レオパエス21の建築基準法違反は、昨年に最初の問題が発覚して以来さらに拡大し、33都府県で新たに1324棟見つかったとのこと。
施行不良が次々と見つかり、住民だけでなく、オーナーの不安や怒りにもつながっています。
昨年見つかった不備は、界壁(天井裏で隣の部屋と仕切るための壁)がなかったこと。
今回は、新たに耐火構造や遮音性能にも問題が見つかったそうですから、施工のミスというより意図的に手抜き工事がおこなわれていた、と考えざるを得ません。
住人14,400人に転居要請とのことですが、子供の学校や主婦のパート先などを考えると、そう簡単なことではありません。
子供の学校や主婦のパート先などを考えると、近隣で賃借先を探す必要がありますが、適当な空室をまとまった数だけ見つけるのは難しいでしょう。
大変なのは、アパートの住人よりもオーナーのほうかもしれません。
サブリース契約による不動産の有効活用については、以前からその問題が指摘されていましたが、ここへきて再燃した形です。
不動産オーナーであれば、幾度となく不動産会社からサブリースについての提案を受けたはずです。
もちろん、良心的な不動産管理会社との契約で、上手に不動産活用されている方もいらっしゃいますが、あまり良い話を聞きません。
サブリースとは?
不動産のサブリースとは、アパートオーナーが不動産管理会社と一括借上げ契約を結び、不動産管理会社が一般消費者に転貸する契約方式です。
一般的には、これに「空室保証」「家賃保証」などがつきますから、不動産オーナーにとってはとても魅力的なプランに思えます。
アパート経営のオーナーからすれば、空室ができたあとに新たな入居者を探す必要がないので、不動産経営としては理想的なはずですが・・・。
サブリースの相続税法上のメリットは?
空地の相続税評価額は、国税庁が定めた「路線価方式」もしくは固定資産税に一定の倍率をかけて評価額を算出する「倍率方式」の2つの方式によって算出されます。
時価よりは低い価格になりますが、それでも場所によっては億単位の評価になることも少なくありません。
しかし、空地にアパートなどの賃貸住宅を建てれば、相続時の評価額を下げることができるのです。
これを、”貸家建付地の評価減”といいますが、空室部分については評価減の対象になりません。
万一相続のときに空室だらけなら、アパートを建てた目的が無意味になってしまいますが、その問題を解決するための方法がサブリースというわけです。
サブリースは一括借り上げですから、オーナーにとっては空室の心配がありません。本来なら、万全の相続対策のはずですが・・・。
家賃保証30年のなずなのに・・・
サブリースの場合、家賃保証30年といっても、当初の金額のまま30年間保証してくれるわけではありません。
数年ごとに契約更新、あるいは定期的な賃料改定が折り込まれ、当初の賃料が保証されるケースはまずないといっていいでしょう。
建物が古くなって空室がでてくるようであれば、更新時に家賃を引き下げざるをえないのは通常の賃貸借契約でも同じですね。
建物の修繕費はもちろんオーナー負担ですから、当初の収支バランスは、建物の経年劣化とともに悪化していくことに。
不動産業者にリスク無し!
サブリースを提案した不動産会社には、リスクはほとんどありません。
建物を自社施工、さらに同一規格で大量に資材を発注することでコストはかなり抑えられますから、一般の注文建築よりはるかに利益を確保しています。
さらに、入居者の家賃とオーナーへ支払う賃料との差額10~30%が、不動産会社の収入になります。
もちろん、老朽化してきたときの修繕も同じ不動産会社に。途中で関係を断ち切るなんてことはまずできません。
終活で、避けて通れないテーマが相続対策です。
特に、所有不動産の評価が高ければ、そう簡単に対策を決めることはできません。
現在の税制に合致した相続対策であっても、将来、税制改正によって無駄な結果に終わる可能性もあります。
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