適度な運動は、中高年以降の認知機能の改善に役立ちますが、睡眠不足だとせっかくの運動の効果が減ってしまうかもしれません。
日経新聞の記事によれば、身体活動量が多くても、睡眠時間が6時間未満だと認知機能の低下がはやくなる、との研究結果があるようです。
英国でおこなわれた研究で、調査開始時に50歳以上で認知機能に問題のない8958人を対象に、10年間の追跡調査をおこなったもの。
60歳で認知機能の低下が確認されるとは、心穏やかではありません。ジョギング、バイク、家庭菜園など、運動不足にならないように気を使っている高齢者にとっては気になります。
「身体活動」と「睡眠」の調査内容は?
英国の研究では、身体活動については、身体活動の量を4パターンに分け、さらに強度を「低い」「高い」に分類。
- 週1回以上
- 毎週
- 月に1〜3回
- ほとんどしない
週1以上の活動が、運動量として十分かどうかはわかりませんが、あくまで活動量なんでしょうね。
睡眠時間については、平日の夜の睡眠時間をつぎのように分類しています。こちらは、わかりやすいですね。
- 短い(6時間未満)
- 適切(6〜8時間)
- 長い(8時間超)
睡眠時間が6時間未満だと睡眠が足りないと考えるのは、万国共通でしょうか。
いずれにしても、せっかく早起きして運動をおこなっているのに、睡眠不足で認知機能がおとろえたのでは元も子もありません。
認知機能の検査内容は?
調査対象者を、運動量と睡眠時間で分類したうえで、つぎのような認知機能のテストをおこなっています。
- 10個の単語を覚えてから思い出す記憶テスト
- 動物の名前をできるだけ多く答える言語流ちょう性テスト
日本の運転免許更新では、75歳以上を対象に記憶テストがありますが、こちらは、16種類のイラストを記憶するもの。記憶テストは、認知機能テストの定番!
動物の名前については、何種類ぐらい言えれば良いのかわかりませんが、イヌ、ネコ、ウシ、ブタなど、大雑把な分類でイメージすると、すぐに行きづまります。
英国の研究では、これらの項目のほかに、年齢や性別、喫煙歴、飲酒習慣などをあわせて統計学的に調整しているようです。
睡眠時間が短いと認知機能の低下が早まるとの結果に!
身体活動が「高い」+睡眠時間が「適切」の認知スコアが高いことは容易に想像できますが、身体活動が高くても睡眠時間が短ければ、認知スコアにも影響がでるようです。
睡眠時間が短いと、認知機能の低下が早まり、10年後の認知スコアの差は0.20に広がった
50歳の調査開始時で、身体活動が「高い」+睡眠時間が「適切」なグループの認知スコアは、身体活動が「高い」+睡眠時間が「短い」グループより、すでに認知スコアが 0.07高かったようです。
これが10年後さらに 0.20 の差まで拡がったということ。この差が、今後もどんどん開いていくであろうことは容易に想像できます。
仮眠(パワーナップ)で睡眠不足を解消!
睡眠時間と認知機能の関連性を発表した英国の研究では、睡眠の質についてのデータはないようです。
厚生労働省のHPによれば、成人の適正睡眠時間をおおよそ6~8時間としていますが、ただベッドに横になればよいわけではなく、良質な睡眠がのぞましいことはいうまでもありません。
近年、大手企業がとりいれて話題になっているのが、パワーナップ(Power Nap)〔積極的仮眠〕制度。
平日の昼間に仮眠時間を取ることで、睡眠不足を解消しようという制度。利用者の好評もいいようです。
ただし、仮眠時間が30分を超え長すぎてしまうと、起きてから頭がボーッとして業務から集中できなくなってしまうとのこと。推奨時間は、15~30分ていど。
良質な睡眠をとるための睡眠環境
良質な睡眠をとるためには、睡眠環境をととのえることは必須です。よく言われるのは、つぎのような項目。
- 寝室の照明を暗くする
- 寝る前にスマホやPC操作をしない
- 入浴はぬるま湯に2時間くらい前に
- 食事は3時間ぐらい前までにすませる
どの項目も簡単なようですが、忙しい現役世代にとって毎日続けるのはなかなかむずかしいのが実状。
また、睡眠の研究が進むにつれ、快眠のための常識も変わっているようです。こちらが、「快眠の新常識」と言われる項目です。
- 大切なのは寝室の明るさだけでなくリビングの明るさ
- 眠くも無いのにベッドに入るな
- 昼寝は応急措置 ときに逆効果
- ”寝過ぎてだるい”は睡眠不足の証拠
- 朝型・夜型は年齢で変わる
朝型・夜型は年齢で変わるようですから、自分のスタイルにいつまでもこだわっていると、認知機能にも影響?
快眠のためにサプリメントを活用する
なかなか眠れないという方でも、専門の医療機関で睡眠導入剤(睡眠薬)を処方してもらうことに抵抗がある人は多いのではないでしょうか。
ドラッグストアなどで購入できる睡眠改善薬には、眠気などの副作用があるジフェンヒドラミン塩酸塩が含まれますので、運転する方は注意が必要です。
一方、睡眠サプリと呼ばれる商品は、気分をリラックスさせる効果があるL-テアニンやGABAなどの成分が配合されています。
睡眠サプリに配合されている成分には、睡眠導入剤のような即効性はありませんが、副作用の心配がなく安心して飲み続けることができるのが大きなメリットです。
自分ではよく寝たつもりでも、頭がスッキリしないのは、もしかしたら良質な睡眠がとれていないのかもしれません。
生活習慣の改善とあわせて、睡眠サプリをためしてみると良いかもしれません。
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