『終活』独身者と家族がいる人では違う

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終活はいつから始めたらいいのか、という質問をよく耳にします。

そもそも終活は、決まった年齢から始めるものではないですし、死ぬ何年前から始めるというものでもありません。

終活を、”人生の終末期において死ぬ準備をしておくこと” とする考え方がありますが、終末期とはいつのことでしょう。

 

2017年の統計によれば、平均寿命は、男性81.09歳、女性87.26歳。でも、この年齢ぴったりで死ぬ人は、ほとんどいません。

正規分布に従っているのは間違いありませんが、男性80~84歳、女性85~89歳の範囲で集計したとして、約20%。

男性81歳、女性87歳で亡くなるのは、ほんの4~5%にすぎません。

 

”あの世へ旅する”のは間違いありませんが、海外旅行や温泉旅行のように、日程が決められているわけではありませんし、”不慮の事故”などを考えれば、年齢が関係ないことも明らかです。

 

そう考えると、終活は、正常な判断ができるときに、年齢に関係なく始めるべきといえます。

ライフステージによって変わる終活の形

終活にたいする意識は、少しづつ高まっています。

マクロミルが、2018年10月に、全国の20~79歳までの男女2,000人を対象におこなったアンケート調査によれば、今後終活したいと考えている人は、42%にものぼっています。

しかし、実際に終活をしているという人は、わずか11%

終活の一番の目的は家族に迷惑をかけないこと

終活する目的が、 ”家族に迷惑をかけないから” という人は89%。2番目が、”寝たきりになった場合に備えるため”で、48%となっています。

終活を考えている人の思いはさまざまですが、家族に迷惑をかけたくないとする人が多い一方で、かなりの方が家族に負担をかけているのが実情です。

マクロミルのアンケート調査の結果は、以下のとおりです。

  1. 家族に迷惑をかけたくないから 89.2%
  2. 寝たきりになった場合に備えるため 48.0%
  3. 人生の終わり方は自分で決めたいから 35.4%
  4. 葬儀や死後の希望を伝えておきたいから 26.5%
  5. 自分の死後は、自分で面倒を見たいから 17.5%

どの回答も、終活としては理想的です。でも、なぜできない?

無意識にやっているけど終わりが無いのが終活

終活の最大の目的は、残された家族や周りの人に迷惑をかけないことですが、元気で生活していれば、モノや情報がどんどん蓄積していきます。

古いものを整理しなければ、その後始末をするのは遺族です。そう考えると、モノや情報を毎日整理すること自体が、終活作業の一部なのです。

若いうちは、モノや情報がどんどん蓄積していきます。住宅を購入すれば資産が増え、お金や株なども増えるでしょう。

同時に、要らなくなった書籍を処分したり、不要なアカウントを削除することも終活作業です。そのまま溜め込んだらゴミ屋敷に。

つまり終活は、無意識のうちに始めていると言ってよいでしょう。

遺品の整理に苦労している有名人も少なくありません。

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葬儀と墓地は家族とオープンに話し合うのがベスト

葬儀や墓地をどうするかを決めておかなければ、遺族が困るのは間違いありません。

しかし、葬儀の規模や墓地の費用は、残された遺族の経済事情や生命保険の付保状況などを考えあわせて決める必要があります。

また、本人が現役で働いていたり、経営者や要職についているなどであれば、その立場にふさわしい葬儀をすることも考えておかなければなりません。

残された家族が、そのような立場にある場合もおなじことが言えるでしょう。

葬儀のやり方は、ライフステージによっても変わります。家族間でしっかり話し合い、年齢にかかわらず基本方針だけは決めておいたほうがいいと思います。

葬儀や墓地は、エンディングノートの主要テーマの一つです。

しかし、家族関係に問題がないのであれば、エンディングノートに記さず、家族でフランクに話し合っておくべきテーマです。

そうしておけば、家族のなかでだれが亡くなったとしても、困ることはありません。

エンディングノートに記す必要があるのは、家族がいない独居者、あるいは家族関係が上手くいかずに疎遠になっている方です。

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また、葬儀や墓地の費用として十分なお金を確保したつもりでも、元気で長生きすれば、予定資金が不足することも考えられます。

