定年後のたっぷり時間を有効活用する方法の一つが、 ”資格取得”。なかでも、たまに耳にするのが ”宅建試験に挑戦したい”の声。
宅地建物取引士(宅建士)になるためには、まず宅建試験に合格しなければなりませんが、宅建試験は難易度が高く挑戦しがいがある国家資格の一つになっています。
定年後の有り余る時間を生かして、難易度が高い宅建試験に挑戦してみようという気持ちになるのは当然かもしれません。ちなみに試験日は、例年 10月の第3日曜日で、合格率は 16~17%前後。
今年の試験の結果は?すでに来年の受験へ向けて準備という方も・・・。
不動産業界で仕事をするなら宅建士の資格は必須ですが、宅建士の資格で定年後の副収入を考えるのはあきらめたほうがいいかもしれません。
リタイア後に取得する資格としては、合格したときの喜びは大きいのですが、たぶんその資格を生かす機会はほぼ無しと考えたほうがいいでしょう。
もしかしたら、不動産業界で働いた経験が無い高齢の有資格者を雇ってくれる不動産会社がみつかるかもしれません。でもそんな会社、ちょっと心配。
不動産取引でのトラブルは、高額で法律的にもややこしいものが多くなりがち。リタイア後、面倒な案件に巻き込まれることは避けたいですね。
たまに耳にするのが、”名義貸し”。資格者が足りない不動産業者に宅建士の名義を貸す行為ですが、もちろん名義貸しは宅建業法違反です。
そもそも宅建試験に合格しただけでは、宅建士として不動産の実務にたずさわることはできません。
試験に合格しても宅建士にはなれない!
試験合格後に宅建士となるためには、都道府県知事の宅地建物取引士資格登録を受け、宅地建物取引士証の交付を受けなければなりませんが、2年以上の実務経験が必要です。
資格登録には、つぎの条件を満たす必要があります。
- 宅建士資格試験に合格
- 宅地建物取引業の実務経験2年以上
- 登録の欠格要件に該当しない
実務経験が2年未満でも、つぎの登録実務講習を修了すれば、要件を満たすことができます。
- 通信講座(約1カ月間)
- スクーリング(1~2日間)
- 修了試験(1時間)
私の場合、金融機関で不動産業者への融資業務を担当しましたが、不動産の実務経験ではないため、この手続きを経て宅地建物主任者証(当時)を取得しました。
宅建士は5年毎に更新が必要!
宅建士の資格を維持するためには、5年ごとに更新手続きが必要になりますが、さらに法定講習を受講しなければなりません。
私が更新手続きをしていないのは、不動産取引の実務にたずさわる予定がないからだけでなく、更新のための費用負担が大きいから。
ちなみに、現在(2024.10.21)の費用は、つぎのようになっています。
- 資格登録料:37,000円
- 取引士証交付申請手数料:4,500円
- 法定講習:16,500円
5年に1度の更新ですから、月換算は1千円弱のコストですが、もったいないような気がします。
宅建試験の知識は無駄にはならない
私事でいえば、金融機関の融資実務では宅建士の資格は必要ありませんでしたが、宅建試験の勉強で得た知識は、今でも役にたっています。
宅建試験では、問題の3割近くを民法など権利関係が占めています。代理、相続、賃貸借、抵当権など。
とくに、いずれ相続や事業承継を考えなければならない方は、事前に不動産や相続に関する基本的な知識を持つことで、弁護士や税理士などの専門家からのアドバイスがより理解しやすくなるはずです。
まとめ
私自身、宅建士(現役当時は宅地建物取引主任者)として登録していましたが、更新していません。
更新手続きの費用がもったいないのもありますが、不動産関係の取引でのトラブルに巻き込まれたくないというのも本音。
FP(ファイナンシャルプランナー)としても、経営者や個人向けに一般的なアドバイスをおこなっていますが、じつは今年、FP協会を退会しました。
私がFP協会を退会した理由は、ファイナンシャルプランニング技能士(国家資格)の資格があるから。こちらの国家資格は年会費不要ですが、FP協会の機関誌(毎月)は送られてきません。みずから積極的に情報収集しなければ、最新情報から取り残されてしまいます。
FP(ファイナンシャルプランナー)資格も宅建士とおなじように、業務でつかわなくても、投資やライフプラン設計など、自分に役立つ知識として身につけることができますから、一度挑戦してみるとよいかもしれません。
もし将来の副業として考えるなら、夢のある国家資格に挑戦するのもアリでしょう。
コメント