食物繊維は、かつては役に立たないものと考えられてきましたが、近年では腸内環境をととのえるのに、とても重要な役割を果たしていることがわかっています。
しかし、食物繊維の摂取量は、日本人の食生活の変化によってかなり減ってきているようです。
大塚製薬が運営する「センイ ラボ」によれば、厚生労働省の「日本人の食事摂取基準」(2020年版)では、食物繊維の1日の摂取目標量は、女性18g以上、男性21g以上(ともに18~64歳の場合)となっています。
しかし、実際の摂取量は15gぐらいだそうですから、必要量のほぼ半分しか摂っていないことになるわけです。
女性の約半数が「便秘」と言われますが、食物繊維の摂取量が足りないこともその原因になっています。
便秘になると、有害物質が体内に吸収され、血流に乗って体中に運ばれるため、体臭の原因は皮膚トラブルの原因になります。
また、近年急増している大腸ガンは、ガンによる死亡原因としては、女性が1位、男性では3位となっており、ガンによって排便がスムーズにおこなわれないため便通が悪くなると言われます。
また、糖尿病や甲状腺の疾患、精神的なストレスなども便秘の原因なりますから、便秘を軽く考えないほうがいいようです。
便秘がちな人は、他の栄養素とのバランスもありますが、まずは食物繊維を意識して摂る必要があるかもしれません。
2種類の食物繊維「水溶性」「不溶性」のはたらき
食物繊維には、「水溶性」と「不溶性」の2種類あって、バランスよく摂取する必要があると言われます。
「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」には、次のような特徴があります。※参考:大塚製薬「食物繊維の分類と特性」
- 水溶性食物繊維
・粘着性があり胃腸内をゆっくり移動し、糖質の吸収をゆるやかにして、食後血糖値の急激な上昇を抑えます。お腹がすきにくいので、食べすぎを防ぐことができます。
・胆汁酸やコレステロールを吸着して、体外に排泄します。
・大腸内で発酵・分解されると、ビフィズス菌などが増えて腸内環境がよくなり、整腸効果があります。 - 不溶性食物繊維
・腸の中で水分を吸収して大きくふくらみ、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にすることで、便通を促進します。
・大腸内で発酵・分解され、ビフィズス菌などが増えるため腸内環境がよくなり、整腸効果があります。水溶性食物繊維より、発酵性は低いようです。
「水溶性」「不溶性」をバランスよく摂る必要性
食物繊維として一括りにしてしまうことが多いですが、「水溶性食物繊維」と「不溶性食物繊維」をバランスよく摂ることが大切だと言われます。
NHK健康チャンネル「食物繊維をとりすぎると便秘が悪化!? 便秘改善になる量と食材とは」で、横浜市立大学の中島淳教授はつぎのような説明(要約)をしています。
食物繊維を多く含む食材は、便秘予防につながるが、便秘になった人が「不溶性食物繊維」を摂りすぎると便秘が悪化してしまうことがある。
中島教授は、不溶性食物繊維が便のかさを増すはたらきに着目しています。腸が健康であれば、不溶性食物繊維のはたらきによって、腸が刺激を受けて排便がうながされます。
しかし、便秘の人の場合、「蠕動運動」の機能が低下しているので、便が大きくなるため、スムーズに前に進まなくなるとしています。
そのうえで、便秘が重症の方は、不溶性食物繊維を多く含む食材を摂りすぎないよう注意をうながしています。
食物繊維を多く含む食品
かなり前の記事ですが、日経トレンディネットでは、”大麦の水溶性食物繊維が食後の血糖値上昇を抑える” 2015.11.11のなかで、大麦の「水溶性」「不溶性」のバランスに注目しています。
身近な食材について、「水溶性」「不溶性」それぞれの食物繊維量を紹介したものですが、元データは、日本食品標準成分表2010のようです。
<身近な食材の食物繊維量(100g中)>※抜粋
食材 | 水溶性(g) | 不溶性(g) | 合計(g) |
大麦(押麦) | 6.0 | 3.6 | 9.6 |
玄米 | 0.7 | 2.3 | 3.0 |
白米 | 微量 | 0.5 | 0.5 |
ピーナッツ | 0.3 | 6.9 | 7.2 |
納豆 | 2.3 | 4.4 | 6.7 |
ゴボウ | 2.3 | 3.4 | 5.7 |
ニンニク | 3.7 | 2.0 | 5.7 |
ブロッコリー | 0.7 | 3.7 | 4.4 |
サツマイモ | 0.5 | 1.8 | 2.3 |
リンゴ | 0.3 | 1.2 | 1.5 |
NHK健康チャンネルの中島淳教授の解説では、”便秘の人が不溶性の食物繊維をとり過ぎると更にひどい便秘を引き起こすおそれがある”としていて、「不溶性」の代表的な食品として、つぎの食材を挙げています。
大麦や玄米、さつま芋、ごぼう、にんじん、ほうれんそう、小松菜など
「不溶性食物繊維」が多い代表的な食材として、最初に「大麦」が挙げられています。
しかし、「大麦」は、日経トレンディネットに紹介されているデータを見るかぎり、「水溶性」「不溶性」ともにバランスがとれた食材であることがわかります。
大麦の食物性繊維のバランス
大麦の「水溶性食物繊維」の成分量は、100g中6.0gもあり、他の食材と比べて突出していることがわかります。
日経トレンディネットの記事では、大妻女子大学の青江誠一郎教授、この「大麦」の食物繊維としてのバランスに着目しています。
青江教授は、「不溶性」より多くの効能が実証されているのは「水溶性」としながらも、大麦のパワーを推奨している理由は、大麦の食物繊維が「水溶性」と「不溶性」のバランスがとても良いからです。
NHK健康チャンネルの中島淳教授は、「不溶性」が多いと指摘していますが、データによれば「ピーナッツ」「納豆」「ブロッコリー」の成分量と比べ、けっして多くはありません。
大麦の水溶性食物繊維「β-グルカン」
大麦に含まれる水溶性食物繊維「β-グルカン」には、つぎのような働きがり、欧米では国により違いがありますが、その機能性表記が認められています。
<β-グルカンの機能>
- 食後の血糖値の上昇を抑える
- 排便を促進する
- 心疾患のリスクを減少する など
これらの効果・効能以外にも、オーストラリアやニュージーランドでは、”コレステロール値の低下”の機能標示が認められています。
大麦を使ったグラノーラ
グラノーラは、麦、玄米、とうもろこしなどの穀類を加工したシリアルの一種で、栄養価が高いだけでなく、携行食としても人気があります。
日本初の「大麦」を使ったグラノーラが、『あかねグラノラ』です。
『あかねグラノラ』は、熊本県産の大麦を使用していて、フレーク状やパフ化することなく、丸ごとそのまま食べられるグラノーラにつくられています。
コレステロールを気にしないで、栄養成分にこだわった飽きのこない美味しさのグラノーラです。
大麦には、白米のじつに17倍もの食物繊維が含まれています。熊本県産大麦100%の『あかねグラノラ』は、不足しがちな食物繊維の摂取に最適な食品と言えます。
水溶性食物繊維「β-グルカン」を豊富に含む大麦は、血糖値の上昇を緩やかにし、朝摂ることで”セカンドミール効果”と呼ばれる太りにくいカラダ作りに役立ちます。
”最近、お肉にかたよってる”、そんな方はぜひ試してみてください。
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