しかし、FUNDINNO(ファンディーノ)を通して非上場企業の株主になるということは、倒産リスクやIPOしない可能性がある事を、投資家として承知しておくべきでしょう。
倒産リスクは、非上場企業にかぎらず、東証一部上場企業にも存在しています。しかし、ベンチャー企業では、その確率がはるかに高くなります。
株主になるということは、その企業の将来に自分の夢を託すことです。
夢が現実するかしないかはわかりませんが、それが投資です。もし元本を確実に減らさない方法を選択するなら、現金または預金がベスト!
現金や預金にしても、物価の上昇などを考えれば、実質的には目減りすることになりますが。
FUNDINNO(ファンディーノ)での投資はそもそもハイリスク
クラウドファンディングには、「非投資型」と「投資型」の2つの分類があります。
「非投資型」には「寄附型」と「購入型」があり、寄附型にはリターンがありません。お礼状が届くぐらいでしょうか。
購入型は品物やサービスのリターンが期待できますが、従来のクラウドファンディングはほとんどがこのタイプ。
「投資型」は、FUNDINNOに代表される株式投資型クラウドファンディングをはじめ、次の3つに分類されます。
●株式投資型クラウドファンディング
●融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)
「事業投資型」と「融資型」、どちらも匿名組合を通して資金を提供することになりますが、事業投資型は売上高に応じた分配金を受けとり、融資型は金利をリターンとして受け取ることになります。
FUNDINNOのような株式投資型クラウドファンディングでは、リターンとして非上場株式&配当が期待できます。
多くの投資家の最終目的は、配当よりもキャピタルゲイン。
IPOしたときの株価の上昇を期待しているわけですが、IPOできずに消えてしまう企業が多いのが現実。ハイリスクの所以でもあります。
ベンチャー企業の5年後生存率は15%
ベンチャー企業の5年後生存率は15%、10年後6.3%、20年後はわずかに0.3%です。
この数字はあくまで生存率ですから、IPOできる確率となれば、さらに数値が下がることになります。また、IPOのために社内体制を整備することで、かえって勢いをなくし業績を悪化させてしまう企業も少なくありません。
さらにIPOのために必要なコストそのものが、財務内容を悪化させてしまうこともあります。
FUNDINNOを活用して資金調達する企業の将来性については、未知数であることは間違いありません。
経営者の理念、人材、技術や商品の将来性などを総合的に判断して、心から支援していきたいと思う企業でなければ、投資を見合わせるべきでしょう。
クラウドファンディング推進の背景に1800兆円の個人金融資産
日本には、1800兆円もの個人金融資産が眠っていると言われます。
実際には、この中には個人事業主の決済資金、年金受給権、ゴルフ場の預託金などの預け金が含まれていますから、実際に眠っている資金量はかなり下がります。
しかし、多くの金融資産が活用されていないのは確かです。
この金融資産を、なんとか引っ張り出して、有効活用させたいというのが政府の方針。老後資金2000万円不足問題の発端ですね。
ベンチャー企業への投資機会が少ない国内事情
[…]ベンチャーキャピタルによる年間投資額は、アメリカが2.3兆円であるのに対し、日本ではわずか1,240億円[…]
これは、金融庁・金融審議会「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ」(第1回)議事録:平成25年6月26日での寺田副大臣の発言から、一部を引用したもの。
日本では、上場企業への投資は開かれていますが、非上場企業への投資はほとんど無いに等しい状況。
投資資金が大企業に集中してしまい、日本ではベンチャー企業がなかなか育たないという投資環境を改善する施策の一つが、クラウドファンディング。
FUNDINNOが、日本初の株式投資型クラウドファンディングのプラットフォームになった背景には、こんな事情がありました。
FUNDINNOの1号倒産にみる今後の課題
FUNDINNOで資金調達した企業のなかから、2018年12月に倒産1号が出ました。
出資からわずか1年で倒産したことに、投資家の間でもFUNDINNOの審査に対する不信感が湧いたのもうなづけます。
FUNDINNOについて、今後の課題を結論から言えば、次のようになります。
- ベンチャー企業の審査には限界がある
- 事業計画書だけでは事業者の真意がわからない
- ベンチャー企業をどこまで支援するかの判断が難しい
- IR情報が足りない
FUNDINNOの運営会社・㈱日本クラウドキャピタルでは、審査基準にもとづいて、しっかりと審査がおこなわれていたことは間違いないようです。
FUNDINNO全体の信用にかかわりますから、当初から安易な審査がおこなわれたとは考えにくいですね。
ただ、他の事業者についても同じことが言えますが、ベンチャー企業であるがゆえに、企業を審査するうえでの情報量が少ないことは確かです。
FUNDINNOの事業者のなかにも、IR情報が多い企業と少ない企業があるのが実態です。特に、財務情報について。
また、ブレスサービス社に関して集めた情報によれば、同社社長は当初からバイアウトすると発言していたとのこと。
ベンチャーとして将来会社を育てるつもりはなく、スタートアップとして短期間で売却益を得るのが目的だったのでは?との勘ぐりも。
はじめから、バイアウトについての認識があった投資家なら、投資目的と合致していたことになります。しかし、ベンチャー企業として将来の成長を期待していた投資家からすれば、事業家の真意とすれ違うことに。
財務情報からの判断が難しいベンチャー企業
社歴を重ねた企業の財務情報であれば、多少、将来を予想することが可能ですが、それでも推定の域を出ません。
金融機関の融資審査では、過去3期の決算書や試算表などをチェックしますが、それでも経営破綻する企業は少なくありません。
FUNDINNOなどのプラットフォームを利用するベンチャー企業では、売上そのものがこれから、という企業が多いのが実態。
ベンチャー企業への投資判断では、事業計画から推測するしか方法がないことになります。
調達資金の使いみちは?
