都立霊園での樹木葬は、2020年度までは「都立・小平霊園」1か所だけでしたが、2021年度から、多磨霊園でも樹林型合葬埋蔵施設の募集が開始しました。
しかし、2024年度の都立霊園・樹木型合葬埋蔵施設(樹木墓地)の募集状況では、多磨霊園だけの募集となっています。
申込書配布 令和5年6月14日(金曜日)から7月5日(金曜日)まで
申込期間 同上
抽選日 令和5年8月16日(金曜日)
使用許可 令和5年12月交付予定
都立霊園の樹木葬は、料金が安いこと、宗旨に関係がない、などが人気の理由ですが、一方で、樹木葬ならではの不満を感じている方もいらっしゃるようです。
東京都立小平霊園を参考に、樹木葬について確認していきます。
都立霊園の抽選は、8月上旬に「受付番号が通知」され、中旬ごろに「抽選」がおこなわれます。9月初めに、「抽選結果(当選・補欠・落選)」が全員に発送され、9月中旬以降の指定日に、「必要な審査書類一式を提出」します。形式審査と実質審査によって決定し、11月ごろに、「納入通知書が発送」されます。「使用許可証が交付」されるのは、12月ごろになります。
都立霊園・樹木葬は大人気!でも後悔している人も・・・
東京では、2012年に、小平霊園が公営霊園としてはじめて樹木葬の募集をおこないました。
東京都立霊園では、2020年度までに樹林葬あるいは樹木葬を受付ているのは小平霊園だけでしたが、2021年度に、多磨霊園でも樹林型合葬埋蔵施設の募集が開始されました。
しかし、小平霊園は、2023年度から、樹木型合葬埋蔵施設(樹木墓地)の募集はありません。多磨霊園では、樹林型合葬埋蔵施設(樹林墓地)の募集数が若干増えました。
【2024年度】都立霊園樹木葬・樹林葬募集状況
<多磨霊園>
- 樹林型合葬埋蔵施設(樹林墓地3号基) 2,360体(前年度2,290体)
年1回おこなわれる抽選では、10倍を超えていた時期もありましたが、かなり落ち着いてきました。
2023年度の公募倍率は、一般埋蔵施設 1.7倍、合葬埋蔵施設 6.6倍、樹林型合葬埋蔵施設 2.7倍です。
一般埋蔵施設の倍率はあまり変わりませんが、2023年度から募集を開始した合葬埋蔵施設の人気が高いようです。
【2023年度】都立霊園・樹木葬・樹林葬の応募状況
霊園名 | 種別 | 募集数(体) | 受付数(体) | 倍率 | 参考 昨年度倍率 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
多磨霊園 | 樹林型合葬埋蔵施設 | 2,290 | 6,245 | 2.7 | 2.9 |
霊園名 | 種別 | 募集数(体) | 受付数(体) | 倍率 | 参考 昨年度倍率 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
小平霊園 | 樹木型合葬埋蔵施設 | ー | ー | ー | 1.7 |
2022年度の応募状況では、樹木葬の倍率もかなり落ち着いています。一般埋蔵施設と同じような倍率です。
【2023年度】都立霊園・樹木葬・樹林葬の使用料
なお、樹林墓地の遺骨1体当りの使用料は、以下の通りです。※管理料はありません。
◎多磨霊園
種別 | 募集数(体) | 使用料 |
樹林型合葬埋蔵施設 (2号基) | 遺骨1・2体用 遺骨・生前2体用 生前1・2体用 | 遺骨1体あたり 91,000円 |
粉状遺骨1体あたり 30,000円 |
都立霊園樹木葬・使用料の推移
都立霊園の樹木葬の使用料について、その推移を調べてみました。
<使用料推移>
2024年度 | 2023年度 | 2022年度 | 2021年度 | 2015年 | |
樹林型合葬埋蔵施設 | 遺骨1体あたり 91,000円 | 遺骨1体あたり 86,000円 | 遺骨1体あたり 86,000円 | 91,000円 | 41,000円 |
