公営霊園で樹木葬をおこなっているところが徐々に増えていますが、まだ限られています。2020年の募集要項では、東京は「都立・小平霊園」1か所だけでした。
料金が安いこと、宗旨に関係がない、などが人気の理由のようです。一方で、樹木葬ならではの不満を感じている方も・・・。
東京都立小平霊園を参考に、樹木葬について確認していきます。
小平霊園の樹木葬は大人気!でも後悔している人も・・・
東京では、2012年に、小平霊園が公営霊園としてはじめて樹木葬の募集をおこないました。
東京都立霊園の2020年度の募集要項によれば、樹林葬あるいは樹木葬を受付ているのは、まだ小平霊園だけです。
<2020年度募集状況>
- 樹林型合葬埋蔵施設(樹林墓地) 719体
- 樹木型合葬埋蔵施設(樹木墓地) 400体
年1回おこなわれる抽選では、一時期10倍を超えていましたが、過熱ぶりも徐々に落ち着いてきたようです。
大人気と聞いて、”とりあえず応募してみよう”という人もいるようです。当選してから、さてどうしようという方も・・・。
2020年度の都立霊園樹木葬の募集について
2020年度・都立霊園の募集スケジュールは以下のとおりですが、樹木葬の募集については、これまでと同じく小平霊園だけです。
申込書配布:令和2年6月18日(木曜日)から7月7日(火曜日)まで
申込期間:同上
抽選日:令和2年8月20日(木曜日)
使用許可:令和3年1月
2020年度小平霊園・樹木葬の募集数
種別 | 募集数(体) | 倍率 |
樹林型合葬埋蔵施設 (樹林墓地) | 719体 | 14.4倍 |
樹木型合葬埋蔵施設 (樹木墓地) | 400体 | 1.1倍 |
2020年度の募集数は2019年と同じですが、2018年度の募集と比較すると、樹林型合葬埋蔵施設(樹林墓地)の数が大きく減少しています。また、倍率は2019年度と比べて、「樹林墓地」「樹木墓地」どちらも若干減少しました。
なお、樹林墓地の遺骨1体当りの使用料は、以下の通りです。どちらも、管理料はありません。
種別 | 募集数(体) | 使用料 |
樹林型合葬埋蔵施設 (樹林墓地) | 遺骨1・2体用 遺骨・生前2体用 生前1・2体用 | 遺骨1体あたり 134,000円 |
粉状遺骨1体あたり 44,000円 | ||
樹木型合葬埋蔵施設 (樹木墓地) | 遺骨1・2体用 | 遺骨1体あたり 194,000円 |
なお、合葬埋蔵施設で、もっとも募集数が多いのは、八柱霊園で2000体となっています。八柱霊園も、募集数は2019年度と同じです。
小平霊園樹木葬の応募状況
<2020年度>
募集数(体) | 受付数(体) | 倍率 | 倍率 (2019年) | |
樹林型合葬埋蔵施設 | 719 | 10,337 | 14.4 | 15.7 |
樹木型合葬埋蔵施設 | 400 | 449 | 1.1 | 1.2 |
参考までに、一般埋葬の応募状況については、以下の通りでした。
募集数(体) | 受付数(体) | 倍率 | 倍率(2019年) | |
一般埋蔵施設 | 85 | 463 | 5.4 | 6.3 |
芝生埋蔵施設 | 17 | 95 | 5.6 | 3.3 |
「小型芝生埋蔵施設」については、2020年度はありませんでした。
「樹林型の合葬埋蔵施設」への応募が、一般墓地より圧倒的に応募数が多いことがわかります。
しかし、おなじ合葬埋蔵施設であっても、樹林型は一般墓地と比べて、それほど人気がありません。やはり、使用量が安いことが人気の理由のようです。
小平霊園の樹木葬の使用料
あらためて、小平霊園の樹木葬の使用料を前年度と比較しました。
<使用料比較>
