トリプトファンは必須アミノ酸の一つで、睡眠の質を高めたり、精神を安定させるなどの効果があると言われています。
このトリプトファンから、はじめに幸せホルモンといわれる神経伝達物質「セロトニン」がつくられます。さらにこのセロトニンから、睡眠ホルモンとよばれる「メラトニン」がつくられ、睡眠の質を高めてくれるのです。
といっても、トリプトファンからメラトニンがつくられるまでには、かなり時間がかかるようです。
トリプトファンを摂るタイミングと効果を高めるためのポイント
トリプトファンからつくられる神経伝達物質などによって、睡眠の質を高めるだけでなく、つぎのような健康効果が期待されています。
- 睡眠の質を高める
- アンチエイジング効果
- うつの症状や不安を解消する
- 疼痛や片頭痛を緩和する
- 集中力や記憶力を高める
- 月経前症候群(PMS)を改善する など
これらの効果は、トリプトファンから生合成された「セロトニン」や「ナイアシン」、そこからさらに生合成される「メラトニン」の効果によるもの。
トリプトファンは、カラダの健康維持に欠かすことができない神経伝達物質やビタミン類の原料ということになりますが、同時に摂る栄養素や生活習慣、さらには摂るタイミングによってもその効果に違いがでるようです。
睡眠ホルモン「メラトニン」は生合成に時間がかかる
トリプトファンを原料として睡眠ホルモン「メラトニン」が生合成されるまでには、かなり時間がかかります。
トリプトファンを原料としてはじめに「セロトニン」がつくられ、その後セロトニンから睡眠ホルモン「メラトニン」にかわりますが、トリプトファンからメラトニンの生合成までに14~16時間かかると言われています。
つまり、朝8時に朝食から摂ったトリプトファンが「メラトニン」に変わるのは、夜10時を過ぎてから。日付が変わらないうちに寝床に入ることができれば、トリプトファンからつくられた「メラトニン」の睡眠効果を体感できることになります。
トリプトファンの睡眠への効果は、「メラトニン」のはたらきによるものなので、睡眠の質を高めるなら、睡眠の直前ではなく、朝食でトリプトファンを摂ったほうが良いということになります。
ちなみに、睡眠の質を高めるための機能性成分として、「テアニン」や「GABA」がよく知られていますが、これらを配合したサプリメントは、睡眠の30~40分ぐらい前の飲むのが効果的だといわれています。
トリプトファンは体内合成できない栄養素
トリプトファンは、必須アミノ酸の一つですが、体内では合成することができないので、食事から摂る必要があります。
トリプトファンの1日あたり必要量は、明確な数字はないようですが、18歳以上なら 4.0mg/kg。体重60kgであれば、1日240mg必要ということになります。
食品に含まれるトリプトファンの量は、100g当たり、肉類(150~290mg)、チーズ(320mg)、そば(192mg)、納豆(240mg)、アーモンド(201mg)など。乾燥食品の場合、トリプトファンの含有量がさらに多くなります。
トリプトファンは、バランスの良い食事なら不足することはありませんが、ごはんやパンといった炭水化物を一緒に摂るとさらに吸収されやすくなります。
また、日光を浴びることで、 メラトニンのもとになるセロトニンが増えるといわれまています。栄養バランスのよい朝食でトリプトファンを摂って朝日を浴びる、これが良質な睡眠のためのルーティンということになりそうです。

