「ラディクール」は世界初の放射冷却素材です。
電気や水を使わずに冷やすことができるので、帽子や日傘、サンシェード、さらには建物の外装などにも使われはじめています。
「ラディクール」素材の冷却効果について、帽子を他社製品を同じ状況で比較したところ、表面温度におよそ7℃の差があったとのこと。
見た目はふつうの帽子ですが、素材はラディクール。
冷却材や扇風機などを使わずに、帽子をかぶるだけで”冷える”なんてなかなか理解しにくいですが、熱を特定の波長の赤外線にして放出するということのようです。
「ラディクール」の帽子・涼しさを感じる秘密は赤外線に?
なぜ「ラディクール」は、水や電気などのエネルギーを使わなくても冷えるのか?
炎天下でも涼しさを感じることができる「ラディクール」の秘密を理解するには、赤外線の特性を知る必要があります。ちょっと難しい話になるかもしれません。
赤外線は電磁波の一種で、人の目では見ることができない光ですが、分子を動かして熱を発生させることができます。
まっさきに頭に浮かぶのは電磁調理器や遠赤外線を利用した暖房機器だと思いますが、ある特定の波長の赤外線には、熱を放出するはたらきがあることがわかっています。
熱を放出するということは、温度が下がる、つまり冷えるということ。放射冷却といいます。冬の放射冷却現象で気温が下がるのは、赤外線として熱を-270℃の宇宙空間に放出しているから。
地球の地表面の温度は、太陽から受けるエネルギーと特定の波長の赤外線によって地球の外へ放出されるエネルギーによって、そのバランスが保たれています。
「ラディクール」は、物体からの熱放射を8〜13㎛(マイクロメートル)の波長の赤外線に集約することで宇宙空間へ熱を放出します。この技術は、世界初の放射冷却素材として技術特許を取得しています。
「ラディクール」の帽子で表面温度が下がる効果は、他社製品との比較実験でも実証されています。
手前が「ラディクール」素材の帽子で、奥が他社製品の帽子。気象温度:21.0℃で、帽子の表面温度は、ラディクール:21.0℃、他社製品:27.9℃で、ラディクールのほうが-6.9℃も低い温度だったようです。
「ラディクール」素材の製品について
冷却素材「ラディクール」は、帽子だけでなく、日傘やペットウェアなど、さまざまな日用品に応用されており、「ラディクール」の公式サイトで購入することができます。
◎日傘
紫外線が強い外出には、欠かせないアイテムですが、ラディクール素材なら、さらに冷却効果も。
◎ペットウェア
真夏の道路の表面温度は、外気温とくらべかなり高くなります。「ラディクール」素材のペットウェアなら、犬の体温の上昇をあるていど抑えることができるでしょう。
◎ランニングキャップ
「ラディクール」素材のランニングキャップは、日差しを遮るだけでなく、さらに冷却効果も。
「ラディクール」公式サイトでは、これらの布製品以外にもさまざまなラインナップがあり、通販で購入することができます。
まとめ
世界初の放射冷却素材「ラディクール」は、直射日光の下でも、ゼロエネルギーで物を冷やすことができる夢のような素材です。
特定の赤外線に放射冷却のはたらきがあることは、なかなか理解しにくいですが、これは事実です。
布製品以外にも、フィルムや塗料などが開発されており、羽田空港の連絡通路や搭乗口の外装などにも採用されているようです。
また日産自動車の純正アクセサリー商品として、サンシェード、ハーフボディカバーなども開発されています。
「ラディクール」だけで熱中症対策ができるわけではありませんが、冷却効果をためす価値はありそうです。
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