FUNDINNOで調達した事業資金が、どのような目的で使われるのか、しっかり確認する必要があります。
FUNDINNOの事業者の資金の使いみち(資金使途)が、事業の前向きな資金として使われるならいいのですが、金融機関への返済原資として使われる可能性が無いとはいえません。
通常、事業を継続するための資金、いわゆる運転資金としてメインバンクから融資を受けますが、充分な売上があり利益がでなければ、追加の資金が必要になります。もしここで追加融資を受けることができなければ、別の手段で調達した資金を金融機関への返済に充てることになります。
この場合、新たに調達した資金が、前向きな事業計画に使われなくなってしまいます。
事業計画通りに売上達成する企業は少ない
創業期の企業では、資金調達の手段として、信用保証協会などを利用することができます。
この審査でも事業計画書が必要ですが、その後、事業計画どおりに業績が伸びていく企業はとても少ないのが現実です。
FUNDINNOで資金調達しようとするベンチャー企業についても、事業計画書どおりに売上と利益計画を達成することは、とても難しいと考えたほうがいいでしょう。
事業の将来は経営者の考え方で決まる
事業の将来性は、経営者の考え方ひとつで変わってきます。
経営者の考え方以上の事業規模にも企業体質にもなりません。バブル期のように、たまたま時代の流れに乗って、想定以上の急成長を遂げるケースもありましたが、これは例外。
かつて、金融庁の担当官からのヒアリングを受けたときに、次のような発言を受けたことがあります。バブルが、陰りを見せ始めたときのことです。
「(バブル期は)だれが経営者になったとしても、同じような結果を残せたのではないですか?」
つまり、経営手腕が本当に試されるのは、どんな商売をやっても成功したバブル期ではなく、たった一つの失敗が命取りになる今の時代なのかもしれません。
投資にリスクはつきもの
FUNDINNOに限らず、投資にはリスクがつきものです。元本が100%保証される商品はありません。
定期預金などは、資金運用の一つではあっても、投資とは言いません。文字通り、お金を預けているだけ。
FUNDINNOのような投資型のクラウドファンディングでは、期待される収益が大きい反面、リスクも大きくなりますが、定期預金とは違った楽しみが増えるのも事実です。
FUNDINNOの企業審査について
FUNDINNOの事業者の審査は、かなり厳しいようです。
FUNDINNOの審査で求められた事業計画について、”ブートキャンプのように厳しかった”と評した事業家もいます。さらに、”厳しさ”と”ビジョン”を持つように、と厳しく言われたとのこと。
倒産が多発することになれば、FUNDINNOの信用が失われ、投資家がFUNDINNOから離れていくことになります。
FUNDINNOとしては、単なる事業者と投資家のマッチングだけできればいいというわけにはいきません。
国内最大の株式投資型クラウドファンディングの先駆けであるFUNDINNOの信用が、このビジネスモデル自体の信用度につながるからです。
投資は自己責任
FUNDINNOを通じての投資は、投資家として、自己責任でおこなわなければなりません。
非上場企業の株式取得というハイリスクの投資になりますから、余剰資金の範囲内、かつ少額での分散投資が必須です。
FUNDINNOでは、同一発行者への年間の払込額上限は、50万円と制限されていますが、複数事業者への投資をおこなえば、かなりの金額になることも考えられます。
熱くなり過ぎないように、投資熱をセーブすることも大事です。
FUNDINNOでの非上場株への投資リスク
FUNDINNOを通じて、非上場株へ投資することは、楽しみもありますが、かなりハイリスクであることはお伝えしました。
しかし、(私も同じですが)投資家の心情として、投資の時点でネガティブに考えることはなかなかできないものです。
FUNDINNOを通じての投資には、以下のようなリスクがあることだけは承知しておく必要があります。
- 元本が保証されない
- 元本がゼロになる可能性がある
- 配当が支払われないこともある
- 譲渡制限がついているので売買が難しい
- 換金性が極めて低い
まとめ
FUNDINNOは、非上場株式を少額で取得することができるプラットフォームとして、一般投資家が金融資産を運用できる場を拡げてくれました。
FUNDINNOから、第一号の倒産が発生したことは残念ですが、これまでに成立した案件は60近くあります。
ベンチャー企業の将来性は、投資家にとって非常に魅力的ですが、成功が約束されているわけではありません。しかし、事業計画書から事業家の情熱が伝わってくるものがあるのも事実です。
FUNDINNOの審査結果を信頼できなければ、非上場株式への投資は避けたほうがいいと考えます。他に、より良い投資判断基準がないからです。
ハイリスクハイリターンの投資ではありますが、まずは無料会員登録して、情報を集めるのもおススメです。
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