安眠できる成分としては、レシチン、L-トリプトファン、グリシン、L-テアニンが知られ、睡眠ホルモンと言われるメラトニンは、トリプトファンから作られます。
しかし、これらの成分を食品で摂ろうとすると、かなりの量が必要になるようです。
安眠をサポートするサプリメントに配合されるL-テアニンを製造しているメーカー、太陽化学株式会社によれば、通常の食事で睡眠を改善する効果が得られる食品は存在しないと説明しています。
睡眠の改善に食べ物でなくサプリメントがおススメの理由
普段からしっかり睡眠がとれていれば、サプリメントを使う必要はありませんし、食事を気にすることもありません。
しかし、体調や精神が不安定になることで、安眠できなくなれば、さまざまな病気の原因になりますから、早目のケアが必要になります。
食事から睡眠にケアする成分が十分に摂れればいいのですが、現実にはなかなか簡単ではないようです。
レシチンは細胞膜を構成する成分
レシチンは、もともとリン脂質の1種、ホスファチジルコリンの別名だったようですが、現在ではリン脂質を含む脂質製品を総称して、レシチンと呼んでいるとのこと。
細胞膜を構成する成分で、学習や記憶、睡眠に深くかかわっています。
レシチンは、大豆や卵黄に大量に含まれていますが、牛、豚、鶏レバーや穀類にも含まれているので、普通に食事をしていても1日に2g程度は摂取していることになります。
なお、レシチンを大量に摂取(1日30g)すると、発汗、嘔吐、下痢などの副作用を生じることがあるようです。
<レシチンを多く含む食品>※100g中
鶏卵 | 3.49g |
大豆 | 2.0g |
菜種 | 1.5g |
牛肉 | 0.7g |
豚肉 | 0.6g |
L-トリプトファン
トリプトファンは、必須アミノ酸の一つで、脳に運ばれセロトニンの原料になり、このセロトニンには、鎮痛作用や安眠作用があります。
また、トリプトファンは、短期間に、1日3000~6000mg摂取すると、無気力や吐き気などの症状が報告があり、6000mg以上摂取すると、肝臓に障害が出る恐れがあると言われています。
トリプトファンの1日あたり必要量は、明確な数字はないようですが、18歳以上では 4.0mg/kgと言われていますから、体重60kgの場合、240mg必要ということになります。
<トリプトファンを多く含む食品>※100g中
牛レバー | 290mg |
ナチュラルチーズ | 320mg |
肉類 | 150~290mg |
そば | 192mg |
すじこ | 331mg |
パスタ | 150mg |
納豆 | 240mg |
アーモンド | 201mg |
サプリメントでは、1日摂取目安量600mgとしているものもありますので、通常の食事と合わせると、過剰摂取に注意が必要です。
メラトニンはレタスやケールに含まれるけど
メラトニンは「睡眠ホルモン」と言われ、トリプトファンから生成されます。
レタスやケールにも含まれていますが、睡眠効果のための1回の必要量30mgを摂るためには、なんと茎を含めて60kgも必要になるそうです。
また、メラトニンを食材として製造、販売することは日本国内では認められていないとのこと。
<メラトニンを含む食品>
マグロ・サンマなどの赤身の魚、肉、大豆製品、バナナ、米
グリシン
グリシンは、脊椎や脳幹に多く存在して、中枢神経で抑制系の神経伝達物質として働きます。
睡眠の質を高め、不眠を改善したり、活性酸素を抑えて、肌の質を改善したりするなどの効果があります。
動物性コラーゲンに多く含まれ、食品の日持ちを良くする効果があります。においがほとんど無くて甘みがあり、調味料や保存料としても使われます。
グリシンは、体内合成される成分ですが、ホタテやエビ・カニ、肉類にも多く含まれています。
L-テアニン
L-テアニンは、緑茶に含まれる成分で、お茶を飲んでほっとするのはL-テアニンの効果です。
お茶を飲んで目が覚めるのは、お茶に含まれるカフェインのせい。
リラックス効果や睡眠の質を高める効果があり、【機能性表示食品】の成分としても配合されています。
お茶以外には、キノコの一種でしか見つかっていない成分で、玉露など上等なお茶に多く含まれているのが特徴。
<お茶に含まれるテアニンの量>
お茶の種類 | お茶の量 | テアニン量 |
番茶 | 130ml | 4mg |
煎茶(上) | 57ml | 11mg |
玉露(上) | 20ml | 20mg |
※太陽化学㈱HPに掲載の参考文献:茶の入れ方研究会1973から引用
玉露などの高級な茶葉ほど、テアニンが多く含まれていることがわかります。
寝る前にはお茶は飲めない!
L-テアニンが含まれるお茶ですが、やはり就寝前に飲むわけにはいきません。
ご存知のように、緑茶、コーヒー、ココアなどに含まれるカフェインには、覚醒作用があります。眠気覚ましには最適ですが・・・。
特に、カフェインは、高級なお茶、玉露などに多く含まれていますから、L-テアニン配合量が増えるだけならいいのですが、そう都合よくはいかないようです。
まとめ
快適な睡眠をさまたげる原因は、さまざまあります。
ストレスが一番大きな原因ですが、自分ではなかなか気が付かないため、深刻な体調不良や精神的な障害が出ることも。
不眠の症状がある人は、糖尿病になるリスクが、1.5~2倍にもなると言われます。睡眠時間が5時間以下だと、高血圧のリスクは2.1倍に!
睡眠中に免疫力が回復することが良く知られていますが、あまり深刻に受けとる人が少ないようです。
食べ物だけでは、なかなか睡眠を改善することは難しいのが現実。
有効成分を配合したサプリメントが、いろいろ発売されていますから、ぜひ試してみてください。
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