ビタミンCは、スキンケアや免疫力を高めるうえでも大切な栄養素の一つです。
皮膚や血管などに多く含まれているコラーゲンも、その合成にビタミンCが重要な役割を果たしています。
ビタミンCは、柑橘類や野菜などに多く含まれていますから、ふだんの食生活を意識すれば十分摂取できそうですが、日本人の平均摂取量は、厚生労働省の推奨量100mgに足りていません。
推奨量というのは、これだけあれば十分という量ではなく、最低限必要な量ですから、かなり不足していると考えたほうが良さそうです。
ミカンを食べるときには、”ビタミンCを補いたい”という潜在意識がはたらいているのかもしれませんが、ビタミンC以外にも重要な成分が含まれていることは意外と知られていません。
その一つが、「ヘスペリジン」。
毛細血管を丈夫にする「ヘスペリジン」
初めて「ヘスペリジン」という名前を聞く方も多いと思いますが、柑橘類の外果皮(外側の皮)に多く含まれている成分です。漢方では、マンダリンオレンジを干したものを「陳皮(ちんぴ)」として処方します。
日本薬局方では、マンダリンオレンジのほかに、温州ミカンの果皮を干したものも「陳皮」としていますが、「ヘスペリジン」としての効果は同じです。
「ヘスペリジン」は、ビタミンPとも呼ばれ、フラボノイド骨格を持つポリフェノールの一種です。
柑橘類の果皮だけでなく、薄皮やスジなどにもたくさん含まれていて、毛細血管の強化や血流改善効果が認められています。
ミカンを食べるときに外果皮を一緒に食べる人はいませんが、内果皮(内側の薄い皮)やスジ(アルベドというそうです)をていねいに取って食べる人は多いですね。食感が悪くなるからですが、栄養的には、大切な栄養素を捨てていることになります。
ビタミンCやコラーゲンも血管が元気でなければ・・・
ミカンに含まれるビタミンC、美容のためのコラーゲン、どちらも積極的にとりたい栄養素ですが、血管が元気でなければ、皮膚の細胞までとどけられません。
年齢とともに、皮膚の細胞や血管は老化によって衰えていきますから、若い人と同じようにビタミンCやコラーゲンを摂っても、皮膚までとどく量は少ないことになります。
もっとも、コラーゲンはいちどアミノ酸に分解されますから、そのまま細胞まで届けられるわけではありませんが・・・。
ヘスペリジンは、ミカンの果皮だけでなく、内果皮やスジに含まれていますので、できれば一緒に食べて、血管を元気で丈夫にしたいところです。
しかし、ヘスペリジンの効果効能はわかったとしても、”皮と一緒にたべるのはちょっと” と思われる方も多いはずです。
内果皮をいっしょに食べたい柑橘系
温州ミカンの内果皮はちょっと厚めなので、そのまま食べるには抵抗があるかと思います。でも、ミカンにはさまざまな種類があって、なかにはオレンジのように内果皮が薄いものも少なくありません。
コース料理のデザートとして盛りつけられるときは、見た目重視で内果皮が除かれてしまいますが、できればフレッシュなものを内果皮と一緒にそのままいただきたいところ。
デザートや料理など、内果皮と一緒に食べて美味しい柑橘系を、いくつか紹介します。価格が高目の品種もありますが、健康と美味しさを考えれば高くはないかも・・・。
ハウスみかん
ハウスみかんは、夏場の柑橘系としては外せません。佐賀県産がもっとも多いようですが、5月ごろから出回りはじめ、6月から9月ごろまで楽しめます。
ハウスみかんとして栽培されている品種には、いろいろあるようですが、それぞれの産地の名前が付けられ、冬のシーズンと比べると小ぶりなのが特徴。
外側の皮(外果皮)だけでなく内果皮も薄いので、内果皮を出さずにそのまま美味しく食べることができます。甘みが強いですが、オレンジと比べると上品でサッパリした甘さなので、食後の口の中も爽やか。
デコポン
へたの周囲が出っ張っているデコポンは、グレープフルーツほどではないけれど、ふつうの温州ミカンと比べるとかなり大きいですね。
旬のデコポンは、房の一つ一つがパンパンに張っていて、大振りのものなら1個でもかなりの満足感。内果皮も柔らかいので、そのまま食べてもOK!
「旬の食材百科」によれば、本来の品種名は生産を始めた地域にちなんで「不知火(しらぬひ」)」と呼ばれ、「デコポン」は登録商標とのこと。産地は、熊本県のほか、愛媛県や佐賀県が有名。
デコポンのハウスものは12月ぐらいから出荷され、露地ものが3月頃から5月ぐらい出回ります。
冷蔵保存したものを、ほぼ年間を通して味わうことができますが、やはり7月ぐらいになると、中の一つ一つの房(じょうのう)の張りが少なくなってきますから、できれば旬の3月、4月ごろに味わいたいところ。
湘南ゴールド
湘南ゴールドは、神奈川県が開発し、2006年から出荷が始まったばかりの新品種。小粒ですが、爽やかな酸味と高い香りが特徴。甘ったるさが残らず、他の柑橘系にはない爽やかさが魅力。
他の柑橘系と比べると価格は高めで、都内の高級スーパーには、4月ごろから店頭に並びます。
湘南ゴールドは小粒ですが、レモンの刺激をやわらかくしたような爽快感が広がりますから、油っこい料理のあとでも、一つ食べただけでも十分満足感があります。
湘南ゴールドの内果皮は、薄からず厚からず。果肉と一緒に、口のなかで噛んでいると、ペクチンのような食感に変化して溶けてしまいます。
”とにかく甘いのが好き”、という方にはおすすめできませんが、個人的には独特の食感と爽やかさが気に入り、湘南ゴールドの旬の季節には他の柑橘系を食べることが少なくなりました。
「ヘスペリジン」配合のサプリメント
ヘスペリジンは、ビタミンCと共に働いて、毛細血管を細菌やウイルスから守るだけでなく、ビタミンCの消耗を防ぎ、しなやかで強い血管を保ちます。
ヘスペリジンが体に良いからといって、ミカンの内果皮を無理して食べるのは本末転倒。やはり、柑橘系は種類ごとの特徴にあわせて、美味しく食べてほしいですね。
近年、ヘスペリジンのこの働きに着目して、他の美容成分などといっしょにヘスペリジンを配合するサプリメントが増えてきました。
江崎グリコ『ヘスペリジン&コラーゲン』は、美容ドリンクとして、ヘスペリジンを配合しているのが特徴です。美容ドリンクとしては、日本ではじめての【機能性表示食品】とのこと。
まとめ
ヘスペリジンは、毛細血管にはたらいてくれますから、スキンケアだけでなく、肩こりやめぐりに悩んでいる方にもおすすめです。毛細血管のはたらきが良くなることで、結果として美容成分が皮膚の細胞までとどけられることになります。
サプリメントからの摂取については、賛否両論ありますが、カラダを壊してから薬を処方されるよりも、不足しがちな栄養素をふだんからサプリメントで補い体調をととのえるほうが健康的だと思います。
夏は、ミカンの種類が少ない季節!きびしい暑さを爽やかに乗り切るためには、シークワーサーがおすすめ。
沖縄生まれの「青切りシークワーサー100」は、シークワーサーを皮まで丸ごと生絞りしているそうです。
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