飲酒は純アルコール量 20g/日 ていどが適量といわれる理由

美容と健康
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厚生労働省が推進する国民健康づくり運動「健康日本 21」では、1 日平均純アルコール約 20g ていどなら”節度ある適度な飲酒”としています。

純アルコール約 20g は、お酒に換算すると、ビール(アルコール度数5%): 500mL、日本酒(15%):180mL、ワイン(12%):200mL。

毎日の食事にお酒が欠かせない人にとっては、とてもきびしい数字でしょう。

アルコールを分解する能力は、体格の違いや遺伝的な体質によっても違いがありますから、単純にアルコール量 20g/1日 ていどなら適量というわけではないような気がします。

また、高齢になると、アルコールを分解する能力がおとろえてくるため、少ない量でもアルコール依存症になりやすいとの情報もあります。

純アルコール約 20g がなぜ適量とされるのか、気になるところです。

純アルコール量 20g に定められた理由は?

健康日本21(第二次)では、適度な飲酒量として純アルコール 20g/日をさだめた理由として、つぎのような目標をあげています。

  • 生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している者
    ※一日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上の者)の割合の減少
  • 未成年者(20歳未満)の飲酒をなくす
  • 妊娠中の飲酒をなくす

ここで定められた目標には、生活習慣病やうつ病などの健康障害を減らそうというだけでなく、飲酒運転事故などの社会的な問題への対応も含まれています。

健康についていえば、高血圧・脳出血・がんなど、飲酒関連の多くの健康リスクは1日の平均飲酒量に比例して上昇するとのこと。

つまり、生活習慣病を防ぐためには、飲酒量は低ければ低いほどよいことになるわけです。

一方、飲酒量が増えても直線的には比例して上昇しない病気などもありますが、その場合でも、純アルコール量が男性では44g/日、女性では22g/日ていど以上だと、リスクが高くなるようです。

つまり、純アルコール量 20g/日は、かなり健康に配慮した数字と考えられますが、そもそもアルコールを控えたほうがよい人もいます。

未成年(20歳未満の者)はアルコールの影響をうけやすい

「健康日本 21」では未成年となっていますが、2022年4月の民法改正により、「未成年者」を「20歳未満の者」と呼ぶことになりました。

20歳未満の者は、法的に禁じられているだけでなく、アルコールの分解能力が成人に比べて低いため、アルコールの影響を受けやすく、体内に入ったアルコールが身体の発達に悪影響を及ぼすようです。

妊娠中の飲酒のリスク

妊娠中の飲酒は、胎児性アルコール・スペクトラム障害や発育障害を引き起こすリスクがあるため、妊娠中あるいは妊活中の女性の飲酒はおすすめできません。

また授乳中についても、血中のアルコールが母乳に移行するため、飲酒をひかえるべきとしています。

高齢になるとお酒に弱くなる

近年、アルコール依存症の高齢者が増えているといわれます。

若いときはアルコールを分解する能力が高くても、高齢になると肝臓の機能が落ち、アルコールを分解するスピードが遅くなるようです。

人のカラダの水分量は一般的に70%と言われますが、赤ちゃんのときの水分量は80%、その後年齢とともに減っていき、高齢者では50%台になります。

高齢になると体内の水分が減るため、飲むアルコール量が同じでも、若いときとくらべ血中のアルコール濃度が高くなってしまうようです。

アルコールに弱い遺伝的体質との関係は?

遺伝子的に、アルコールを分解する酵素の働きが弱いか、あるいは酵素を持たない体質の人がいることが知られています。

このような体質の人はアルコールを分解する速度が遅いため長時間体内に残りやすく、アルコール依存症になりやすいと言われます。

アルコールは、肝臓で酵素によってアセトアルデヒドに分解され、その後酢酸に変換されます。

アセトアルデヒドは、有害物質として吐き気、動悸、頭痛などの原因になりますが、アルコールを分解する能力が弱いと、アセトアルデヒドの産生が遅くなるため、飲酒量が増え依存症になりやすいと言われます。

しかし、不思議なことに、アルコール量20gていどでは、遺伝子タイプによる代謝速度に差がみられないとの実験結果があるとのこと。

このような実験結果があることから、1 日平均純アルコール約 20g ていどなら”節度ある適度な飲酒”と設定したのかもしれません。

アルコール量20g 以下でも寝酒はダメ!

お酒を飲むとよく眠れる、という人がいます。たしかに、アルコールは脳内の神経伝達物質へのはたらいて、セロトニンの分泌をうながすはたらきがあります。

セロトニンは、睡眠ホルモンであるメラトニンの原料になり、睡眠やホルモン分泌にかかわる 概日リズム(サーカディアンリズム)を調整するはたらきがありますから、睡眠への導入には有効かもしれません。

しかし、アルコールの入眠効果は3時間ていど。その後、アルコールの分解過程でつくられるアセトアルデヒドが交感神経を刺激するため、睡眠中に目が覚める原因になります。

つまり、良質な睡眠のためには、寝酒をひかえるべきでしょう。

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まとめ

「健康日本 21」では、1 日平均純アルコール約 20g ていどなら”節度ある適度な飲酒”とされています。

しかし、一人ひとりの体格や体質などによってアルコールの分解速度などに違いがありますから、飲酒量については自己管理をしなければなりません。

とくに、若いときから”お酒が強い”と自負してきた人でも、高齢になると肝臓の機能が衰えアルコールの分解速度が落ちてきますから、注意が必要です。

食事を楽しみながらのお酒はストレス解消には最高ですが、寝酒による良質な睡眠への影響は、睡眠時間が短くなりやすい高齢者にはマイナス面が大きいようです。

でも日本酒1合(180mL)、ワイン1杯(200mL)だけで我慢するのは、ちょっと厳しい!?休肝日をもうけるなどしながら、じょうずにお酒と付き合いたいものです。

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