大企業でサラリーマンをやっていると、起業したいという発想はなかなか生まれてきませんが、確信を持ったアイデアが企業に採用されないとなると、起業への思いがつのってくるようです。
最近よく耳にする「スタートアップ」ですが、一般的には若手起業家のフィールドと思われがちですが、スタートアップ後をみると、年齢的には、”おっさん世代”の活躍が目立ちます。
スタートアップへの投資なら「おっさん起業家」?
スタートアップは、若い人のほうが有利と言われます。
失敗を恐れない前向きなモチベーション、万一失敗しても復活のチャンスがある、それに体力があることもメリット!
それに比べると中高年は、体力は落ちているし、慎重派が多くスピード感も無いので、一見、スタートアップには不向きでは?そんな意見も聞かれます。
でも、日経新聞の最近の調査によれば、そんなおっさん企業家の評価が、若手起業家と比べて高いとの結果があるようです。
日経新聞が「おっさん」としている基準は、年齢35歳~59歳。
もちろん、60歳以上で企業する人はたくさんいるし、IPOせずとも成功している人も少なくありません。しかし、事業承継での後継者問題など、高齢の経営者に対するネガティブなイメージが、スタートアップという言葉となじまないのかもしれません。
「おっさん」と「若手」の市場価値
日経新聞によれば、若手起業家の人数比では、若手企業家の方が多いのですが、設立からIPO(新規株式公開)するまでの年数は、若手14年に対しておっさん11年。
さらに、株式公開時と現在の株価を比較したところ、おっさん起業家のほうが若手起業家よりも、現在の株価が高い企業が多かったそうです。
さらに、平均売上高は、若手起業家の方が多いにもかかわらず、平均時価総額はおっさん起業家の方が圧倒的に大きいという結果に。
※以下のデータは、日経新聞(電子版)2019.9.26から引用
<株式公開時と現在の株価>
○若手起業家(起業時年齢34歳以下)
現在の方が高い:66.7%
現在の方が安い:33.3%
○おっさん起業家(35~59歳)
現在の方が高い:75.0%
現在の方が安い:25.0%
<平均売上高>
○若手起業家:51億円
○おっさん起業家:42億円
<平均時価総額>
○若手起業家:211億円
○おっさん起業家:295億円
おっさんに、若手のようなスピード感がないことは、平均売上高を見ても明らかですが、時価総額では逆転。この理由は?
「おっさん起業家」の評価が高い理由は?
IT関連企業ディーオーシャン・山本圭社長(48歳)の言葉に、「おっさん起業家」の評価が高い理由が感じられます。
「思いつきで行動せず、メンバーで議論して決める。スピード感は出ないが安定感はあると思う」
ワンマン経営者とは違い、目標に対する明確な行動プランのなかにも、社内でのコンセンサスをしっかりとりながら着実に前進する姿勢があらわれています。
これが、株主から安定感のある企業として評価されているのではないでしょうか。
IPO投資の評価基準は「おっさん」or「若手」?
IPO投資の基準を、「おっさん」or「若手」で決めてしまうのは乱暴な話です。
しかし、もともとリスクの高い投資なので、少しでもリスクを減らすことを考えるなら、75%の銘柄で株価が上がった「おっさん」経営者を選択にすることもアリ?
若手起業家の行き過ぎた拡大戦略が、IPO時の評価とは裏腹の結果になる例は、数多く見てきました。おっさんの”石橋を叩いて”も渡らない戦略にヤキモキすることもありますが、堅実な事業戦略は投資家として安心できるのは確かです。
未上場株式への投資基準としての「おっさん」
今、「株式投資型クラウドファンディング」を使って、未上場株式を取得する投資家が増えています。
これまで、ベンチャーキャピタルなど特定の投資家のマーケットが一般開放されたわけですが、投資先の評価基準がよくわかりません。
売上はこれからという企業のどこをみればいいのか、どう判断すればいいのか、バラ色の事業計画や資金計画からは見えてこないのです。
確率的にみれば、「おっさん」が、迷ったときの選択基準の切り札になるかも。
国内初の株式投資型クラウドファンディングFUNDINNOは、すでに70社ほどの企業への投資を実現しています。
倒産企業も発生しましたが、第4号案件「AuB株式会社(オーブ)」などのように大手企業からの第三者割当増資をおこない、社歴が浅いながらも着々とIPOへ向けて前進している企業もあります。
実は、AuB株式会社も「おっさん」のスタートアップ。2017年に、「FUNDINNO」で34百万円の資金調達が大きな原動力になっています。
代表取締役・鈴木啓太氏は元サッカー日本代表で、1981年7月8日生(38歳)。2015年に同社を創業。
アスリートの腸内環境を研究し、食品分野への参入や菌の新たな機能を発見するための研究開発をおこない、2019年秋には腸内環境をととのえるサプリを発売予定。
マスコミからも注目を集めるなか、大正製薬と三菱UFJキャピタルなどから約3億円の出資を受けています。
まとめ
IPO企業への投資は、非常にリスクが高いことは間違いありません。
株式投資型クラウドファンディング「FUNDINNO」を通じての未上場株式への投資は、さらにハイリスクです。
しかし、少額投資でリスク分散することで、10案件で1つぐらいはIPOする可能性も。
投資段階で開示されているのは、バラ色の事業計画ですが、スタートアップの動機と実現可能性を探るキーワードとして、「おっさん」は有効かもしれません。
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