個性的なBean to Bar(ビーントゥバー)の魅力を知ると、たぶん普通の板チョコは買えなくなるかもしれません。
フルーティでさわやかな酸味、ナッツの香りなど、苦味だけではないチョコレートの魅力を、Bean to Bar(ビーントゥバー)のチョコレートなら楽しむことができるからです。
コーヒーが、産地や焙煎の仕方などによってコクや香りが変わるのと同じように、チョコレートの原料のカカオ豆が、産地とその後の工程の違いによって、まったく別の個性を生みだしたとしても不思議ではありません。
Bean to Bar(ビーントゥバー)の沼に一度はまると、抜け出るのはなかなか難しそうです。
Bean to Bar(ビーントゥバー)・一般的なチョコレートとの違いと魅力について
Bean to Bar(ビーントゥバー)は、カカオ豆を焙煎し粉砕してから、板チョコにするまでの全工程を、一貫しておこなって作られるチョコレートのこと。
チョコレートの製造工程と作業の目的がわかると、Bean to Bar(ビーントゥバー)の、風味や香り、テクスチャ―へのこだわりが見えてきます。
チョコレートができるまでの工程・Bean to Bar(ビーントゥバー)のこだわり
チョコレートが製品になるまでには、つぎのような工程があり、Bean to Bar(ビーントゥバー)では、3.焙煎する~11.型に入れて完成までの全工程をおこないます。
- カカオ豆を収穫する
- カカオ豆を発酵させる
- カカオ豆を選別する
・発酵したカカオ豆から、ゴミや虫などの異物、質のよくない豆などを取り除きます。上質なチョコレートをつくるためには、とても大事な作業になります。 - カカオ豆を焙煎する
・100〜140℃の熱で焙煎し、カカオ豆の香りとフレーバーを引き出します。浅い焙煎では酸味が残りますが、深ければ苦味が強くなるのは、コーヒーと同じ。大手メーカーでも、焙煎機械(ロースター)、温度、時間などの焙煎度合いは企業秘密なので、ビーントゥーバー(Bean to Bar)では、ブランドごとの違いを楽しめます。 - カカオ豆を粗びきして殻などを分離する
・焙煎したカカオ豆を粗挽きし、風を使って殻や胚芽吹き上げて取り除くと、下にカカオニブだけが集まります。 - カカオニブをすりつぶしてペースト状にする
・カカオニブを擦りつぶして、ペースト状にします。擦りつぶしていくと、カカオバターが滲み出し、粘り気がある液体へ変わります。ペースト状にしたものを固形化したのが、カカオマスです。通常のチョコレートは、このカカオマスを仕入れ、7.混合以降の工程をおこないます。 - 砂糖やミルクなどを混合する
・カカオマスが液体に変わったら、砂糖やミルクなどを混合します。高級チョコレートでは、砂糖などの素材にもこだわりがあり、もちろん企業秘密です。 - 混合した原料をすりつぶして粒子を細かくする
・混合したチョコレートの原料を、さらに擦りつぶして細かな粒子にします。舌触りをなめらかにするための作業で、この工程で生地が粉状に変わっていきます。 - 粉状のチョコレートを練り上げて粘土状にする
・精錬(コンチング)と呼ばれる工程で、粉状のチョコレートが粘土状に変化、生地が柔らかくなり、舌触りにもっとも影響する工程です。 - 調音(テンパリング)でココアバターを結晶化する
・温度調節をおこないながらチョコレートを固めていき、ココアバターを結晶化する工程です。上手なテンパリングによって、ツヤがあり、舌触りがなめらかなチョコレートになります。 - 型に入れて固めてチョコレートが完成!