トリプトファンと一緒にとりたい栄養素・「ビタミンB6」「炭水化物」
睡眠ホルモン「メラトニン」のもとになる「セロトニン」が生合成されるためには、「トリプトファン」のほかに「ビタミンB6」「炭水化物」が必要になります。
そのため、睡眠の質を高めるには、朝食で「トリプトファン」と「ビタミンB6」「炭水化物」を一緒にとったほうが良いということになります。
〔トリプトファンを多く含む食品〕
牛乳・チーズなどの乳製品、豆腐・納豆などの大豆製品、アーモンドなどのナッツ類、卵、まぐろなど
〔ビタミンB6を多く含む食品〕
ヒレ肉、ささみ、まぐろ、牛レバー、カツオ、ブロッコリー、バナナ、アボカド、パセリ、にんにくなど
〔炭水化物を多く含む食品〕
白米、玄米、パン、うどん、そば、スパゲッティ、じゃがいも、さつまいも、バナナなど
それぞれの栄養素が含まれる食品をバランスよく摂れば良いのですが、忙しい朝に、栄養バランスを考えたメニューづくりは無理。
そこで、おすすめしたいのがバナナ。
バナナは、トリプトファンの量がそれほど多い食品ではありませんが、「トリプトファン」と「ビタミンB6」「炭水化物」が同時に含まれている優等生なのです。
トリプトファンの過剰摂取について
トリプトファンを1日に3,000mg~6,000mgほど摂り続けると、吐き気、頭痛、無気力のような副作用があることが報告されているようです。
また、肝硬変の患者さんが長期的に摂ると、脳内にトリプトファンが増えてセロトニンが過剰になるため、脳の機能が低下して昏睡状態になるとの情報も。
通常の食事から、1日3000~6000mgも摂ることは考えにくいですが、サプリメントを飲むときは摂取量に注意が必要です。

睡眠のための生活習慣(朝日を浴びる、運動をする)
質の良い睡眠をつくるためには、トリプトファンなどの栄養素をバランスよく摂るだけでなく、日常の生活習慣をみなおすことが大切です。
とくに大切なのが、朝起きたら日光を浴びること。
朝日を浴びることで、セロトニンの分泌がうながされ、体内時計がリセットされます。セロトニンをたくさんつくることが、夜になって「メラトニン」の分泌量をふやすことにつながります。
また、セロトニンは運動によっても分泌量が増加することがわかっています。
セロトニンの分泌に効果的なのは、ウォーキングや軽いジョギング、ダンスをアレンジしたリズム運動など。ただし、疲れたと感じたり、きついと感じる運動はセロトニンの機能が低下させてしまうようです。

トリプトファン配合のサプリメント
トリプトファンサプリのなかには、1日あたり目安量400mgを超えるものもありますが、過剰摂取のリスクを考えると、他の成分をバランスよく配合したサプリをおすすめです。
機能性表示食品「ネムリス」は、トリプトファン70mg(1日目安量)のほか、機能性表示食品の関与成分として「ラフマ」を配合、さらに「テアニン」「GABA」「クワンソウ」「ナイアシン」「ビタミンC」「ビタミンB6」などをバランスよく配合しています。
ネムリスは、トリプトファン(1日目安量70mg)の配合量が多くはありませんが、安心して続けることができるサプリメントと言えるかもしれません。
まとめ
トリプトファンは、幸せホルモンとよばれる「セロトニン」の原料になり、さらに睡眠ホルモン「メラトニン」へと変化します。
トリプトファンからメラトニンが生合成されるまでには、14~16時間かかると言われていますから、トリプトファンは朝食でとるのがおすすめです。
また、トリプトファンからセロトニンを合成するには、「ビタミンB6」と「炭水化物」が必要です。ふだんからバランスの良い食生活をしていれば、不足することはない栄養素ですが生活習慣が乱れると十分に生成できないことが考えられます。
さらに、セロトニンの生合成を促進するといわれているのが、次の2つの習慣です。
- 朝起きたら日光を浴びる
- 適度な運動をする
まずは1日のはじまりとして、朝起きたらカーテンを開けて朝日を浴びる。
最近の目覚まし時計のなかには、朝日と同等の明るさで体内時計をリセットしてくれる時計があります。寝るときには、「スリープタイマー」が付いていて、ゆっくり光が弱まっていきますから、睡眠前のルーティンとしては最適です。生活習慣を見なおすキッカケになるかもしれません。

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