普段の生活で、AIを意識することはほとんどありません。それだけ自然に生活に入り込んでいるということでしょう。
今、ネットで検索すると、後から検索結果の広告がしつこく追いかけてきます。追従型広告と言いますが、Webマーケティングでは常識になっています。
AIは、この追従型広告でも、集客率アップに大きく貢献しています。消費者にとっては、多少迷惑かもしれませんが・・・。
WEBマーケティングに活用されるAI
追従型広告は、Googleではリマーケティング、Yahooではリターゲティングと言います。
たとえば、”スーツケース”で検索してAというサイトを閲覧した後、Bというサイトを見たときにAサイトの広告を表示させる仕組みです。
しつこく追いかけてきて、他人に見られると困るような閲覧履歴がバレてしまうなどのリスクがありますが、自粛するしかないようです。
軽い気持ちで検索し、Aサイトの1ページだけをサラッと流して見たような場合、次にBサイトを閲覧しても同じ広告が表示されないこともあります。
これは、AIが訪問者の熱量を測定し、商品への熱量が低いようであれば、再度表示しないようにしているためです。
AIによるWebマーケティングの進歩は、想像以上に早いようです。
中小企業におけるWebマーケティングの重要性
Webマーケティングは、消費者にとっては受け身になりますが、メーカーから見れば、経営戦略上、広告費を効率的に配分するうえで重要な位置づけになります。
業種にもよりますが、一般的には10%~の広告費を計上しますから、対費用効果を考えれば、Web担当者への期待が高くなるのは当然と言えるでしょう。
Webマーケティングは、大企業の特権のように思われている方もいるかもしれませんが、それは間違いです。
大企業はブランド力を生かせるので、TVなどの媒体を使って宣伝すれば、消費者も抵抗なく新商品を受け入れてくれるでしょう。
しかし、中小企業の場合、自社の商品やサービスを認知してもらうのは容易ではありません。
某メガネ会社のように、一流の芸能人を使ってテレビCMを大々的に打つことができれば別ですが、そのリスクを負うことができるのはごく一部の企業にすぎません。
Webマーケティングなら、幅広い潜在顧客に安い単価でアプローチすることができ、うまくいけば、口コミやSNSでの拡散も期待できます。
上手に活用することで、中小企業も、大企業と同じようにマーケティングをおこなうことができるのがWebマーケティングと考えていいでしょう。
従来型集客の限界
従来の集客方法としては、駅前でのチラシ配布、新聞の折り込み広告、自宅へのポスティング、テレアポ、訪問販売がありますが、最近ではあまり効果があがらなくなっています。
たとえば、新聞の折り込み広告についていえば、新聞そのものの契約数が減っているだけでなく、若い年代層では読まない人が増えています。
<年代別新聞行為者率(平日)>2015年
年代別新聞行為者率の実数は、20代ではわずか8%、60代でも53%です。ここではグラフを省略していますが、20年前は60代が77%でしたから、高齢者層でも減少していることになります。
対象商品が若い世代向けであれば、広告費がまったく無題になってしまうわけです。
ポスティングも効率がいいとはいえません。不動産なら、エリアを特定することでターゲットを絞り込むことができるかもしれませんが、家族構成や年齢がわからない中でのポスティングは非効率といえます。
Webマーケティングによるターゲット選定
Webマーケティングのメリットは、一定の属性を持ったターゲットへピンポイントで広告を表示できることです。
GoogleとFacebookへ広告を出したことがありますが、セグメントはかなり詳細に設定できるようになっています。
性別・年齢、趣味、国別、都道府県別、目標地点から半径1.5km以内など、細分化したセグメントに広告を表示させることで、適切な潜在顧客へのアプローチができるわけです。
マーケティングでは、細分化したセグメントのなかから、最終的なターゲットを絞りこむことになりますが、マーケティング担当者にとっては、非常に頭を悩ますテーマです。
ターゲティングの失敗は、大手メーカーでもよくある話で、消費者ニーズと完全にすれ違っていることも少なくありません。
ソニーのハンディカムは、発売当初、”最軽量”が売りでしたが、まったく売れませんでした。その後、一部の消費者が”コンパクトサイズ”であることに着目したことから、1年後から爆発的な人気商品になりました。
当時、ハンディカムにメリットを感じたユーザーは、運動会などで子供を撮りたい若い親。体力があるので、重量よりもがさばらないことのほうが優先だったということですね。ターゲットを間違えていた?
ターゲティングはAIにまかせる
Google広告の場合、大まかなセグメントを設定しておけば、最適なターゲットを絞り込みながら広告表示をしてくれます。
これを実現しているのが、AIです。
最初からセグメントを細分化してターゲットを絞り込んでしまうと、せっかくのAIの機能を生かせなくなってしまうようです。
以前は、精度の高い個人情報を持っているFacebookのほうが優れていましたが、今ではGoogle広告もかなりの精度で最適化ができるようになりました。
それでも、そのまま放置というわけにはいかないのが現実です。最終的には、人の目でしっかり結果を分析しながら運用する必要があります。
まとめ
AI化とはいっても、人間と同じように自ら考えて結論を出すなど、想像的に働いてはくれません。
Webマーケティングの世界では、まだ基本ルールを教え込まなければ使うことはできませんし、最終結論を出すまでの間の軌道修正も必要です。
それでも、膨大なデータの解析によって日々進歩するWebマーケティングは、顧客開拓に悩む中小企業にとって、救世主となることは確かです。
しかし、拡大志向にもとづく成長戦略だけでは、いずれ行き詰る結果になることも承知しておく必要があるでしょう。
事業承継を視野に入れた成長戦略においては、内部体制をしっかり固めながらのマーケット拡大がポイントです。
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