本人が亡くなった後、遺族の頭を悩ますのが”遺品”です。
相続財産の一部とはいえ、グレーゾーン。評価額を出すのは、ほぼ無理!
生活用品として、全部まとめて、特定の相続人へ一括引き渡しするのが一般的。
それに、金銭価値があるものより、捨てるもののほうが多い!
残された量が多いほど、その処理に困りますが、本人が亡くなってから始めて部屋入った、という例も結構多いですね。
生活用品などの『遺品』相続財産として申告は?
私が、親しくしている友人から相談を受けたのも、そのケース。
”一人住まいの叔母が亡くなり、自宅に残された遺品を処分したいが、どうしたらいいのか”、との相談。
かなり広いマンションに一人で生活していましたが、その後、体調を崩し入院、病院で亡くなられたとのこと。
私へ相談してきた本音は、叔母の遺品の中に、お金に換えられるものがないか見てほしいということのようです。
私自身、20代のころから書画骨董に興味があり、そんな趣味を知っての相談でしたが、 知り合いの美術商との間に入ってのやりとりも気が引けました。
親しくしている友人だけに、お金がからんだ話にかかわりたくない、というのが正直な気持ちでした。
それに、遺品整理は、相続財産の配分にも関係しますから、なにも考えずに処分してしまうと、あとで他の相続人ともめる原因にも。
生活用品としての遺品は相続財産として扱わないこともある?
遺品は、相続税の対象となる相続財産、いわゆる遺産と呼ばれるものとは若干意味合いが違います。
実際の「相続税申告書」では、不動産、現金・預金、有価証券、生命保険・退職金などについては、一項目ごとに「細目」が設けられています。
生活用品に関する細目はどうなっているかと言えば、「家庭用財産」としてひとくくりにされています。
家具や電気製品、衣類、書籍、趣味の品、自動車、書画・骨董、これらはすべて家庭用財産です。
NTT固定電話の電話加入権も、馴染は薄いですが、家庭用財産の一つ。
貴金属や美術品の評価
指輪やネックレスなどの宝飾類や貴金属、書画・骨董などの美術品の評価は難しいです。
評価は、相続開始時点(本人が亡くなった日)の評価額ですが、その基準は以下のとおりです。
- 実際の売却価格
- 買取り業者の査定価格
- 専門家の鑑定評価額
テレビの〇〇鑑定団のような番組を見ていると、鑑定評価額に一喜一憂していますが、相続評価を考えたら、評価額は低いほうが良いにきまってます。
でも、そんな心配は無用です。
”えっ、20万円で買ったのに、たった5千円?”なんてことが多いはず。
テレビのバラエティ番組の評価額で買い取ってくれることはまずありません。
それに、一般家庭のリビングに飾ってある絵画は、保存状態も良くないことが多く、人気芸術家のものでなければ、せいぜい数千円といったところでしょうか。
宝飾類も、同じです。
「ダイヤモンド」は、通常の鑑定では見分けることができないほどの、精巧な人造ダイヤが作られるようになって値が下がりました。
天然ダイヤとの違いは、わずかに窒素の含有量に差があるだけ。それも、精緻な分析をしないとわからないとのこと。
換金価値があると言えるのは、”重さ”で買い取ってもらえる「金」ぐらいでしょうか。
自動車の評価
自動車も、相続開始時点の価格で評価しますが、その評価する基準はいろいろあり、これらを参考にして決定します。
- 実際の売却価格
- 中古車業者の買取査定額
- 中古車市場の実勢相場
- 新車価格から減価償却分を控除した価額
普通自動車の法定減価償却は6年ですが、7~8年経過していても、中古車市場では30万円なんてこともあります。
実際の評価では、税理士と要相談というところでしょうか。
家具、電気製品、衣類、書籍など
家具や電気製品、衣類や書籍、これらの品物も生活用動産ですが、実際には相続財産としては価値の無いものとして遺族に引き継がれることが多いですね。
電気製品は、リサイクル法の関係で処分方法が決められています。お金を払わないと処分できないことも。
日常使用していた生活用品や電気製品などは、中古品として売却できるものがあったとしても、遺品として扱われ、相続財産に含めて評価された例を知りません。
遺書やエンディングノートの中で、特定の遺品について、”形見分け”する品物が記されることはあっても、その他の生活用品は遺族にまかされるのが普通です。
まとめ
遺品といわれるものには、形見分けされたり、そのまま使い続けるものもありますが、ほとんどが廃棄処分の対象です。
同居していれば、家具や車をそのまま引き継ぐことが多いと思いますが、別居の場合は、ほぼすべて捨てことになるでしょう。
特に、住宅やマンションを借りていた場合、早目に退去する必要がありますから、細かく分類している余裕もありません。
貸倉庫に一時保管する方法もありますが、保管料の負担が増えるだけ。
遺品は、高額なものでなければ、相続財産とは別と考えるのが一般的です。
遺品としての「家庭用財産」は、いったん特定の相続人が一括して引継いだあと、早目に処分方法を決めたほうがいいでしょう。
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