梅雨が明け、一気に気温が上がって、汗が気になる季節!
実は、この汗が、金属アレルギーによる皮膚炎を発症するキッカケになることも。
金属アレルギーがやっかいなのは、身に付けるアクセサリーや貴金属類が原因で、ある日突然発症することがあること。
我慢できない痒みが!
そんな金属アレルギーを発症する原因の一つに結婚指輪があります。
結婚指輪といえば、”金”か”プラチナ”。金属アレルギーとは関係ない?と思っている方も多いはず。
しかし、食品などと同じように、体質によってさまざまな金属にアレルギー反応を示すことがあるので、注意が必要です。
金属アレルギーは”ニッケル”や”クロム”だけじゃない!”結婚指輪”でも炎症が・・・
私自身アレルギー体質で、アルコール類で悩まされましたが、もう一つが金属アレルギー。
パッチテストをやっていないので、確証はありませんが、時計バンド。
発症したのは、社会人になってしばらく経ってから。学生時代、どんな時計バンドでもまったく問題なく使えていましたから、突然発症したといってもいいでしょう。
金属製と皮革製、どちらも、腕につけてしばらくすると痒みがでてくるように。ひどかったのは、なめし皮。
アレルギーだなんてことは、それまで考えたこともありませんでしたから、”汗でかゆくなったんだろう”ぐらいにしか思いませんでした。
しかし、皮膚の赤みと痒みがどんどんひどくなり、もしかしたら時計のバンド?と疑うことに。
金属製バンドの材質はステンレスでしたので、ステンレス以外に原因があったかもしれません。しかし、皮革製ベルトは、皮をなめすときに使われるクロムが原因であろうことは想像できました。
今でも、直接肌に触れる皮製品、とくに手袋を長時間はめたていると手の甲が痒くなります。
これまで、アレルギーの原因になる金属は、”ニッケル”や”クロム”など、特定の金属と思っていましたが、調べてみると”金”や”プラチナ”も金属アレルギーの原因になるようですから要注意!
結婚指輪でアレルギーを発症した女性
結婚指輪といえば、金かプラチナ。
どちらも、金属アレルギーとは無縁のようですが、厚生労働省のHPには、結婚指輪が原因で、接触性皮膚炎を発症した女性の例が紹介されています。
【患者】38歳女性
【症状】平成18年度に結婚し、結婚リングを毎日はめていた。9か月後に1度赤くなったので、リングを外したら治った。5日後に、再びはめたところ、また紅斑がでて、「そう痒(※)」を伴った。
※「そう痒」とは、発疹などがないのに、かゆみが出る症状のことです。【障害の種類】アレルギー性接触皮膚炎
【パッチテスト】未実施
【治療・処置】ステロイド薬外用
【転帰】全治(10日)
この方は、パッチテストをおこなっていませんから、結婚指輪の材質である金やプラチナが原因とは特定できませんが、指輪が原因であることは間違いないようです。
金の指輪といっても、通常、金合金であることが多く、亜鉛、ニッケル、鉄、ビスマス、銀などを含んでいますから、金以外の金属に反応した可能性も考えられます。
メガネが原因でアレルギー性皮膚炎を発症!パッチテストでプラチナに陽性反応した例
おなじく厚生労働省のHPには、32歳男性で、金属製のメガネフレームやベルトのバックルが原因で、アレルギー性皮膚炎を発症した例が紹介されています。
この男性は、メガネフレームがあたる部分や、ベルトのバックルがあたる部分に紅斑が出て、医療機関の診察を受けています。
この方はパッチテストを受けていて、その結果、陽性反応があった金属は次のとおりです。
【陽性反応があった金属】
コバルト、ニッケル、クロム、銅、パラジウム、白金(プラチナ)、チウラムmix
【治療・処置】
ステロイド薬外用、抗アレルギー薬内服
パッチテストではどんな金属類をチェックする?
パッチテストでは、可能性のある金属についてチェックしますが、実際の症例から金属の種類をピックアップしてみました。
パッチテストをするということは、その金属によってアレルギー性皮膚炎を発症する可能性があるということですね。
金属以外も載せましたので、参考にしてください。
コバルト、ニッケル、クロム、銅、パラジウム、チウラムmix、亜鉛、水銀、白金(プラチナ)、 金、銀、カドミウム、鉄、インジウム、イリジウム、マンガン、モリブデン、アンチモン、錫、チタン、タングステン、合成革、スポンジ外側合成革、カインmix、フラグランスmix、レゾルシン、ホルムアルデヒド、カーボン、チウラムmix、ジチオカーバメートmix、メルカプトmix、ラテックス
パッチテストでは、患者さんによっては金属以外の物質も同時にチェックしています。カーボン、ラテックス、フレグランス、合成革など、”えっ、こんなものも?” と思われるかもしれません。
この思いこみで、処置が遅れてしまうんですね。
アレルギー性皮膚炎を発症した製品は?
