どうやら、キャッシュレスへの対応をせざるを得ない時代になったようです。
”現金のほうが安心”という方の気持ちはよくわかりますが、政府主導でのキャッシュレス化の波に逆らうことは、エネルギーの浪費になるばかりか、せっかくの利益を逃がすことにもなりそうです。
キャッシュレスによるポイント還元キャンペーンも政府主導ですが、消2019年10月の消費増増税と抱き合わせ。
政府がキャッシュレスを積極的に推進する理由には、東京2020オリンピックまでに、なんとか決済システムを便利にしておきたいという事情があります。
さらに、小売業やサービス業における労働力不足が深刻化していて、実店舗の無人化を推進したいこともあるようです。
また、隠れた現金の把握や、現金の流れをつかむことで税収につなげることも視野にいれています。
”現金を持っていないと不安”という方も多いと思います。経済産業省が2018年4月に発表した「キャッシュレスビジョン」を参考に、キャッシュレス化の現状を整理してみました。
キャッシュレスの方式別比較 メリット・デメリットは?
キャッシュレス決済は、文字通りお金を持たないで決済すること。
札入れや小銭入れなどを持たなくても、電車に乗ったり買い物ができるシステムです。
海外では、急速に普及した決済方法ですが、日本での利用状況はとても遅れているのが現状です。
海外がキャッシュレスを積極的に推進してきた背景には、強盗やニセ札、脱税など、お金にからんだ犯罪が、日本より多いことにもあります。
キャッシュレス化が進んでいるスウェーデンでは、2008年に年間110件発生していた銀行強盗が、2015年には7件まで減ったとのこと。
スウェーデンの人口は、2015年が985万人ですから、東京都23区の人口ぐらいでしょうか。銀行強盗の多さに驚きます。
また、海外の紙幣は、日本の紙幣とくらべそれほど精巧には作られていませんから、偽造が多いのも納得です。
米ドルの別称は、greenback(グリーンバック)。ドル紙幣の裏側をノートなどにこすり付けると、簡単に色落ちすることで有名です。
キャッシュレス決済のさまざまな形式
一言でキャッシュレスといっても、「SUICA」などの交通系の電子マネーから、クレジットカードやデビットカードなど、いろいろあります。
それぞれの特徴は、以下のとおりです。
方式 | 支払 | 特徴 | 支払い方法 |
プリペイド(交通系・流通系) | 前払い | 利用金額を事前にチャージ | タッチ式 |
デビットカード(銀行系・国際ブランド系) | 即時払い | リアルタイム取引 | スライド式・読込み式 |
モバイルウォレット(QRコード、NFCなど) | 即時払い | リアルタイム取引 | カメラ/スキャナ・タッチ式 |
クレジットカード | 後払い | 後払い・与信機能 | スライド式・読込み式 |
<プリペイド>
SUICAなどの交通系プリペイドを使っている方は、結構いるんじゃないでしょうか。実際の利用でもとても便利です。
特に、区間ごとに料金が刻々と変わるバス料金。小銭が無いと、とても不安になりますが、交通系カードが使えれば安心です。ストレスが溜りません。
コンビニでのこまかな買い物でも簡単に決済できますが、入金限度額が小さいことがやや難ですね。
<デビットカード>
とても便利なカードです。利用したときに、即引き落とされますから、利用状況をリアルタイムでチェックできます。
また、デビットカードも残高の範囲内での利用なので、クレジットカードのように使いすぎる心配はありません。
また、VISAのような国際ブランドと提携したデビットカードなら、海外のVISA加盟店で使うことができますし、ATMから現地通貨での引き出しができるのでとても便利です。
<モバイルウォレット>
スマホなどの携帯端末のカメラを使って、QRコードを読み込ませるだけで決済できるのが特徴です。
登録はとても簡単! 「LINE PAY」の場合、登録して金額をチャージするだけですが、残高を下回った場合、銀行口座と連携させて”オートチャージ”したり、クレジットカードと連携させることもできます。
ビットコインなどの仮想通貨も、支払方法はこれ。
<クレジットカード>
日本人の場合、保有率は高いようですが、利用率は外国と比べて低いのが特徴です。
