家を増改築して住み替える計画を関係者に伝えたところ、専門家全員から”譲渡損失の特例は使えない”との答えがかえってきました。

その時点では、特例の条文を読み込んでいませんでしたから、”新築の住居を購入するわけではないし、本体の築年も古いから仕方ない”と、いったんは納得。

特例には「新居宅」としか書いてないが・・・

国税庁のHPには、マイホームを買い替えたときに譲渡損失が出た場合の繰越控除の特例について解説があります。※タックスアンサーNo.3370

この解説に、新たに取得する予定のマイホームを「新居宅」と説明していますが、この「新居宅」の解釈について、関係者は「新築」と思いこんでいたようです。

もっとも、この不動産取引があった時点(平成14年・2002年)には、No.3370の記事はなかったように思います。

譲渡損失の特例が使えないことに失望しながらマイホームの売却手続きへ

関係者の全員一致で、”譲渡損失の特例は使えない”と言われ、特例の適用をあきらめて、住んでいたマイホームの売却手続きを進めることになりました。

もちろん、実家の増改築も同時進行です。

マイホームを買い替えるときに、譲渡損失の繰越控除の特例を適用するためには、「新居宅」について10年以上の住宅ローンが残っていることが条件です。

しかし、譲渡損失の繰越控除の特例が使えないとなれば、住宅ローンを組む必要もありません。退職金のなかから現金で増改築する計画でいました。

納得できないままとうとう不動産売買契約の日が!

現在すんでいるマイホームを売却する手続きの日がやってきました。

買主側の取引銀行の一室に、売り手(当方)と買い手側(買主・司法書士・銀行住宅ローン担当者)が集合。

当方は、私一人。

抵当権抹消書類もすべて自分で作成。理由は、司法書士に払うのがもったいないから。土地・建物あわせて2筆ですから、自分で作成すれば2000円で済みます。

先方の司法書士からは、”登記費用がもったいないから?”と嫌味を言われましたが・・・。

売買契約書に印鑑をつく直前に国税庁へ問合せ!

互いに不動産取引の関係書類を確認しあってから、いよいよ契約書に捺印という段になりましたが、私の腹の中ではまだすっきりしていませんでした。

そこで先方に、”最後にもう一度だけ、譲渡損失の特例について国税庁へ確認させてほしい” と頼みました。

先方全員から了承を得て、取引の場から携帯で国税庁へ直接問い合わせ。

”自宅を売却して、新たに実家を増改築して住む場合、譲渡損失の特例は適用にならないのでしょうか?「新築」とは書いてないし、築年についての条件もありませんが・・・”

国税庁からの回答は1時間後!

先方のイライラも伝わってきましたが、”すいません”と弁解しながらも納得できない契約に印鑑を押すわけにはいきませんでした。

国税庁から正式回答が来たのは、問合せしてから1時間後でした。

”結論は、ご質問の通りです。条文について内部で充分検討した結果、確かに新築であることや築年数の条件はありません。”

私が取引の現場から電話していることを伝えてありますので、急いでくれたようです。説明によれば、だいぶ内部でいろいろ検討したようです。

不動産売買の契約日を延期

先方の関係者へ国税庁からの回答を伝え、売買契約手続きを延期したいと伝えました。すでに、全員が集まってから1時間半以上経過していたと思います。

司法書士、銀行の住宅ローン担当者もみずからの勘違いを認め、契約締結を数週間あとへずらす決定をしてくれました。

買主が了承してくれたことが一番の救いだったように思います。

新居宅の増改築について住宅ローンを新たに組む

買換えのための売却によって譲渡損失が出たときの特例を適用するためには、新居宅について10年以上の住宅ローンが残っていることが条件の一つになっています。

私が、数週間の猶予期間を設けたのは、この住宅ローン手続きのため。加えて、特例適用のために諸々の契約日等の整合性をもたせる必要がありました。

すべてが、根底から覆ってしまったわけですから・・・。

譲渡損失申告を退職金支給のタイミングに合わせる

譲渡損失の金額は、次年度以降の申告とあわせ最長4年間の給与所得や事業所得から差し引くことができます。

サラリーマンであれば、一番効率がいいのは退職金の年に譲渡損失を申告することです。

2000万円の損失額のうち、1000万円は当年度分の所得から控除し、控除しきれない1000万円は退職金が支給される翌年度へ繰越し。

最終的な税金の還付額合計は400万円!

実際には、売却した年度分と翌年度分の申告について、給与所得と退職金所得の課税額に対し、合算で400万円の節税

2年間通期で還付された税金です。

もし、あのとき国税庁へ電話していなかっら、と考えたらぞっとします。税金の還付が終わったあと、新居宅の住宅ローンを完済したことは、いうまでもありません。

まとめ

多分、わたしのようなケースが、それまでの不動産取引においてもあったはず。私自身も、身をもって体験しなければそのまま見過ごしていたでしょう。

その後も金融機関で仕事をしてきましたから、仕事柄、不動産取引の現場には数多く立ち会ってきました。

個人・法人、宅地開発から競売まで、さまざまな不動産案件扱ってきましたが、契約当日にキャンセルしたケースは前にも後にも自身の取引き1回限り。

消費税が10%に上がるまえに、マイホームの住み替えなど考えている方の参考にしていただければ幸いです。

なお、この記事は平成14年、15年の時点での情報をもとにして書きました。記事内の金額は、数字をわかりやすくするために丸めました。

本特例は、マイホーム(旧居宅)を平成31年(2019年)12月31日までに売却することが条件になっていること、また、実際の取引に際しては、各専門家と充分打ち合わせたうえで最終結論を出してください。

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