粉状遺骨1体あたり 30,000円 | 粉状遺骨1体あたり 28,000円 | 粉状遺骨1体あたり 28,000円 | 30,000円 | ||
樹木型合葬埋蔵施設 | ー | ー | 遺骨1体あたり 191,000円 | 194,000円 | 183,000円 |
※樹林型、樹木型、ともに管理料は不要です。
樹木葬の使用料は、2024年度は上昇に転じています。とはいえ管理料が不要ですから、一般墓とくらべるとかなり割安感があります。
また、粉状遺骨のほうが、通常の遺骨より料金がかなり安く設定されていますので、粉状にしてから納めたほうがいいかもでしれません。ちなみに、通常の遺骨を粉状にする料金は、5万円ぐらいです。
都立霊園の樹木葬の応募方法とその後の流れ
具体的な募集要項は、6月ごろに「申込みのしおり」が、都立霊園公式サイト「TOKYO霊園さんぽ」にアップされます。
<申込方法>
〇専用申込書を郵送する
〇インターネットで申込む
<公開抽選>
・公開抽選会をおこない、結果が順次サイトに掲載されます。
<資格審査>
・必要書類をもとに、書類審査がおこなわれます。
<支払い>
・使用料と管理用を支払います。
<許可証の交付>
・入金確認後、使用許可証が交付されます。
居住要件は、遺骨の方ではなく、申込みする人及び合葬埋蔵施設において、埋蔵を予定する存命者に対して必要な資格になります。
東京都立多磨霊園
住所:〒189-0012 東京都府中市多磨町4丁目628番地
問合先:042-365-2079 多摩霊園管理事務所
多磨霊園は、”多摩”とよく間違われますが、正しくは”多磨”。一方、鉄道の路線「西武多摩川線」は”多摩”なので、多摩川と同じ。ちょっと紛らわしいですね。
面積は、都立霊園では最大の128万㎢(約39万坪)。ゴルフ場が2つできそうな面積です。
【参考】東京都立小平霊園 ※2023年度以降、樹木葬の募集はありません
住所:〒189-0012 東村山市萩山町1-16-1
問合先:042-341-0050 小平霊園管理事務所
徒歩5分と書きましたが、小平駅の北口からすぐです。数件並んだ石屋さんの前を過ぎれば入口。
園内は、公園のような雰囲気でとても気持ちがいい霊園です。もう少し広ければゴルフ場ができるぐらいの広さがあります。
霊園の北側には、新青梅街道という大きな通りが走っていて、地元の人は公園内の道を生活用道路のように使っています。
樹林型と樹木型の違い
一般的に「樹木葬」と呼びますが、小平霊園の場合、正式には「樹林型合葬埋蔵施設」「樹木型合葬埋蔵施設」といいます。
それぞれの特徴は、次のとおりです。
樹林型合葬埋蔵施設
<特徴>
- 直接、土に触れるかたちで共同埋蔵されます。
- 遺骨での申込みだけでなく生前申込もできます。
- 後継者がいなくても申込できます。
- 「遺骨」「粉状遺骨」のどちらかになります。
※2体用の場合、同じ方法での埋蔵になります。 - 墓誌の設置はありません。
<埋蔵方法>
樹林の下に設置されたカロートと呼ばれる共同埋蔵施設に、共同埋蔵されます。
遺骨は、納骨袋に入れられた形で、直接土に触れるかたちでの埋蔵です。
カロート [出典]都立霊園申込のしおり
<納骨の方法>
管理事務所での手続き終了後、職員の手によって埋蔵されますが、次のように決められています。
- 埋蔵場所は指定できません。
- 遺族が立ち会うことはできません。
- 骨壺は返却されません。
- 使用許可日から3年以内に納骨する必要があります。
※生前申込はのぞきます。
<参拝方法>
- 焼香や献花は、墓地正面の参拝広場にある献花台でおこないます。
- 毎年5月4日(みどりの日)に献花式がおこなわれます。
樹木型合葬埋蔵施設
小平霊園・樹木型合葬埋蔵施設 [出典]都立霊園申込のしおり
<特徴>
- 直接土に触れるかたちで遺骨を1体づつ埋蔵します。
- 埋蔵場所の指定はできません。
- 遺骨申込区分のみで生前申込はできません。
- 後継者がいなくても申込できます。