金属アレルギーなどを発症する材質だけを知っていても、実際の製品がイメージできないと、なかなか防ぐことは難しいですね。
アレルギー性接触皮膚炎の原因になった商品を、厚労省HPの事例からひろいました。
材質と皮膚の接触部分がポイントになりますから、あらゆる製品がアレルギー性皮膚炎の引き金になる可能性があるということです。
ある日、突然発症することもあれば、ジワジワ症状が重くなっていくことも。私の場合は、”気が付いたら” という感じでしょうか。
アレルギー性皮膚炎にはステロイド剤が有効
アレルギー性皮膚炎の治療には、次のような薬が使われます。
- ステロイド薬をぬる
- ヘパリン類似物質軟膏をぬる
・代表的なものに「ヒルドイト軟膏」があります。 - 抗ヒスタミン薬を服用する
いろいろな治療法がありますが、皮膚の乾燥が原因でかゆみが発症することがあるため、保湿効果があるヘパリン類似物質を配合した軟膏もよく使われます。
よく知られているのが、「ヒルドイト軟膏」です。
ステロイド外用薬は、薬効の強さにかなりの違いがあります。ウィーク(5群)にランクされるもっとも弱いものから、ストロンゲスト(1群)と言われる一番強いものまで。
私の場合、とストロンゲスト(1群)に属するステロイド剤「ジフラール」、ベリーストロング(2群)では「アンテベート」「リンデロン」、ストロング(3群)では「メサデルム」、それに「ヒルドイト軟膏」を併用しました。
現在は、まったく使用していませんが、皮膚の炎症は治まっています。
「抗ヒスタミン薬」は、もっともひどかったときに、外用薬とあわせて服用したことがありますが、15年以上、使っていません。
汗をかきやすい方は金属アレルギーに注意!
夏に金属アレルギーによる皮膚炎を発症するのは、汗がキッカケのようです。
汗をかくと、金属が溶け出してイオン化します。
皮膚のタンパク質は、その金属イオンと結合してアレルゲン(原因物質)になり、それが異物とみなされて免疫細胞が反応し、皮膚炎が起こります。
夏、汗をかいて金属アレルギーを発症しやすくなるのは、このメカニズムによるもの。
汗をかかないようにできればいいのですが・・・。
制汗剤を試してみる
金属アレルギーの原因が、汗によって金属がイオン化するのであれば、汗をかかなければいいわけですが、なかなかそうはいきません。
多汗症の人の場合、皮膚炎を発症すれば、ツライ思いをすることになります。
皮膚科のクリニックによっては、制汗剤を処方するところもありますが、制汗剤の成分によっては、痒みがさらに増すことがあるので注意が必要です。
制汗剤の成分「塩化アルミニウム」
専門のクリニックで処方される制汗剤のほとんどが、その主成分は「塩化アルミニウム」です。
この塩化アルミニウムは、制汗作用がとても強い成分ですが、肌への刺激がとても強く、痒みが出やすいのが特徴です。
汗を抑えることができても、痒みが出たら本末転倒。
配合量が少ないものが市販されていますが、それでも痒くなるとの口コミが多く見られます。とくに敏感肌やアレルギー性の方には、ツライかと思います。
制汗剤を使うとしても、肌にやさしい成分のものを使いたいところです。
塩化アルミニウムを使わない制汗剤も!
制汗剤のなかには、塩化アルミニウムを配合していないものもあります。
「クロルヒドロキシアルミニウム」という成分ですが、塩化アルミニウムのような強い刺激がなく、全身に使えるのが特徴です。
このクロルヒドロキシアルミニウムを配合したロールオンタイプの制汗剤に、ヨーロッパ・ポーランドの商品『Deo-Ace デオエース EXプラス』があります。
ポーランド人の肌質は日本人とよく似ているそうですが、そんな理由から肌にやさしい制汗剤が生まれたようです。
まとめ
アレルギーは、発症すると治療がとても難しいですね。
金属アレルギーのよる皮膚炎は、アクセサリー類など肌に直接触れることが多く、突然発症することから、原因物質の特定が遅れがちです。
原因物質を避けるといっても、下着など、気づかずに身に付けてしまうことが多いのが実態。
肌に異常を感じたら、悪化させる前に、早目に治療することが大事です。
また、汗をかきやすい方は、制汗剤などを上手に使えば、皮膚炎を発症する前にケアできるかもしれません。
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