副業解禁とともに、大企業では社内副業の制度導入がすすんでいます。
東京海上の「プロジェクトリクエスト制度」では、本業の就業時間の1割を社内副業の時間に使うことができ、副業の成果は人事考課に組み込まれるようです。
東京海上「プロジェクトリクエスト制度」は、2020年9月にスタートし、会社が用意した5つのプロジェクトで30人を募集とのこと。社内起業ではなく、会社が用意した新しい事業部門への参加です。
社員の働きがいを高めるために、全国の社員に、本社のプロジェクトに参画することができるようにしたとのこと。
社内副業の場合、基本的に成果は人事考課に反映されますが、就業外の副業のように、副収入がはいるわけではありません。
「副業=副収入」ではありませんから、社員にとっては、キャリアアップや希望する業務への参画が目的と考えたほうが良いでしょう。
会社の管理下での業務が、はたして副業と呼べるのかどうか、さらには本業と副業の時間配分をどのように調整するのか気になるところです。
「社内副業」企業の本音は?
大企業では、2019年から社内副業をさまざまな形で導入し始めています。
KDDIでは、就業時間の2割を他部署の業務に使うとのこと。丸紅は、「15%ルール」によって就業時間の15%を新規事業創出にあてることができるという制度がスタート。
勘ぐった見方をすれば、副業解禁が急速に進むなかで、優秀な人材の社外流出を防ぐとともに、リストラ対策の一環と見えなくもありません。
また、社内制度の背景には、既存の事業分野での業績の伸び悩みがあり、新規分野で成長を図りたい企業の思惑があります。
優秀な人材を外部から採用する方法もありますが、大企業はもともと優秀な人材の宝庫ですから、その人材を活かさない手はありません。
しかし、かつてはサービス残業などが問題となった大企業で、別の業務をおこなうほど時間的余裕がある社員がいるのでしょうか。
社内副業で本業との時間調整は?
働き方改革以前は、サービス残業が当り前。休日出勤、やり残した仕事を自宅へ持ち帰り、有休休暇って何?そんな勤務状態が続いてました。
そんな時代からそれほど時間も経っていないのに、他の業務に携わるだけの時間的余裕と精神的余裕がどこから湧いてくるのか、個人的には理解に苦しみます。
営業社員であれば、ノルマに追われるなかで、就業時間の1割、2割を割いて、新規プロジェクトへの参加は難しいでしょう。
もし、営業社員のなかに新規プロジェクトに興味があったとしても、本業の職場の上司や同僚の立場を考えると、簡単に応募はできません。
もしそうであれば、全社員に対し、応募の機会が公平に与えられないことになります。
事務部門の社員で、就業時間にメリハリをつけることができるなら、社内副業との両立ができるかもしれませんが、なんとなく中途半端。
上司の同意を得て新しいプロジェクトに参加できたとしても、同僚が本業で忙しいときに、一人だけ”今から新プロジェクトの仕事”というわけにはいかないでしょう。
逆に、”今日は本業の締切が忙しいので・・”などと言い出したら、新プロジェクトは成り立たたなくなります。
新プロジェクトには専任のプロジェクトリーダーがいると思いますが、全国からリモートワークなどで参加する社員をとりまとめめるのは、とても難しいように感じます。
そう考えると、社内副業制度を導入するよりも、本人の希望を吸い上げたうえで、人事異動で配置転換したほうが、社員にとっても組織的にも仕事がやりやすいはずです。
なんとなく中途半端に感じられる社内副業制度と比べると、社内ベンチャー制度のほうがメリハリがあり、社員も新規事業に集中できますから、仕事がしやすいはずです。
そんな社内ベンチャーでも、あまり成功例が無いのが実状。
社内ベンチャーでも成功は難しい
企業が社内の人材を活かして新規事業を始める方法として、社内ベンチャーがあります。
社内ベンチャーは、資金面の不安が無く、企業の方針に沿って運営され、さらに企業のブランドで商売ができますから、参画する社員にとっても有利な条件で事業を始めることができます。
しかし、恵まれた条件で事業をスタートしても、成功事例がほとんど聞こえてこないのはなぜでしょう。
大きな理由として考えられるのは、社員の熱量が低いことがあげられます。事業が失敗しても、会社が支えてくれる可能性が大きいからです。
また、会社の判断を仰ぎながらの事業運営も、新規事業の大きな足かせになってるのかもしれません。