2020年度 | 2019年度 | 使用料(2015年) | |
樹林型合葬埋蔵施設 | 遺骨1体あたり 134,000円 | 128,000 | 41,000 |
粉状遺骨1体あたり 44,000円 | 42,000 | ||
樹木型合葬埋蔵施設 | 遺骨1体あたり 194,000円 | 188,000 | 183,000 |
※樹林型、樹木型、ともに管理料は不要です。
2020年度の使用料は、前年度とくらべて3~4%上昇しましたが、2015年度と比較すると、樹林型は3倍以上の使用料になっています。
また、粉状遺骨のほうが、通常の遺骨より料金がかなり安く設定されていることがわかります。
できれば、粉状にしてから納めたほうがいいかもでしれません。通常の遺骨を粉状にする料金は、5万円ぐらいです。
東京都立・小平霊園の樹木葬の応募方法とその後の流れについて
小平霊園の募集は、毎年1回の都立霊園の募集のときに他の霊園と同時におこなわれます。
具体的な募集要項は、6月ごろに「申込みのしおり」が、都立霊園公式サイト「TOKYO霊園さんぽ」にアップされます。
<申込方法>
〇専用申込書を郵送する
〇インターネットで申込む
<公開抽選>
・公開抽選会をおこない、結果が順次サイトに掲載されます。
<資格審査>
・必要書類をもとに、書類審査がおこなわれます。
<支払い>
・使用料と管理用を支払います。
<許可証の交付>
・入金確認後、使用許可証が交付されます。
居住要件は、遺骨の方ではなく、申込みする人及び合葬埋蔵施設において、埋蔵を予定する存命者に対して必要な資格になります。
<東京都立小平霊園
住所:〒189-0012 東村山市萩山町1-16-1
問合先:042-341-0050 小平霊園管理事務所
徒歩5分と書きましたが、小平駅の北口からすぐです。数件並んだ石屋さんの前を過ぎれば入口。
園内は、公園のような雰囲気でとても気持ちがいい霊園です。もう少し広ければゴルフ場ができるぐらいの広さがあります。
霊園の北側には、新青梅街道という大きな通りが走っていて、地元の人は公園内の道を生活用道路のように使っています。
樹林型と樹木型の違い
一般的に「樹木葬」と呼びますが、小平霊園の場合、正式には「樹林型合葬埋蔵施設」「樹木型合葬埋蔵施設」といいます。
それぞれの特徴は、次のとおりです。
樹林型合葬埋蔵施設
<特徴>
- 直接、土に触れるかたちで共同埋蔵されます。
- 遺骨での申込みだけでなく生前申込もできます。
- 後継者がいなくても申込できます。
- 「遺骨」「粉状遺骨」のどちらかになります。
※2体用の場合、同じ方法での埋蔵になります。 - 墓誌の設置はありません。
<埋蔵方法>
樹林の下に設置されたカロートと呼ばれる共同埋蔵施設に、共同埋蔵されます。
遺骨は、納骨袋に入れられた形で、直接土に触れるかたちでの埋蔵です。
カロート [出典]都立霊園申込のしおり
<納骨の方法>
管理事務所での手続き終了後、職員の手によって埋蔵されますが、次のように決められています。
- 埋蔵場所は指定できません。
- 遺族が立ち会うことはできません。
- 骨壺は返却されません。
- 使用許可日から3年以内に納骨する必要があります。
※生前申込はのぞきます。
<参拝方法>
- 焼香や献花は、墓地正面の参拝広場にある献花台でおこないます。
- 毎年5月4日(みどりの日)に献花式がおこなわれます。
樹木型合葬埋蔵施設
小平霊園・樹木型合葬埋蔵施設 [出典]都立霊園申込のしおり
<特徴>
- 直接土に触れるかたちで遺骨を1体づつ埋蔵します。
- 埋蔵場所の指定はできません。
- 遺骨申込区分のみで生前申込はできません。
- 後継者がいなくても申込できます。
