”年齢とともに、肌のシワやたるみが増えていくのは当たり前”、そう思っている方も多いはず。
じつは、年齢とともに目立ちはじめるシワやたるみの原因は、8割が若いときからの紫外線の蓄積によるものだそうです。つまり、若いときに紫外線対策を怠っていたツケが、溜まった結果というわけです。
にわかに信じがたい話ですが、これが「光老化」。
加齢にともなう肌の変化は、二の腕や太ももの内側のように、細かいシワができることがあっても深いシワにはならないとのこと。しかし、長年紫外線を浴び続けると、皮膚の色が濃くなるとともに厚みを増し、シワやシミの原因に。
見た目の若さや健康は、気持ちのハリや活力源です。 ”今さら”とあきらめる前に、”今からでも”との前向きな気持ちさえあれば、対処法がないわけではないようです。
紫外線による「光老化」とは
日本皮膚科学会のHPによれば、光老化は、おもに日光からの紫外線によって、皮膚に慢性的な傷害が起きている状態のこと。紫外線に対する防御反応のために、皮膚が厚くなり、同時に色が黒くなって、シワやシミの原因になります。
加齢による肌の老化では、皮膚の厚さや色が薄くなる方向に向かいますが、光老化は、この加齢による肌の老化に上乗せした形になってしまうとのこと。オデコと二の腕の内側の皮膚の違いは、この上乗せ分によるもの。
専門的になりますが、光老化による皮膚の変化について、つぎのように説明しています。
光老化で特徴的なことは、真皮にあって皮膚の張りを保つ弾性線維が破壊され、お団子状態になる光線性弾性線維症という変化が起こる
引用:公益社団法人 日本皮膚科学会 皮膚科Q&Aから
弾性繊維というのは、真皮層にある三大美容成分(※)の一つ「エラスチン」のことで、弾力性があり、他の美容成分とともに肌のハリや弾力を作り出しています。※三大美容成分:コラーゲン、エラスチン、ヒアルロン酸
日本皮膚科学会が公開している画像では、光老化によって、この弾性繊維(エラスチン)が破壊され、団子状になっているのが確認できました。
重要なポイントは、年をとっただけではこの変化は起こらないこと。紫外線による光老化によって、弾性線維(エラスチン)が機能しなくなったために、皮膚の張りが無くなり、シワや、たるみができた結果です。
シワやたるみが、紫外線を長年浴び続けてきたことによる光老化によるものだということに、納得せざるをえません。
「光老化」をつくる紫外線は「UVA」と「UVB」どっち?
肌に大きな影響をあたえる紫外線には、波長の違いによって「UVA」と「UVB」の二種類があります。
「UVB」(波長280-320nm)は、サンバーンと呼ばれるヤケドのような日焼けを起こしますが、とどくのは皮膚の表面まで。しかし、細胞の核内にあるDNAに直接吸収されてDNAに傷をつけます。DNAを傷つけられた細胞は、最終的には死んでしまうことになります。
「UVA」(320-400nm)は、皮膚の奥まで侵入して、さまざまな分子に吸収されることで生じる活性酸素によって、細胞の膜脂質や蛋白質、DNAなどに酸化的損傷を与えることがわかっています。
シワやシミなどの原因になる光老化は、UVBの影響をもっとも多く受けますが、皮膚の奥の真皮層まで届くUVAのはたらきを無視できないとのこと。
「光老化」は元へもどらない?
日本皮膚科学会のHPでは、赤ちゃんのときからの肌の変化について、つぎのように例えをあげています。
赤ちゃんの肌は「絹のハンカチ」、お年寄りの日光があたらない肌は「ティッシュペーパー」、日光をつねに浴びているお年寄りの顔は「ボール紙」。ちょっと失礼とは思いますが、認めざるを得ません。
若いときから紫外線対策をこころがけていれば、少しは光老化から肌をまもることができていたはずですが、すでにゴワゴワ、シワシワになってしまったとしても、まったく打つ手が無いわけではありません。
光線からの防御によって、多少なりとも元に戻る可能性があるとのこと。
紫外線対策とシワやシミへのケア
季節にかかわらず、紫外線は年々強くなっているようです。曇りの日、秋から冬にかけては油断しがちですが、真夏とおなじような紫外線対策が欠かせません。
- 長袖のシャツと帽子
- 日傘
- サングラス
- UVクリーム
とくに顔などの肌が露出している部位は、UVクリームなどによるケアが必須です。光線からの影響を一番受けるのは、顔や手、そして首から背中。年齢とともにあきらめてしまいがちですが、ケアする価値はありそうです。
深いシワへのスキンケア
外側からのスキンケアでは、有効成分が角質層までしか浸透しないため、小じわへのケアしかできないとされてきました。
しかし、薬用成分のなかには、ナイアシンアミド(ニコチン酸アミド)のように深いシワにも有効な成分があるようです。ナイアシンアミドは、美白効果もあるといわれていますから、肌質に合えば試してみる価値はありそうです。
まとめ
長年、紫外線を浴び続けたきたツケが、光老化となってはっきり表れるのはやはり顔ですが、意外と忘れられがちなのが手の甲。
たまに会う友人の視線が、オデコや手の甲に刺さっているのを感じると、やはり日ごろから紫外線対策を怠けていたツケを実感します。
肌は、ターンオーバーによって確実に更新されていきますから、年齢にかかわらず、紫外線対策と肌質にあったスキンケアを続けていけば、光老化も少なからず改善していくはず。
他人より少しでも早く紫外線対策をはじめれば、その結果がいつか大きな差になってあらわれるということでしょうか。
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