喫煙は、肺がんや脳卒中、心筋梗塞などさまざまな病気の原因になることがわかっていますが、認知症のリスクが高くなることについてはあまり知られていないようです。
一般社団法人 日本神経学会のHPには、65歳~75歳で喫煙している人は、すべての認知症について非喫煙者よりリスクが高くなるとしています。
また、現在禁煙中の人については認知症のリスク上昇は無かったとのこと、一安心といったところでしょうか。
なんと、世界中のアルツハイマー型認知症のうち14%は喫煙が原因、との報告もあるようですから驚きます。
なぜ喫煙で認知症に?
喫煙が認知症になるリスクを高めると言われる原因は、「脳の萎縮」と「有害成分」にあります。
喫煙で脳がはやく萎縮する!
高齢になると脳は徐々に萎縮します。萎縮とは、脳の大きさが少しづつ小さくなっていくこと。
喫煙者の場合、5歳~10歳年上の非喫煙者と同程度の萎縮と言われますから、高齢になるほど非喫煙者と比べて認知症になるリスクが高くなります。脳の年齢は、”実年齢+5~10歳”!
もともと脳が大きい人なら、多少萎縮して小さくなっても機能的には問題ないんじゃない、と思うかもしれません。しかし脳の機能は、大きさだけで評価することはできません。
かつては、脳みその重さが知能の高さと関係すると言われてきました。しかし、天才科学者アインシュタインの脳の重さは、一般的な人の脳よりも軽かったそうですから、脳の大きさは個々の能力とはあまり関係がないようです。
タバコに含まれる有害成分が脳に与える影響
タバコには、ニコチンやタールに限らず、多くの有害物質が含まれていることが知られています。
喫煙によって、タバコに含まれる有害物質は、肺から血管を通して脳へも運ばれます。そして、大脳皮質に影響を与えるのです。
大脳皮質には言語機能や認知機能などが集中していますから、認知症や運動機能への影響があることは容易に想像できます。
タバコに含まれる有害物質
ファイザー社のHPによれば、タバコには4,000種類もの化学物質が含まれ、そのうち有害物質と言われるものがなんと200種類もあるそうです。
代表的なのもだけいでも、つぎの通り。
〇ニコチン 〇タール 〇一酸化炭素 〇アセトン 〇ブタン 〇ヒ素 〇カドミウム 〇ホルムアルデヒド 〇アンモニア 〇ダイオキシン 〇フェノール 〇ベンゼン 〇トルエンなど
カドミウムはイタイイタイ病の原因、ダイオキシンは青酸カリよりも毒性が強く、トルエンは工業用の溶剤として使われる物質。1回の喫煙でカラダに入ってくる量は微量ですが、蓄積することで大きな影響がでてきます。
4つのタイプの認知症すべてに喫煙が影響!
喫煙は、アルツハイマー型だけでなく、次の4種類のタイプの認知症すべての進行に影響を与えます。
①アルツハイマー型認知症
ー記銘力(新しい体験を覚える能力)が低下します。
②前頭側頭型認知症
ー前頭葉に異常が起きたときは人格に影響し、側頭葉に異常が出ると記憶障害を生じます。
③レビー小体型認知症
ー初期症状としては幻視がみられ、パーキンソン症状がでることもあります。
④脳血管性認知症
ー脳梗塞を繰り返すことが原因となることが多く歩行障害や片麻痺などの症状が出ます。
認知症と肺がんどっちが怖い?
喫煙といえば、肺がんが一番気になる病気。医者からガン宣告されたら、それまで2箱も3箱も吸っていたヘビースモーカーがピタッとタバコを止めるから関心します。
それだったら、もっと早くからやめておけばよかったのに・・・。でも、タバコや大麻やコカインよりも常習性が強いと言われていますから、仕方ないのかも。
かくいう私も、禁煙を決意してからやめるまで1年半かかりました。
では、”認知症になるよ” と言われて、タバコをやめる人、どれくらいいます? 多分、やめないでしょう。
しかし肺がんは、早期発見できれば完治する時代ですが、認知症を発症したら死ぬまでつき合わないといけません。
果たして、どちらがツライ?
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