女優・樹木希林さんは、2018年9月15日に75歳で亡くなり、葬儀は東京港区にある臨済宗の寺・慈眼山光林寺で執りおこなわれました。
その後、遺骨はいったんご自宅に戻り、あらためて樹木葬で埋葬されたようです。
翌年、2019年1月12日には、樹木希林さんの最後の映画『あん』で共演した女優・市原悦子さんが82歳で亡くなり、樹木希林さんと同じく樹木葬で埋葬されました。
市原悦子さんは、生前から”森の中で眠りたい”と、樹木葬を望んでいたとのこと、関東近郊の樹木葬墓地に眠っています。
樹木葬を希望する人が増えている理由は費用だけではない
樹木葬は、永代供養の一つの形として、看取る家族がいない独身者にとっては理想的な弔い方かもしれません。また、個人墓や家墓を比べると費用が安いことから、近年、特に注目を集めるようになりました。
しかし、樹木希林さんや市原悦子さんが樹木葬を望んだ理由を知り、樹木葬の本質には、自然へ還るという純粋な死生観があることにあらためて気づかされました。
ただ、自然に還ることを希望して生前に樹木葬で契約したものの、あとから後悔している方もいるようですので、早急な結論は避けたほうがいいでしょう。
樹木葬の特徴
- 永代供養なので跡継ぎが要らない
- 埋葬費用が安くなる
- 自然に還る実感がある
永代供養なので跡継ぎが要らない
樹木葬は、永代供養の一つの形です。
永代供養とは、代々永続的に供養してもらうことを言い、墓を守る跡継ぎがいなくても、安心して寺や霊園に管理をお願いすることができるのが特徴です。
そのため、一人住まいで跡継ぎがいない方などに向いている方式といえます。
ただし、個別埋葬型の樹木葬についても、一定期間が過ぎれば、最終的に合祀型の樹木墓地へ移されます。
埋葬費用が安くなる
樹木葬の場合、個人墓や家墓のように墓石を建てる必要がありませんので、通常の墓地を購入する場合と比べ、費用はかなり安くおさえることができます。
樹木葬の費用は、総額で10万円~100万円程度です。
個人墓で墓石を建てるとなれば、全国平均で174万円(永代供養料約40万円+墓石約134万円)ぐらいかかりますから、樹木葬では費用がかなり安く抑えらることがわかります。
自然に還る実感がある
樹木希林さんや市原悦子さんのように、樹木葬を希望する方には、”自然に還りたい” ”自然に包まれて安らかに眠りたい” と希望する方が少なくありません。
個人の死生観による選択肢の一つと考えていいでしょう。
「個人墓」または「合祀墓」の2つの選択肢
樹木葬にも、一般的に「個人墓」と「合祀墓」の2種類があり、どちらか選べる墓所が多くなっています。
また、2人用や、ペットが一緒に埋葬できるものもあり選択肢の幅が多いもの特徴の一つです。
ただ、個人墓であっても、10年、20年、30年など、一定期間が経過すれば、最終的には合祀墓へ移されることになります。
「里山型」か「公園型」どちらを選ぶ?
樹木葬には、大きく分けて「里山型」と「公園型」の2種類があります。
里山型は、整備された里山の区画された場所に埋葬しますので、自然に近い形になりますから、自然に還るイメージが実感できます。
公園型は「ガーデン型」とも言われるように、庭園のような雰囲気の墓所に埋葬します。
樹木ではなく、草花が植えられる場合もあり、季節には樹々の緑や草花が咲き乱れ、目を楽しませてくれます。都市部の墓地に多くみられます。
後悔しないために知っておくべきこと
- 単独の樹木葬でも一定期間が経つと合祀される
- 寺院墓地の場合は改宗が必要になることもある
- 合祀されたあとは改葬できなくなる
- 自分で墓所の手入れはできない
- 家族から反発されることもある
- 新緑の季節だけをイメージすると後悔することも
樹木葬は永代供養になりますので、「個人墓」であったとしても、最終的には「合祀墓」へ移されることになります。
合祀されると改葬することができなくなりますので、埋葬場所は慎重に決めたほうがいいでしょう。
また、家族など後継者がいる場合、次のような不満も出てきます。
●どこでお参りしたらいいのかはっきりしない
●自分たちの墓は別に考えなといけない
●住まいが別の土地へ移るとお参りできない
<こんな後悔も>
新緑がきれいな5月に里山型を見学して生前購入したが、冬に行ってみたら、寂しい感じでイメージが違った。いまは、もっと調べてから購入すれば良かったと後悔している。
東京の樹木葬の費用
東京エリアの樹木葬について、「お墓さがし」での検索結果をいくつか紹介します。※2022.4.23現在
墓地・霊園名 | 所在地 | 金額 |
上野さくら浄苑 | 台東区上野桜木 | 78万円~ |
中目黒樹木葬墓地 | 東京都目黒区中目黒 | 40万円~ |
フラワーメモリアル国立府中 | 東京都府中市四谷 | 38万円~ |
メモリアルパーククラウド御殿山 | 東京都町田市相模原 | 16万円~ |
神楽坂真清浄寺 六角堂「ひかり」・樹木葬 | 東京都新宿区西五軒町 | 3万円~ |
町田いずみ浄苑 | 東京都町田市真光寺町 | 50万円~ |
まとめ
葬儀や墓地の形は、本人の希望をかなえることが一番の供養になることは間違いありません。
しかし、墓地は本人だけでなく、残された遺族の心の拠り所にもなっています。
また、樹木葬などで永代供養した場合、改葬や分骨ができなくなることで、遺族の思いが届きにくくなることも考えておく必要がありそうです。
私は、先祖の墓所が遠隔地だったので、改葬のために”墓じまい”をしました。しかし、改葬先の墓地では、まだ永代供養にはしていません。
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