”水道水がおいしい”、最近よく耳にするフレーズです。世界的にみても、日本のように水道水をそのまま飲むことができる国はわずか10カ国ほど。
安全でおいしい水道水は、「原水」を浄水処理してつくられますが、この過程でつかわれるのが消毒用の「塩素」。
かつては、水道水は塩素のニオイが気になりましたが、今はほとんどしなくなりました。といっても、塩素が使われていないわけではありません。
ニオイは、味覚にも大きな影響をあたえますから、塩素臭を感じなければ、”水道水がおいしくなった”と感じるのも不思議ではないでしょう。
水道水の消毒に欠かせない「塩素」・臭いが薄くなった理由
水道水のイヤな臭いには、おもに「カルキ臭」と「カビ臭」がありますが、最近はこのようなニオイを感じることはほとんどなくなりました。
「カルキ臭」は「塩素」のニオイじゃない!
水道水のおいしさを損なう原因になっているのが「カルキ臭」ですが、これは塩素そのもののニオイではなく、アンモニアと消毒のための塩素とが反応してできるトリクロラミンという物質が原因の一つとされています。
つまり、水道水のカルキ臭は、塩素そのもののニオイではないことです。
原水の質の変化にもよりますが、浄水技術の高度化によって、水道水のニオイの原因となる物質を減らすことができるようになったことが、カルキ臭をあまり感じなくなった大きな理由のようです。
この高度浄水処理で使われているオゾンには、これまでどうしても取り除けなかった微量のトリハロメタンの元になる物質、カビ臭の原因物質、カルキ臭の原因になるアンモニアを除去するはたらきがあります。
さらに活性炭が分解された有機物を吸着し、その有機物を微生物が分解することで、ニオイが無くて美味しい水道水がつくられているわけです。
とはいえ、水道水を浄化するために加えられる塩素の量は法令で決められていますから、水道水に塩素が含まれていることには変わりありません。
飲料用として浄水器を使う方が多いのは、やはり残留塩素が気になるからに他なりません。
水道水の塩素濃度は法令で決められている
おいしくなった水道水ですが、消毒用の塩素が使われていないわけではありません。
水道に使われる塩素の量は、1957年(昭和32年)に制定された水道法令(※)により、蛇口で検出される塩素の濃度(残留塩素濃度)が0.1mg/L以上に決められているのです。
国が定める水質基準等によれば、残留塩素0.1mg/L 以上1mg/L 以下となっていますが、東京都では0.4mg/L以下を目標にしているようです。
各浄水場では塩素をできるだけ減らすようにコントロールしていますから、ほとんどの人が塩素臭を感じることはありませんが、敏感な方なら気になるかもしれません。
塩素を除去する浄水器
水道水の消毒と殺菌のためには塩素は欠かすことができませんし、基準の塩素濃度なら健康面での問題はないようです。
しかし、日によって残留塩素の濃度にも違いがあり、塩素臭を感じることもあるでしょう。塩素を除去したいときに使いたいのが、浄水器。
蛇口直結型、浄水能力が高い据置型、ビルトイン型などのタイプがありますが、いずれもフィルターやカートリッジの定期交換は必要です。
<蛇口直結型>
蛇口直結型は、3,000円程度で購入でき取り付けも簡便ですが、一般的には、2~3ヶ月に1回程度のカートリッジ交換が必要。
蛇口直結タイプでおすすめなのは、「パナソニック 浄水器 蛇口直結型 TK-CJ12-W」。価格はやや高いですが、カートリッジの交換目安が1年間という優れもの。
<据置型>
カートリッジの交換目安が1年~2年ぐらいなので、価格の割にはかなりコスパといえます。また、コンパクトでデザイン的にも優れたものが多くなっています。
人気モデルの一つが、「パナソニック TK-AS30 据置タイプ」。浄水機能のほかに、アルカリイオン水や洗顔に使える弱酸性水など、5種類の水を生成でき、19項目の物質を除去する高い浄水能力を備えています。
ウォーターサーバーに使われる「天然水」と「RO水」
ウォーターサーバーに使われる水には、大きく分けて「天然水」と「RO水」の2種類があります。
「天然」あるいは「自然」を表示できるのは、農水省「品質表示ガイドライン」によれば、つぎの2種類だけとなっています。
- ナチュラルウォーター
・特定の水源から採水された地下水を原水とし、沈殿、濾過、加熱殺菌以外の物理的・化学的処理を行わないもの - ナチュラルミネラルウォーター
・ナチュラルウォーターのうち鉱化された地下水(地表から浸透し、地下を移動中又は地下に滞留中に地層中の無機塩類が溶解した地下水)を原水としたもの
「RO水」は、 RO(逆浸透膜)を使った浄水システムによって、0.0001ミクロンの孔を使い、水の中の不純物を完全に除去したピュアな水のこと。一般の浄水器ではろ過できない0.0001ミクロンの不純物を除去できるため、NASAによる宇宙空間での循環飲料水確保にもつかわれている技術です。
「天然水」と「RO水」、どちらを選択するかは好みにもよりますが、ウォーターサーバーで知られる『クリクラ』は、「RO水」にミネラルをバランスよく配合したものを使っています。
『クリクラ』は、「RO水」に「ミネラル成分」をバランスよく配合した非加熱殺菌のまろやかな軟水なので、軟水に慣れた日本人に合っているのかもしれません。
「ウォーターサーバー」のメリット
安全でおいくなった水道水ですが、残留塩素以外にも、除去しきれないさまざまな物質があるていどは残ります。
そのため、塩素などを含まない飲料水として、「ウォーターサーバー」を利用する方が増えています。
事業者の多くがサーバーのレンタル料を無料にしていることも理由の一つですが、水道水にはない安心感があるだけでなく、温水と冷水が好きなときに好きなだけ飲めるのが大きなメリット!
ウォーターボトル代にサーバーの電気代を含めると、500mmのペットボトル代とあまり変わらないという方もいます。しかし、ペットボトルは買い置きが面倒ですし、フタを開けたら早めに飲まないと衛生的にもよくありません。
その点、ウォーターサーバーなら、温水・冷水どちらでも、いつでも好きな時に安心して、美味しい水を飲むことができます。
まとめ
水道水が美味しくなったとはいえ、消毒用の塩素は、1957年(昭和32年)に制定された水道法令で決められた範囲内で使われています。
できるだけ塩素量を減らすように調整しているようですが、浄水場ごとのデーターを見るかぎり、塩素の注入量が日々大きく変動しているところもあります。
水道の塩素濃度については、健康への影響を心配する必要はないとされていますが、塩素が肌や髪になんらかの影響を与える物質であることは否定できません。
浄水器やウォーターサーバーはもちろんですが、洗浄効果で知られるUFB(ウルトラファインバブル)のシャワーヘッドにも、塩素除去機能があるものが発売されています。
人体の70%が水でできていることを考えれば、水へのこだわりが、なんらかの形で健康に役立っていると考えても不思議ではありません。
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