急激な物価上昇のなかで高まる節約ムードは、食費や電気代だけでなく、シャワーにするか、お風呂にするか、入浴の仕方にまで及んでいます。
入浴は、カラダを清潔に保ち、体調をととのえ、気分をリラックスさせるために欠かせない生活習慣ですが、入浴スタイルは人それぞれ。
温泉の入り方が人によって違うのと同じように、ふだんの入浴も、入浴時間、時間帯、1週間の入浴回数、洗い方、最後にシャワーする?しない?など、さまざまです。
シャワーとお風呂では目的が違う
そもそも日本人にとって、汚れを洗い流すのはシャワー、お風呂に浸かるときは、カラダを芯から温めたり、精神的にリラックスしたい時が多いんじゃないでしょうか。
一人ならシャワーだけとか、人数が多ければバスタブにするとか、費用対効果だけを考えた比較ができたとしても、その選択がかならずしも入浴の目的と合致しているわけではありません。
お風呂にはいってもシャワーは浴びる
シャワーを1分間出しっぱなしにすると、約12Lだそうです。バスタブにお湯をためると約180Lですから、15分間シャワーを出しっぱなしにするなら、お風呂に入ったほうが良いという理屈です。
いきなりお風呂に浸かると、お湯が汚れるので、最初に身体を洗いますが、このとき、カラダは冷えたまま。
お風呂のお湯を洗面器ですくって、カラダにお湯をかけてから、シャンプーと石鹸で頭から足先までていねいに洗い、カラダに残った石鹸の泡を数杯の洗面器で流します。
お風呂に浸かるまでのルーティンが、けっこう面倒。もし、真冬で浴室が冷え切っていたら、カラダを洗うのはかなりつらいものに。
浴室暖房が無ければ、バスタブのフタを外して、浴室をあらかじめ温めておかなければなりません。バスタブにお湯を張る時間と、浴室を温める時間を合わせると、けっこうな待ち時間が必要です。
バスタブから出て、最後に汗を流すための上がり湯は、やはりシャワー。バスタブのお湯は使えません。家族が多ければ、なおさらシャワーが必要です。
お風呂で心配な感染症・その予防法
お風呂で気をつけないといけない感染症に、レジオネラ属菌によるものがあります。
レジオネラ症は、幼児や高齢者、病気で体力が落ちている人などが発病しやすい病気で、レジオネラ属菌に汚染された目に見えないほど細かい水滴(エアロゾル)を吸い込むことで感染するようです。
大阪市のホームページ「レジオネラ症~家庭での予防について~」では、レジオネラ症の予防には、レジオネラ属菌の増殖をふせぐことが重要として、つぎのように呼びかけています。
- お風呂のお湯は毎日とりかえる
- お湯を循環ろ過して長期間使用しない
- バスタブのお湯をシャワーで使わない
- 気泡ジェットやエアロゾル発生装置に注意する
- バスタブに入る前に体を洗う
加湿器でも、タンクの管理が悪く、水をためっぱなしにしておくと、レジオネラ属菌が増殖しやすくなりますが、浴室やバスタブは、レジオネラ属菌にとって増殖しやすい環境がそろっているようです。
レジオネラ属菌は水中や土壌中など自然界に広く存在する細菌です。このレジオネラ属菌が、消毒されていない水や、入れ替わりの少ない水、水温 20℃から50℃前後の水に混入した時、増殖するおそれがあると言われています。
※大阪市ホームページから引用
家族が多ければお風呂のほうが得、という方もいますが、衛生面を考えたら、シャワーは必須。
また、50代から発症率が高くなるといわれる帯状疱疹は、お風呂で感染する確率は低いとされていますが、専門クリニックからは、おなじお風呂を使わないことを推奨されました。
UFB(ウルトラファインバブル)シャワーの効果
UFB(ウルトラファインバブル)は、微細な気泡「ファインバブル」のなかでも、とくに小さな泡のことで、直径が数十㎚~1㎛の泡を指します。
マイクロバブルの泡は1㎛~100㎛ のサイズなので、白濁して見えますが、UFBは無色透明で、目て見ることができないのが大きな特徴です。
ファインバブルには、さまざまな効果があることが知られ、食品、水産、医療、環境などの分野での応用がはじまっていますが、UFB(ウルトラファインバブル)が身近で使われているのが、シャワーヘッドです。
サイエンス社「ミラブル」シャワーヘッドのCMで、顔に描いたマジックインクがみるみる落ちていく様子は驚きですが、これはUFBの効果によるもの。
UFBの微細な泡には、つぎのような効果があるようです。
- 優れた洗浄力
- 頭皮の汚れを取り除く
- シャワーだけでも保温効果
- 水道の使用量を大幅に節約
UFBの優れた洗浄力と節水効果については、CMなどでよく知られていますが、保温効果については、あまり知らない方が多いようです。
ミラブルのシャワーヘッドの場合、従来のシャワーヘッドと比べ、肌の表面温度がなんと3.6倍も上昇したとのデータもあります。
また温浴施設で、大きな問題の一つとされるレジオネラ菌の予防対策として、UFB生成ノズルがつかわれているところもあるようです。
まとめ
水道やガス代などのコストだけを考えて、「シャワー」 にするか「お風呂」に入るか、いずれかを選択するのは間違いです。
シャワーは、汚れを落とし身体を清潔を保つために必要ですし、お風呂は、カラダを芯から温め、気分をリラックスさせるために欠かせません。
そもそも、「シャワー」 と「お風呂」では、使う目的が違うのです。
バスタブにお湯を、長時間溜めっぱなしにして使うのは、衛生面で問題がありますし、家族の人数が多ければ温めなおさなければなりません。冷めないうちに、続けて入らなければならないとなれば、精神的なプレッシャーにも。
UFBのシャワーヘッドでは、お風呂に浸かるような精神的なリラックス効果は期待できませんが、洗浄、保温、節水については期待できそうですね。
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