- 2体用の申込は「夫婦」「親子」「兄弟姉妹」にかぎります。
- 墓誌の設置はありません。
<埋蔵方法>
樹木の周辺に、遺骨を納骨袋に入れた状態で、直接土に触れるかたちで1体づつ埋蔵します。
埋蔵場所の例 [出典]都立霊園申込のしおり
<納骨の方法>
管理事務所での手続き終了後、職員の手によって埋蔵されますが、次のように決められています。
- 埋蔵場所は指定できません。
- 遺族が立ち会うことはできません。
- 骨壺は返却されません。
- 粉状遺骨の場合でも料金は変わりません。
- 使用許可日から3年以内に納骨する必要があります。
<参拝方法>
- 焼香や献花は、墓地正面の参拝広場にある献花台でおこないます。
- 毎年5月4日(みどりの日)に献花式がおこなわれます。
都立霊園の樹木葬での留意点
- 埋蔵した遺骨は返してもらえない
- 樹木型に生前申込ができない
- 申込者は都内に3年以上継続して居住していること
- 2体用の場合、夫婦、親子、または兄弟姉妹であること
※「生前申込」と「遺骨申込」で違いますので、詳細は「申込のしおり」をご確認ください。
埋蔵した遺骨は返してもらえない
一般的な墓地では、永代供養の個別墓であれば、合祀墓へ移される前であれば、改葬することができます。
個別墓というのは、一人ひとりのお墓です。永代供養の場合、10年、20年、30年など一定期間が経過すると、合祀墓へ遺骨が移されます。
合祀墓へ遺骨が移されてしまうと、遺骨を取り出すことができなくなります。
後継者がいる場合には、家族でよく相談しないともめる原因になることがあります。
樹木型合葬埋蔵施設に生前申込はできない
小平霊園の樹木型合葬埋蔵施設は、現在、存命中の人は申込みできません。
将来、夫婦で入りたいという方もいるようですが、この場合、樹林型合葬埋蔵施設を申し込むことになります。
申込者は都内に3年以上継続して居住していること
小平霊園の樹林型あるいは樹木型施設への申込者は、都内に3年以上居住していることが条件になります。
【参考】小平霊園・樹木葬を購入した方の感想
実際に購入した50代女性の感想をまとめました。
ご主人がいますが、子供はいらっしゃいません。両親の墓地がありましたが、遠方のため権利放棄。
その後、実家と妹と一緒に入ることができる寺院墓地の家族墓を検討したが、金銭的に余裕がなく断念。
<樹木葬を購入しようと思ったきっかけ>
当時、小平霊園が樹林墓地の募集が始まり、大盛況というニュースを聞いて、2回目に応募。
静かな広い空間が気に入り、購入を決意。
<小平霊園の樹林墓地の費用>
1体134,000円×2=268,000円
※管理手数料無し
樹林墓地を購入して悪かった点
- 埋葬場所を選べないので夫婦別々のカロートに入れられる可能性がある
- 墓碑銘がないのでどこへ向かって拝んだらいいかわからない
- 都立の樹林墓地ではペットと合葬してもらえない
- 家族単位の樹木葬にしたかった
妹さんからは、”墓碑のないなんて寂しい” と言われたそうです。
このようなお気持ちの方には、樹木葬よりも、一般の「永代供養墓」のほうがおすすめです。
永代供養については、こちらの記事を参考にしてください。
まとめ
都立霊園での樹林型合葬埋蔵施設の募集は、2023年度以降、多磨霊園だけとなっています。
樹木葬は、一時期とても人気になりましたが、単に価格だけで決めてしまい、あとで後悔する例もあるようです。
後継者や近い親戚がいる場合には、供養したいと思う遺族の気持ちも考える必要があります。
実際に購入したあとで、妹さんから”寂しい”と言われることが無いように、家族の理解を得ることも大事だと思います。
一般埋蔵施設の人気が安定しているのは、単に金銭的な負担だけで比較することができない家族の気持ちを反映しているのかもしれません。
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