精神的・肉体的ストレスは、快適な睡眠の大きな妨げになりますが、副腎皮質から分泌されるストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールと深い関係があります。
気温の変化、職場環境、個人の性格など、ストレスの質と強さは人によって違いますが、ストレスと睡眠不足のメカニズムを知れば、快眠への改善策が見えてくるかもしれません。
仕事や健康面での心配、うまくいかない人間関係、お金のこと、家庭のトラブルなど、悩みや不安が頭から離れず、よく眠れないということがありますが、不安や悩みだけが精神的なストレスになるわけではありません。
旅行やゴルフの前日、結婚や出産、昇進や栄転など、うれしさで眠れないことも。嬉しいことも精神的なストレス。でも眠れないのは一時的だから、心配しなくても良い?
ストレスによって睡眠不足が続くと、体調をくずし、さまざまな病気や健康トラブルのリスクが高まりますから、早めのケアが大事です。
このようなストレスに対応するのがストレスホルモンであるコルチゾールですが、睡眠リズムとも関係していて、分泌量が多ければ良いというわけではないようです。
ストレスホルモン・コルチゾール・睡眠不足との関係は?
ストレスホルモンとも呼ばれているコルチゾールは、ストレスを受けると、脳からの指令を受けて、副腎皮質から分泌される副腎皮質ホルモンの一種です。
コルチゾールは、短期的なストレスにうまく適応できるように働きますが、コルチゾールが分泌されるメカニズムには、過剰に分泌されるのを防ぐフィードバック機能もそなわっています。
脂肪の分解、たんぱく質の代謝などを促進し、炎症を抑えるはたらきがあり、コルチゾールは日中の活動には欠かせないホルモンです。
深い睡眠ではコルチゾールの分泌が抑えられる
甲南大学の知能情報学部・前田多章准教授によれば、コルチゾールの濃度がもっとも高くなるのは、朝の起床時で、日中の活動で使われ、夜へ向けて減少するとのこと。
こちらのグラフは、ストレスホルモン「コルチゾール」などの副腎皮質ホルモンと睡眠ホルモン「メラトニン」の分泌量を比較したものです。
ストレスホルモン・コルチゾールなどの副腎皮質ホルモンの分泌量が、朝へ向けて急激に増加しています。
就寝中につくられるコルチゾールですが、睡眠が深くなるノンレム睡眠の状態では、コルチゾールの分泌が抑えられていることがわかります。
過剰なストレスが続くと、コルチゾールの濃度が慢性的に高くなり、これが不眠症、さらにはうつ病などの精神疾患の原因になるとの研究結果もあるようです。
自律神経の乱れで睡眠の質がさらに低下
睡眠の質には、ストレスホルモン・コルチゾールの分泌が関係していますが、自律神経の働きをあわせて考えなければなりません。
自律神経には、交感神経と副交感神経があり、日中、活動しているときには、交感神経が優位にはたらき、睡眠時には副交感神経が優位にはたらきます。
ストレスが溜まっていると、自律神経のバランスがくずれ、夜になっても脳が興奮状態で交感神経が優位にはたらくために、睡眠の質が悪くなります。
たとえ眠ることができたとしても、浅い睡眠(レム睡眠)になり、深い眠り(ノンレム睡眠)は確保できません。
コルチゾールの分泌は、ノンレム睡眠では抑えることができますが、レム睡眠では抑えられません。結果、コルチゾールの分泌量にも影響することになります。
あらためて、副腎皮質ホルモンとメラトニンの分泌量の変化のグラフを見ていただきたいと思います。
ストレスが溜まると、自律神経の働きが乱れ睡眠不足になり、コルチゾールの分泌にも影響しますから、結果的に睡眠不足の悪循環に陥ることになります。
睡眠不足を解消するために効果的な3つの生活習慣
睡眠不足は、さまざまな原因が考えられますが、すぐに始められる効果的な生活習慣は、つぎの3つです。
- 睡眠環境をととのえる
- 適度な運動をする
- 温めのお湯につかる
睡眠環境は、寝室の明るさを暗くするだけでも、十分効果があります。就寝2〜3時間前に,200〜300ルクス以上の光刺激は避けましょう。テレビやパソコン、スマホはNG!
また、朝起きたときに、太陽の光を浴びることで、体内時計がリセットされ、睡眠リズムをととのえることができます。
睡眠に適した赤い光を再現した目覚まし時計『トトノエライト』も開発されており、起床時には、太陽光の明るさを再現してくれるようです。
光目覚まし時計 トトノエライト
就寝前に、37~39℃以下のお湯に10~15分程度つかるのが理想的とされますが、シャワーだけという方も多いはず。
通常のシャワーだけでは、体が温まらないですが、ウルトラファインバブル(UFB)のシャワーヘッドには体を温める効果があるそうです。
まとめ
睡眠不足は、日中に眠くなったり、だるさが抜けないなどの不調だけでなく、さまざまな病気の原因になります。
とくに、コルチゾールの過剰な分泌は、睡眠への悪影響だけでなく、うつ病などの精神疾患、さらには記憶を定着させるための海馬にも影響を与えるようですから、ストレスを溜めこむのは要注意。
睡眠不足を解消するために紹介した3つの生活習慣は、どれも今日から出来ることばかり。まず、何か一つ始めてみませんか。
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