翌月決済のため、つい使い過ぎたり、不正使用などを心配する方も多いようです。
しかし、アメリカなどでは、個人信用の裏付けにもなっているので、必須といってもいいでしょう。デビットカードは、クレジットカードが作れない人が利用するとの考え方もあるようです。
また、クレジットカードが無ければ決済できない店も少なくありません。
韓国のキャッシュレス化は89.1%(2015年)で、もっとも進んでいますが、そのうちクレジットカードの利用が多いのが特徴です。
年商240万円以上の店舗を対象として、クレジットカードの取り付けを義務化したことが、キャッシュレスの推進に大きく寄与しています。
クレジットカードは、信用のバロメータであることは間違いありません。
紹介したキャッシュレス決済システムのなかでも、実質的に審査が必要なのは、クレジットカードだけ。そもそも”クレジット”の意味は、”信用”。
アメリカを始めとして海外では、個人の信頼性を判断する基準になっているわけです。
キャッシュレス化しないとインバウンド需要を取りこぼす
政府は、キャッシュレス化を経済政策の柱の一つにしていますが、訪日外国人のインバウンド需要をとりこぼしていることも、その理由の一つです。
訪日外国人の数は、2018年度3000万人を超えました。今年は、さらにそれを上回るペースで、海外から訪日しています。2019年3月単月は、前年同月比+5.8%。
政府としては、キャッシュカードが使えないために取りこぼしているインバウンド需要を、なんとか取り込みたいと考えているようです。
クレジットカードは早目に作っておいたほうがいい
海外からのインバウンド需要を取りこぼしていると説明しましたが、逆の見方をすれば、クレジットカードを持たないで海外へ行くと、とても不便な思いをすることを意味します。
アメリカでは、1ドルの買い物をするのにクレジットカードで支払いできますが、100$紙幣では拒否されます。理由は、ニセ札が多いからです。
現金が、いかに信用されていないかの証です。それに犯罪に合う確率も高くなります。
三井住友カード(VISA)は、国際ブランドのなかでも一番使いやすいカードかもしれません。私も使っていますが、なんといっても使えないところが無いくらい加盟店が多いのが魅力!
VISAの加盟店は、世界中で4,400万ヵ所もありますから、納得です。
また、東京2020オリンピックでは、VISAが「ワールドワイドオリンピックパートナー」として参加しています。
VISAカードを作るときは審査がありますので、手続きは早目にしておいたほうがいいでしょう。
クレジットカードは不正利用が心配!?
クレジットカードを作らない、あるいは持っていても使わない方の大きな理由は、次の2点だと思います。
- 使いすぎが心配
- 悪用されるのが心配
使いすぎについては、自分でセーブするしか方法はありませんが、それも不安という方には「デビットカード」をおすすめします。
また、VISAには「マイ・ペイすリボ」という制度があり、使いすぎたときに毎月の支払金額を自分で決める制度もあります。
クレジットカードが悪用されるリスクは、たしかにありますが、不正利用の場合の補償がありますので、心配は無用です。
VSIAのQ&Aでは、次のように説明があります。
それでも不正利用にあってしまったら…カード紛失・盗難のお届け日から60日前にさかのぼり、それ以降の不正利用については弊社が補償します。
カード紛失・盗難以外の不正利用の場合も、同様に補償いたします。
まとめ
政府は、2019年10月の消費増税にあわせ、キャッシュレス化を推進するための施策として、消費者還元のポイント制度を推進しています。
期間は、2019年10月~2020年6月(9か月間)ですが、還元率が2%ですから、消費税の増税分が戻ってくることになります。
プリペイドやデビット、モバイルウォレットだけでも、キャッシュレス化への対応はできますが、消費者としては、クレジットカードで信用形成をしておきたいところです。
また、カードの利用ポイントを合わせると、大きなメリットになります。波に乗るのも、気持ちがいいものです。
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