- 2体用の申込は「夫婦」「親子」「兄弟姉妹」にかぎります。
- 墓誌の設置はありません。
<埋蔵方法>
樹木の周辺に、遺骨を納骨袋に入れた状態で、直接土に触れるかたちで1体づつ埋蔵します。
埋蔵場所の例 [出典]都立霊園申込のしおり
<納骨の方法>
管理事務所での手続き終了後、職員の手によって埋蔵されますが、次のように決められています。
- 埋蔵場所は指定できません。
- 遺族が立ち会うことはできません。
- 骨壺は返却されません。
- 粉状遺骨の場合でも料金は変わりません。
- 使用許可日から3年以内に納骨する必要があります。
<参拝方法>
- 焼香や献花は、墓地正面の参拝広場にある献花台でおこないます。
- 毎年5月4日(みどりの日)に献花式がおこなわれます。
小平霊園の樹木葬での留意点
- 埋蔵した遺骨は返してもらえない
- 樹木型に生前申込ができない
- 申込者は都内に3年以上継続して居住していること
- 2体用の場合、夫婦、親子、または兄弟姉妹であること
※「生前申込」と「遺骨申込」で違いますので、詳細は「申込のしおり」をご確認ください。
埋蔵した遺骨は返してもらえない
一般的な墓地では、永代供養の個別墓であれば、合祀墓へ移される前であれば、改葬することができます。
個別墓というのは、一人ひとりのお墓です。永代供養の場合、10年、20年、30年など一定期間が経過すると、合祀墓へ遺骨が移されます。
合祀墓へ遺骨が移されてしまうと、遺骨を取り出すことができなくなります。
後継者がいる場合には、家族でよく相談しないともめる原因になることがあります。
樹木型合葬埋蔵施設に生前申込はできない
小平霊園の樹木型合葬埋蔵施設は、現在、存命中の人は申込みできません。
将来、夫婦で入りたいという方もいるようですが、この場合、樹林型合葬埋蔵施設を申し込むことになります。
申込者は都内に3年以上継続して居住していること
小平霊園の樹林型あるいは樹木型施設への申込者は、都内に3年以上居住していることが条件になります。
小平霊園・樹木葬を購入した方の感想
実際に購入した50代女性の感想をまとめました。
ご主人がいますが、子供はいらっしゃいません。両親の墓地がありましたが、遠方のため権利放棄。
その後、実家と妹と一緒に入ることができる寺院墓地の家族墓を検討したが、金銭的に余裕がなく断念。
<樹木葬を購入しようと思ったきっかけ>
当時、小平霊園が樹林墓地の募集が始まり、大盛況というニュースを聞いて、2回目に応募。
静かな広い空間が気に入り、購入を決意。
<小平霊園の樹林墓地の費用>
1体134,000円×2=268,000円
※管理手数料無し
樹林墓地を購入して悪かった点
- 埋葬場所を選べないので夫婦別々のカロートに入れられる可能性がある
- 墓碑銘がないのでどこへ向かって拝んだらいいかわからない
- 都立の樹林墓地ではペットと合葬してもらえない
- 家族単位の樹木葬にしたかった
妹さんからは、”墓碑のないなんて寂しい” と言われたそうです。
このようなお気持ちの方には、樹木葬よりも、一般の「永代供養墓」のほうがおすすめです。
永代供養については、こちらの記事を参考にしてください。
まとめ
樹木葬は、とても人気になっていますが、単に価格だけで決めると、あとから後悔することもあるようです。
後継者や近い親戚がいなければ、とくに問題は起きないでしょう。
しかし、墓地は供養したいと思う遺族の気持ちも考える必要があります。
実際に購入したあとで、妹さんから”寂しい”と言われることが無いように、家族の理解を得ることも大事だと思います。
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