EPA(エイコサペンタエン酸)・DHA(ドコサヘキサエン酸)は、魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸ですが、妊産婦さんについては食べる魚の種類によって摂取量が制限されています。
その代表的な魚が、マグロ。
理由は、マグロに含まれる水銀の含有量にありますが、なぜ妊産婦さんだけと思う方も多いはず。
自分の体だけを考えれば、それほど問題になりませんが、胎児への影響を考えてのこと。
人気回転寿司のチェーン店に、あきらかに妊娠中と思われる女性がお皿を積み上げて食べているのを見ると、大丈夫?と心配に。
EPA・DHA を多く含む魚 妊産婦さんが気をつけないといけない理由
EPA・DHAを多く含む魚は、オメガ3脂肪酸が不足しがちな日本人にとって積極的に摂ることが推奨されています。
2日に1回は魚を食べるようにとか、1日3食のうち1食は魚料理にするように、など。
一般的には、魚の種類や量までアドバイスを受けることはありません。まずは、魚を食べることから習慣づけようということです。
しかし、妊産婦さんの場合、魚に含まれる水銀の胎児への影響が心配されるため、魚の種類と摂取量が制限されているわけです。
重金属はたくさんあるのになぜ水銀だけ要注意?
重金属とは、比重4.0以上の金属のことです。
カドミウム、ヒ素、鉛、水銀、など、毒性の高い金属の名前が頭に浮かびますが、人体のカラダにとって大事なミネラルである鉄も、比重が7.85ですから重金属。
ところで、水銀は毒性が高く、脳や肝臓に障害を与えるとされ、摂取すると水銀中毒の可能性が指摘されています。
胎児への影響懸念はメチル水銀
水銀といっても、大きく分けて「金属水銀」「無機水銀」「有機水銀」があります。
胎児への影響が心配される「水銀」は、正確には有機水銀のなかの「メチル水銀」のこと。
このメチル水銀は、神経中枢を冒す強い毒性を持っているのが特徴です。
厚生労働省はあまり神経質にならないようにというけれど
厚生労働省が、妊産婦さんが食べる魚の種類と摂取量を指導しているのは、魚によって含まれる水銀量が違うから。
食物連鎖の頂点に立つ魚類ほど、水銀が多く蓄積されるため、どうしても摂取量の基準が魚によって違ってくるのです。
とはいえ、水銀の摂取を恐れて、魚を食べなくなることを、厚生労働省は懸念。
厚生労働省のHPでは、「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項について」H22.6.1改訂のなかで、次のように説明しています。
胎児への影響は、 例えば音を聴いた場合の反応が1/1,000秒以下のレベルで遅れる ようになるようなもので、あるとしても将来の社会生活に支障があるよう な重篤なものではありません。
これを見ると、一安心ですが、摂取目安量がある以上、無視はできません。
妊産婦さんが注意する魚と摂取目安量は?
厚生労働省が、妊産婦さんの摂取目安量として定めている魚の種類と量は、次のとおりです。
◎2ヶ月に1回まで
バンドウイルカ
◎2週間に1回まで
コビレゴンドウ
◎週に1回まで
キンメダイ、メカジキ、クロマグロ、メバチマグロ、エッチュウバイガイ、ツチクジラ、マッコウクジラ
◎週に2回まで
キダイ、マカジキ、ユメカサゴ、ミナミマグロ、ヨシキリザメ、イシイルカ、クロムツ
おもな魚のEPA・DHA含有量
下図は、可食部100g中のEPA・DHAそれぞれの含有量です。
魚 | EPA(mg) | DHA(mg) |
マイワシ | 1381 | 1136 |
マグロ | 1288 | 2877 |
サバ | 1214 | 1781 |
ブリ | 898 | 1785 |
サンマ | 844 | 1398 |
ウナギ | 742 | 1332 |
サケ | 492 | 820 |
アナゴ | 472 | 661 |
イカナゴ | 454 | 615 |
アジ | 408 | 748 |
ウルメイワシ | 275 | 633 |
※京都府漁業協同組合のHPから一部転載
マグロは、DHAの含有量がダントツで、EPAも豊富に含まれていることがわかります。
EPA・DHAをバランスよく摂れる魚は、マイワシということになりますが・・・。
魚は、人や地域によって好みが違います。特に、青魚は好き嫌いがはっきりしていますので、嫌いな人にはツライかもしれません。
EPA・DHAの摂取量
厚生労働省の「脂質」に関する資料では、EPA・DHAの1日の摂取量について、つぎのように説明しています。
日本人では、EPA及びDHA量を0.9g/日摂取している群で有意に、非致死性の心筋梗塞罹患の減少が認められ、18歳以上では、1g/日以上のEPA及びDHA 摂取量(魚で約90g/日以上)が望まれる。※1g:1000mg
また、欧州食品安全機関(EFSA)では1日5g、アメリカでは3gの摂取において、特に問題ないとされているようです。
「EPA・DHA」妊産婦さんの摂取量は?
厚生労働省「日本人の食事摂取基準2015年版」では、オメガ3脂肪酸について、妊娠中・授乳中の女性は、通常(1.6g/日)より多い 1.8g/日 を目安量としています。
さらに、EPAおよびDHAを1g/日以上摂取することが望まれるとしています。
EPA・DHAをサプリで摂取するメリット
- 摂取カロリーの心配がない
- 水銀が含まれていない
- 栄養バランスをとりやすい
EPA・DHAは脂質なので、摂取量を増やせば摂取カロリーも増えてしまいます。
サプリメントのメリットは、カロリーを増やさずに効率的にEPA・DHAを摂取できること。
また、魚が原料のサプリメントで、国内販売されているものに水銀が検出されたことはないようです。
EPA・DHAに代表されるオメガ3脂肪酸と、肉類に含まれるオメガ6脂肪酸とのバランスが、よく話題になります。
理想的な摂取バランスは、1:2、1:4など諸説ありますが、肉食にかたよっている現代人にとって、オメガ3脂肪酸が不足しがちなのは確かです。
摂取バランスを考えたときに、役に立つのがサプリメントです。
食生活とのバランスを考えながら、DHA&EPAを補ってみてはいかがでしょう。
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