ヒト幹細胞培養液と、ふつうの化粧品に配合される美容成分では、細胞への働きかたが根本的に違います。
一般的な化粧品に配合されるヒアルロン酸やコラーゲン、エラスチンなどの美容成分は、年齢とともに減少する成分を補うことが目的です。しかし、ヒト幹細胞培養液は、皮膚の線維芽細胞や表皮幹細胞に直接はたらきますから、化粧品開発のコンセプトもまったく違うことになります。
とくに、線維芽細胞への働きを知ることで、他の化粧品などの使い方なども理解しやすくなりますので、個人的に整理しておきたいのと同時に、問題点についても考えていきます。
ヒト幹細胞培養液の働きを知れば化粧品の使い方がわかる
ヒト幹細胞培養液コスメは、皮膚の幹細胞や線維芽細胞に直接はたらくことが知られていても、実際には、どの成分がどのように機能しているのか、わからない部分も多いです。
一般的な化粧品では、年齢とともに減少していくコラーゲンなどの美容成分を補うわけですから、とてもシンプルでわかりやすいですね。コラーゲンが不足しているならコラーゲンを足してあげる、つまり対症療法的なコンセプトで開発されているわけです。
- コラーゲンー弾力
- ヒアルロン酸ーうるおい・ツヤ
- エラスチンーハリ
グロースファクター(成長因子)であるFGFには、線維芽細胞を増殖する働きがありますが、おなじグロースファクターの一種であるEGFとともに、重要な美容成分として知られていて、多くの化粧品に配合されています。
さらに、線維芽細胞にアプローチして、コラーゲンなどの美容成分の産生をうながすために、体の内側からのケアを目的として開発された美容ドリンクもあります。
これらの成分を配合した化粧品や美容ドリンクが、線維芽細胞にはたらくなら、ヒト幹細胞美容液コスメも同じじゃない?という意見も聞こえてきそうです。
しかし、決定的な違いは、そこに含まれる成分の種類の多さとその働きです。
ヒト幹細胞培養液に含まれる成分は多彩!
ヒト幹細胞培養液には、さまざまなグロースファクター(成長因子)が含まれているだけでなく、情報伝達物質のサイトカイン、インターフェロン、活性酸素を除去するSODと呼ばれる酵素などが豊富に含まれています。
ヒト幹細胞培養液に含まれているタンパク質の種類は、なんと500種類、サイトカインは150種類にも及ぶようです。
もともと、人間の幹細胞の培養液ですから、細胞に必要なあらゆる成分が含まれていることはわかりますが、それぞれの成分が皮膚の細胞にどのように働いているのか、こまかく検証されているわけではありません。
なお、幹細胞培養液エキスは、再生医療由来の成分として、2014年に厚生労働省の認可を受けているようです。
培養液でも幹細胞と同等の効果?
幹細胞培養液は、幹細胞そのものが含まれているわけではありませんが、皮膚の表皮幹細胞や線維芽細胞に直接はたらきますから、その効果は幹細胞と同等ともいわれ、次のような効果があるとされています。
- 皮膚創傷の治癒
- 抗酸化作用
- シミ・シワの改善
- 発毛・増毛促進
- ホワイトニングなど
成分ごとの効果についての検証は?
一般的な化粧品では、効果があると考えられる特定の美容成分についてさまざまな検証をおこない、その成分を軸に、使用目的やテクスチャーなどを考えあわせて商品開発をおこないます。
つまり、すべての配合成分がわかっていることになります。これは、FGFやEGF、ローズマリー発酵エキスを配合した化粧品すべて共通しています。
また、飲んでシミに効くサプリメントとして、ビタミンCやビタミンEなどを配合したものがありますが、成分の配合目的は明確です。
しかし、ヒト幹細胞培養液コスメの場合、数百種類もの有用成分が含まれていますが、一つ一つの成分について、そのはたらきがすべて検証されているわけではありません。
薬などに配合される薬効成分は、さまざまな原材料から抽出され、〇〇エキスとして製品に配合されますが、ヒト幹細胞培養液の場合、幹細胞そのものや異物などを取り除いたとしても、原料そのものが使われていることになります。
情報伝達物質のサイトカインが、線維芽細胞のレセプターに直接はたらくということは、150種類以上ものサイトカインが同時に作用?
もちろん、これらの成分が同時に働いて幹細胞が増殖するわけですが・・・、まだまだわからないことが多いのが、ヒト幹細胞培養液です。
まとめ
ヒト幹細胞培養液コスメは、調べれば調べるほど、個人的にはさまざまな疑問がわいてきます。
夢の美容成分ですが、正確には、数百種類もの機能成分の集合体ですから、さまざまな有用成分が含まれた原材料と考えることもできます。
また、ヒト幹細胞培養液には、表皮幹細胞のターンオーバーのサイクルを早めて正常化する働きがあります。
しかし、細胞の染色体の末端にはテロメアがあって、細胞分裂を重ねるごとに短くなっていくことが知られています。つまり、細胞分裂の回数には限界があるわけです。
もし、ターンオーバーのサイクルが短縮されたら、細胞そのものの寿命はどうなる?
ネットでいろいろ検索しても答は見つかりませんが、最新の研究ではテロメアの寿命を延ばすことができるという研究成果もあるようです。
個人的には疑問が残りますが、ヒト幹細胞培養液コスメによる副作用や、使用後の障害などが報告されていないようです。安全性に関しても、まずは前向きに考えていいようです。
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