ましてや、社内副業では、職場環境によっては後ろめたさを感じながらの業務になるでしょうから、社内ベンチャーほどの熱量を保つことも難しいと言えます。
本気の副業は社外でやるべき理由
会社の人事考課に不満はあるが、会社を辞めたくない。新規事業をきっかけに自分をアピールして、将来、役員を目指したい。そんな方にとって、社内副業はチャンスかもしれません。
事業の将来性と収益性が見込めるようであれば、もしかしたら分社化も。
しかし、明確な目標を持たず、集まったメンバーに独創性とよほどの意欲がなければ、中途半端な一事業部門で終わるでしょう。
ゼロからスタートアップする起業家との熱量の違いです。
もし、将来会社に縛られないライフワークを考えているならば、副業は本業の会社と切り離して考えるべきでしょう。
副業は、副収入がともなうからやりがいがあるのです。さらに自分の専門知識とノウハウが、どれほどの価値があるかを知ることもできます。
定年になってから、あるいはリストラ退職してから始めたのでは遅いのです。
副業を始めた当初は月1~2万円程度の収入だとしても、数年後には、会社を辞めて独立できるぐらいの収入になっていることも少なくありません。
しかし、予期しなかったリストラ退職の場合、希望職種でなかったとしても、まずは再就職先を探さなければなりません。
もしある程度の副業収入があれば、気持ちに余裕が持てるので、再就職先を選ぶのにも慌てないですむでしょう。
知識とノウハウを社外で生かす方法
副業解禁とはいえ、大企業では、堂々と社外で副業できる雰囲気はありません。
しかし、シェアリングエコノミーを上手に活用すれば、時間に縛られず自分のペースで副収入を得ることも難しいことではありません。
自分ができること、やりたいことを、ネットのプラットフォームに登録するだけで、その知識やノウハウを必要としている個人や企業を見つけることができるからです。
相手の期待に応えられるかどうかは、正直、仕事の依頼を受けてみなければわかりません。
もし、自信が無ければ、受ける仕事の難易度を落としてみることもできます。
IT関連の技術では、本業での技術を生かすこともできますし、趣味で副収入を得ることもできます。趣味で副業のつもりが、いつしか本業になってしまった人も。こうなれば、まさにライフワーク。
私が登録している『ビザスク』は、日本最大級のスポットコンサルのプラットフォームで、中小企業はもちろんのこと大企業からの案件も多いのが特徴。
対面だけでなく、電話でも受けられる相談が多いのも、副業には最適です。相談料は1時間あたり1万円前後で、ビザスクへ手数料30%を支払ったとしても、副収入としては悪くありません。
はじめての副業はハードルを下げる
副業を始めるときに、あまり難しそうな仕事を受けてしまうと後が大変です。ときには、本業に影響することも。
『ビザスク』には、本業に関係する業界情報を求める案件も多いので、ときには秘守義務や情報漏洩にも注意が必要になります。
とはいえ、一般的な知識やノウハウの範囲で相談に応じることができる案件もあるので、まずはハードルが低そうな案件を見つけて経験を積むのがポイントです。
初めての案件を受けるときは勇気が必要ですが、慣れでしょうか。
私自身、直接依頼を受けた案件をお断りした経緯があります。それが、某大手企業からの企業ベンチャー制度の実務についての相談でした。
しかし、私自身の知識とノウハウでは、難しいと感じてお断りしました。
具体的なビジネスプランがはっきりしていれば、受けたい相談でしたが、”企業ベンチャー論”的な漠然としたテーマだと、私にはハードルが高すぎると感じたからです。
まとめ
副業は、”本業あっての副業”ですから、本業をおろそかにしての副業はあり得ないと考えています。
その意味でも、社内副業が本業を犠牲にして成り立っているとすれば、それは本末転倒のような気がします。1~2時間時間を取られても、十分やっていけるような本業ってあるのでしょうか。
企業側も人材の流出を避けるべく、さまざまな策を繰り出してきますが、自分が働く足場をどこに置くのか、社員にその選択が迫られているのは確かでしょう。
手軽に空き時間でできる副業は、以下の記事を参考にしてください。
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