Bean to Bar(ビーントゥバー)は、カカオ豆の選別・焙煎からの工程を工夫することで、チョコレートに独自のフレーバーや味わいを創り出すことができることがわかります。
現地でしかできないカカオ豆の発酵
カカオの木は、赤道付近でしか栽培することができないので、収穫はもちろん現地でしかできませんが、発酵も現地でしかできないそうです。
カカオ豆は、生産地や収穫年の気候だけでなく、作り手によっても、味わいや香りが変わるようですが、発酵も生産者の高い技術が必要とされるそうです。
Bean to Bar(ビーントゥバー)が、産地や品種にこだわっているのは、発酵がチョコレートのフレーバーを決めるうえで、とても重要な工程だからです。
「Bean to Bar」と「Tree to Bar(ツリートゥーバー)」の違い
Bean to Bar(ビーントゥバー)は、すでに発酵・乾燥させたカカオ豆を仕入れてつくられますが、収穫・発酵から製品化までの全工程を、現地で一貫しておこなったチョコレートが、Tree to Bar(ツリートゥーバー)です。
Tree to Bar(ツリートゥーバー)は、もちろん日本ではつくることができませんが、「Tree to Bar部門」金賞を受賞したマダガスカルチョコレートは、通販サイトから購入することがでます。※以下の記事を参考にしてください。
Bean to Bar(ビーントゥバー)の通販
一部の大手メーカーでも、Bean to Bar(ビーントゥバー)をつくられるようになりましたが、海外メーカーをのぞくと、日本ではまだ専門店のブランドが多いようです。
Bean to Bar(ビーントゥバー)は、一般的なチョコとくらべ価格は高いですが、板チョコなら割安。通販で購入できるブランドをいくつか紹介します。
SOIL CHOCOLATE(ソイル チョコレート)
〔商品例〕
板チョコレート/ダーク
トリニダードトバゴ産/カカオ68%
- トリニダードトバゴ産のカカオ豆本来の風味を引き立たせ、乳製品を混ぜることなくカカオ豆と砂糖のみで仕上げたBean to Bar
- カカオ本来のあじわいが楽しめます
2021年に北海道札幌市にオープンした、 Bean to Bar Chocolate 専門店で、雑誌・テレビでも紹介されました。
素材はもちろんのこと、触感や舌触りなどを追求したチョコレートを、一粒一粒ていねいに製造しています。統一されたデザインのパッケージは、贈り物にも最適!
Minimal(ミニマル)
Minimalは、渋谷区富ヶ谷に本店を構える東京発のBean to Bar 専門店。
「生ガトーショコラ -PRIME-」は、定番商品「生ガトーショコラ-NUTTY-」が、バージョンアップしてリニューアルした新商品。
〔商品例〕
生ガトーショコラ -PRIME-
- 厳選した豆を使用し、オリジナルレシピから丁寧に仕立てた上質で王道の味わいの定番商品
- Bean to Barチョコレート専門店ならではの精緻な火入れで、満足感のある甘味と、カカオ豆由来の上品なナッツのような香りを実現
今しか買えない【期間限定】の生ガトーショコラが、こちら。
【期間限定】
生ガトーショコラ 苺 -いちご家めい-
- 香川県の「いちご家めい」さんから特別に仕入れた、国内で1%程しか作られていない貴重な苺“女峰”を使用
- 食感と味わいの異なる3層のチョコレートを組み合わせています
Bean to Bar ならではのカカオ豆の風味をストレートに味わうなら、やはり定番がおすすめ。
全種食べ比べセット -7DAYS CHOCOLATE-(14枚入)
- 定番フレーバー全種(7種)を食べ比べできる、カカオ豆と砂糖だけでつくられたチョコレートセット
- 1日1枚、気分に合わせて産地が違うBean to Bar を楽しめます
Dandelion Chocolate(ダンデライオン・チョコレート)
ダンデライオン・チョコレートは、2010年に創業したサンフランシスコ発のBean to Bar チョコレート専門店。世界10ヶ国以上のカカオ農園から直接買い付け、カカオ本来のフレーバーを純粋に味わうために、シングルオリジンのカカオ豆とオーガニックのきび砂糖のみを使用しています。
蔵前、表参道、京都、鎌倉、 伊勢に店舗があり、有吉さんぽ、モヤモヤさま〜ず、ananなど、多くのメディアでも紹介されています。
MAMEIL(マメイル)
〔商品例〕
MAMEIL NAMA CHOCOLATE MACARON
- 甘みを抑えた生チョコレートに、パンペロラムの香りと甘さが感じられるマカロン
- 「SOIL CHOCOLATE」を100%使用
ブランド名のMAMEILは、Bean To Bar Chocolateをつくる上で大切な「カカオ豆(マメ)を煎る(イル)」ことと、「病的に(ILL)豆(MAME)へのこだわりを持っている」ことから名付けられたそうです。
最高級のチョコに仕上げるために、5日間かけて、3種類のカカオ豆を焙炒し、テンパリング温度やマカロン生地となるアーモンドのミキサー温度、アーモンドの油抜き時間も、1℃や1秒単位までの精度を徹底しているとのこと。
Bean to Bar(ビーントゥバー)は、カカオ豆を選別し、焙煎するところからチョコレート作りをおこなうことで、カカオ豆の個性を引き出し、独自の舌触りや風味を作りだしています。
コーヒーと同じように、カカオ豆の品種による違いや焙煎などの工程による違いを楽しむことができるのは、Bean to Bar(ビーントゥバー)ならでは。個性的なチョコレートの楽しみ方、ぜひ見つけてください。
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