GABAは、興奮をおさえる神経伝達物質として脳内でつくられ、つぎのような効果があるといわれています。
- 睡眠の質の向上をサポートする
- 高めの血圧を低下させる
- 仕事や勉強による一時的なストレスを緩和する
GABAが、機能性関与成分として多くの食品やサプリメントに配合されるのはこれらの効果を期待してのことですが、一方で、GABAをサプリメントから摂取しても睡眠への影響はほとんどない、との専門家のネガティブな意見もあります。
GABAは、サプリメントなどで口から摂取しても脳までとどかない、というのがその理由。
とはいっても、GABAは機能性関与成分として配合されているわけですから、GABAの効果についてなんらかの根拠があるはずです。
GABAをサプリメントでおぎなうのであれば、GABAの作用機序や睡眠への効果について多少くわしく知っておくことで、より効果的な使い方ができるかもしれません。
GABA はなぜ睡眠の質を高めるのか
GABAは脳内でつくられ、抑制性の神経伝達物質としてはたらくことで、神経全体の活動が低下し、睡眠やストレス緩和などへの効果があると考えられています。
睡眠をさまたげる原因として、一番にあげられるのが”ストレス”です。ストレスを受けると、交感神経が活発になって、血圧が上昇し心拍数が上がるなどカラダが興奮した状態になります。そのため、寝床に入ってもなかなか深い睡眠に入ることができません。
GABAが抑制系としてはたらくことによって、副交感神経が優位になり、ストレスが緩和し心身がリラックスすることにより、睡眠へ導く効果があると考えられます。
GABA は脳内でグルタミン酸からつくられる
GABAは、食事から摂取するグルタミン酸というアミノ酸をおもな原料として、脳内でつくられます。そのときに、補酵素として必要なのがビタミンB6です。
つまり、GABAは、食事からグルタミン酸とビタミンB6を摂っていれば、脳の中で自然につくられる成分なのです。
グルタミン酸は、調味料のうま味成分としてよく知られていますが、グルタミン酸はさまざまな食品に含まれています。
魚介類、トマト、乳製品、発酵食品、乳酸菌、キノコ、昆布、野菜、味噌や醤油などの発酵調味料 など
グルタミン酸を分解してGABAを生成するときに必要となるのが、補酵素のビタミンB6です。ビタミンB6を多く含む食品がこちら。
マグロ、鶏肉、ヒレ肉、豆類、バナナ、パプリカ、さつまいも、玄米、とうがらし など ※脂が少ない肉類に多く含まれています
特別な食材ではありませんから、ふだんからバランスのよい食生活をしていれば、GABAの生成に必要な量は充分とれるはずですが・・・。
GABA を経口摂取しても直接脳にはとどかない
GABAは脳内で合成されますが、サプリメントなどで口から摂取しても直接脳にはとどかないとされています。これが、GABAをサプリメントで摂っても、睡眠への効果がほとんどないとする専門家の根拠となっています。
、GABAが脳へとどかないとされる理由は、脳血液関門(BBB: Blood Brain Barrier)を通過することができないから。脳血液関門は、脳をさまざまな有害物質や病原体からまもるためのフィルターの役割がありますが、口から摂取したGABAはこの関門を通過できないと考えられているのです。


GABA配合サプリ・睡眠へのエビデンスは?
もしGABAに睡眠の質を高める効果がないのであれば、よく知られた製薬メーカーや食品メーカーが機能性関与成分として配合することは考えられません。
GABAの睡眠への効果について、GABA配合サプリメントのメーカーのHPから、いくつかの解説をみてみましょう。
就寝30分前にGABA成分を摂取すると、ノンレム睡眠が増加。脳を十分に休ませられる
引用:グリコ「GABA成分ラボ」睡眠の質改善とGABA成分
成人男女が、GABA成分を1日100mg、1週間にわたって就寝30分前に摂取した結果、深い眠りのノンレム睡眠が増加したとの実験結果があるようです。
12名の健康な若い男性に30mgのGABAを与える実験では、摂取30分後から副交感神経活動が明らかに上がったことがわかっています
引用:ベルタHP(妊活サプリなどマタニティケアで知られるブランド)
睡眠の質についての直接的な効果ではありませんが、副交感神経のはたらきが上がることで、ストレスが緩和しリラックスすることによって、睡眠の質が高まると考えられます。
高齢者を対象に行った実験では、就寝30分前に100mgのGABAを摂取したところ眠りに入るまでの時間やノンレム睡眠時間、起床時の気分などがプラセボと比較して有意に改善したという結果が報告されています。
引用:ベルタHP(妊活サプリなどマタニティケアで知られるブランド)
高齢になると、寝床に入ってからなかなか眠れないことが知られていますが、就寝30分前にGABA100mgを摂取することで、睡眠への効果が感じられるようです。
いずれの実験でも就寝30分前にGABAを摂取していることから、寝る30分前にGABAを飲むことで効率よく睡眠への効果を感じることができると考えてよさそうですが・・。
日中にGABAを摂取しても効果がある?
GABAの睡眠への効果について、これまでのさまざまな研究では、就寝30分前に飲むことでその効果を検証しています。これが、GABAを飲むタイミングは就寝30分前の根拠となっているようです。
しかし、グリコ「GABA成分ラボ」によれば、つぎのような検証結果が得られたとのこと。
GABA成分は就寝前の摂取ばかりでなく、
15時に摂取しても、その夜の睡眠に高い満足感が得られた
引用:グリコ「GABA成分ラボ」
つまり、GABAを睡眠前ではなく日中に口から摂取しても、脳をリラックスさせることができ睡眠の質が向上したことが確認できたということになります。
口から摂取したGABAは、脳血液関門を通過することができないとされていますが、まだ知られていない脳へはたらく仕組みがあるのかもしれません。
まとめ
GABAそのものは、抑制系の神経伝達物質として、興奮をおさえ心身をリラックスさせる効果があることがわかっています。
しかし、GABAをサプリメントなどで口から摂取しても睡眠への効果はほとんどないとする医師もいます。GABAは脳血液関門でさえぎられてしまうので、脳までとどかないというのがその理由です。
しかし、GABAの経口摂取によって睡眠への効果が感じられることは、さまざまな検証によってあきらかになっています。
さらに、GABAを飲む効果的なタイミングについては、睡眠30分前にかぎらず日中摂取してもその夜の睡眠で高い満足感が得られたとの結果も。GABAの作用機序については、まだまだわからないことが多いようです。
ここでは、GABAについて説明しましたが、睡眠の質を高める成分としてよく知られているL-テアニンは、GABAは脳血液関門でさえぎらることなく脳内へ到達して睡眠の質を高めることができるようです。
L-テアニンとGABAをあわせて配合した睡眠のためのサプリメントもありますので、睡眠環境の改善とあわせて試してみるとよいかもしれません。
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