はじめは、墓石を建てることを考えていたが、お金を残したいので樹木葬や散骨に変えたなど、意外と流動的なテーマです。

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終活の内容はライフステージで変わる

ライフステージには2通りの考え方があり、年齢を基準にしたものと、家族構成を基準にしたものがあります。

”家族に迷惑をかけたくない” との考え方からすれば、家族構成を基準に考えるのが自然です。しかし、独身者、とくに生涯独身者であれば、仕事を基準に考えたほうが整理しやすいと思います。

<独身者>

生涯独身者にとっての終活は、「現役時代」と「退職後」に分けたほうが計画を立てやすいですね。

現役で働いているうちは、会社や関係者に迷惑がかからないように、仕事に関する情報整理をしておかなければなりません。

退職後は、徐々に会社との関係から離れ、新たなライフスタイルでの終活がはじまります。ストレスから解放され、得意なことや興味を仕事にして、心身ともに充実した生活を送る方も多いです。

そして、独身者が決めておくべきことは、次の4項目です。

  • 万一の場合の連絡先
  • 介護や認知症になったときのこと
  • 葬儀と墓地のこと
  • 資産処分の方法

<家族がいる人>

配偶者や子供がいる方は、家族構成を基準にしたライフステージで終活を考える必要があります。「夫婦」「子育て」「教育」「子供の独立」「老夫婦」が各ステージになりますが、最後は一人になることも考えておく必要があります。

家族がいる場合、もっとも大事なことは、残された家族の生活を支えるための資金の確保です。年齢には、関係ありません。

万一の場合に備えて、家族が生活していくための十分な資金や資産を残すことができるかをチェックします。不足額については、生命保険で補います。

自分が介護状態などになったとき、また臓器提供などについては、事前に家族と話しあっておいたほうが無難です。

住宅ローンが残っている場合、団信の付保状況についても確認しておく必要があります。

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エンディングノートよりも家族と価値観を共有すべき

エンディングノートにこだわる人が少なくありませんが、元気で生活していれば家族へ伝えるべき情報は、頻繁に変わります。

働くことをやめて終末を迎えるだけという人なら、エンディングノートを修正することも書き直すことも少ないと思われるかもしれません。

しかし、終末期の高齢者の心境は天気予報のように2転3転するのが普通です。

生活用品や趣味のもので、捨てる予定だったものが突然惜しくなって、元の場所へ戻すことは日常茶飯事。一度は片付けたはずの棚に、再び小物類が戻っていることも。

また、認知機能が衰えていくなかで記録されたエンディングノートを、どう評価すべきか、私にはわかりません。

葬儀や墓地を含め、大事な項目については、エンディングノートに記録するよりも、事前に家族とオープンに話し合っておくことが一番。

価値観を共有することで、家族のうちだれかに万一のことがあったとしても、落ち着いて対応することができるのです。

まとめ

終活の一番の目的は、”残された家族に迷惑をかけない” ことであり、形式を整えることではありません。

エンディングノートの項目を元に、やるべきことをチェックしていくと、すでに家族と打ち合わせをしていたり、情報共有している項目が、意外と多いことに気付きます。

生きているうちに家族にも話せないことは、預金口座の暗証番号とID・パスワードぐらいでしょうか。

なぜなら、家族のだれに、いつどのようなことが起こるか、だれにもわかりませんから、普段からそんな話題への抵抗感を薄めておいたほうがいいと思います。

老々介護の時代では、本人の希望だけでなく家族の理解も必要。経済的な事情もありますから。

さらに、遺産相続について言えば、エンディングノートには、遺言書のような法的効力がありません。

 

”じいちゃん、どんな葬式がいい?” さらっと聞ける雰囲気を作っておきたいところです。

”何も心配しなくていいよ。あとはまかせといて”

そう言ってもらうのが、一番安心するのではないでしょうか。

 

最後さえ決めておけば、あとは安心して豊かな人生を送ることができます。

 

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